7th_2025.2
欲しいものはないのに、いつも乞うてきた。
楽しい振りをすれば、苦しくなる一方だ。
騒がしい無関心に生的死体は腐っていって、静かな部屋に水が満たされるようだ。
隠れた僕は、破壊するしかなかった。
誰にも知られずに消えた感動はいくつもあった。
無視したわけじゃない、僕自身の居場所のために、手放していくだけ。
落ちて四散した肉。
僕が見ている赤は、この街ではありふれたことなんだ。
陰で聞かされてきた狂気は、誰かに見せないから、突き刺さって液を垂れ流す。
この簒奪はどこでも許される。
ぶつかって怖気付いたことのない僕は、どこから来てどこへ向かっても意味がない。
徒労の果てに、終わりを知るのだろう。
陰で聞かされてきた狂気は、虚しいだけの僕の存在証明だ。
目に映る、解かれていく、そんな絶頂を手に入れたいから、紛い物で事足りた。
飲まれて濁りきった部屋は人工的に明るい。
このまま僕も、あの光に浸りたいと強く思った。
陰で聞かされてきた狂気は、悲しみの本音だとして、死んだ心は、誰かに何かを望んだりできない。
欲しかったのは特別な才能じゃなかった。
無機質な日々をやり過ごす心だ。
誰かにとっての、かけがえのない一人になりたかった。
あなたは、かつて手放した僕みたい。
そして、僕は望むんだ。
確実な愛で満ちている場所に行きたいと。
愛なんて信じてないくせに。
ぶつかって、怖気付いた僕は、周りの欲望のために自分を明るく前向きに押し殺す。
だから、家の中はいつも暗くて冷たくて、それは等しく明るいものに置換されていく。
逃げ場所をつくるとき、僕は知っていたはずだ。
この部屋は、狂気が詰まっている。
それは月の裏側と同じだと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます