9th_2025.4

帰還した場所は見覚えのないところ

隙間風しか聞こえない檻の心

千回くらいは言い聞かせたところで

莫迦は従順にレールを踏み外す

損くらいは多めに見積もっても足りない所存


今回はって何度も何度も何度も言いますが

限界なき徒労で取り戻せる余生はそもそも手遅れ

とうとう気が許すまで誰も踏み込めない潔癖症になって

劣って、踊って戯けて、音って全てに怯えて

差し出された債権者の手を、くれよって、もっとせがんでは歓迎されてきた


損な莫迦にも拍車がかかる日々こそ

もう傷だらけで汚れてるのを

こんなにも美しいよと言い聞かせて

慰めのように縋る仮宿を僕はそっと手放していく

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いのちは美しいかい 美治夫みちお @jawtkr21

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