第39話 この気持ちはなんでしょう

 個室に響く笑い声を聴きながら、今にも隣の個室へ駆け込みそうなフラフ。

 そんな彼を羽交い締めにしながら、心に立ち込めるモヤモヤとした気持ちに戸惑ってしまうコスモス。



(この気持ちはなんでしょうか…お料理は全て美味でしたし、フラフの言動に苛々するのはいつものことなのに…)



「あ、2人もう帰るみたいだよ。僕たちも帰ろう」



肩を外してするりと腕をすり抜けたフラフが、少しだけ安堵したように告げた。



「そうですね。まだ家のお掃除もしていないですし」



生まれて初めて赤カビを落とせた時のようなトキメキでも、愛らしい子どもを慈しむ感覚でもないこのモヤモヤとした気持ちを、コスモスが自覚するのは…

岳春に「これって恋愛相談ってことでいいんですかね?」と問われてからだが、その日はまだ少し先の話である。

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