第5話
(この子は特別なのではないか?)
少女を見ていた天使は思った。
今日も天使は地上を見ていた。
いつも見ているから、特別なことではない。
気を抜くと、少女に気づかれてしまうから、天使は気を抜かずに見ていた。
気を抜かずに見ている。
この前は目が合いそうになった。
光の状態だったから、どこが目だかは少女にわからない。
でも天使はちゃんと見ている。
少女を中心に地上を見ていた。
雨の日も風の日も見ている。
でも、その少女が特別なのではない。
その少女とその天使が特別に相性が良いだけだった。
ふつうの少女とふつうの天使がごくふつうに出会っただけ。
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