6th_2024.8

ずっと彼方を見やる。

山並みの際と空の底とが光に溶けて、

風景全体が曖昧になっていく。


日没の光景がたまらなく好きだった。

いつかはこの自然の姿を、

すべてを描きたいと思っていた。


だが、今となって、

都会から見つめて感じたのは、

卑弱な自分自身の欲望が、

茫洋と死んじまったことだった。


何一つの衝動も湧き上がってこず、

大自然を前にみすぼらしく、

つっ立っていたのが、事実なら。


「これを描こうとしたのか」

「ああ、無様だな。見えもしないが分かる、描けるはずがなかった」


記憶の幻に答える。

いまを愛さずに、何ができるというんだ。

愛せるほどの何かもないまま。

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