第十四話 「体育祭 前編」
ついに、とうとう、体育祭の日が来てしまった。
わたしはいつもより少しだけ高めに髪を結い、動きやすくする。蘭もチョコンと小さく一つ結びをしていた。
「あああっ絵穹ぁぁぁ、ついに本番だよぉ。緊張する!」
「大丈夫だよ。わたしと蘭ほどパン食い競走と台風の目を練習した人っていないと思うよ?」
「……それもそうだね」
わたしの言葉に蘭は苦笑した。
そのとき、最初の競技が始まるというアナウンスが入る。
最初は学年ごとに行う、台風の目だ。
「行こう、蘭!」
「うん……!」
わたしと蘭は手を繋いで走っていった。
パンッ、というスターターピストルの音と共に、わあっと場が盛り上がり生徒達は走り出す。
今のところ、わたし達二年生の順位は二位だ。
一番早いのは一年生。ビリの三年生は、どこかギクシャクとして連携がとれていない。
そして蘭のグループの順番が来た。
蘭は一番外側を走り、懸命にグループを支えている。
すると、一年生のグループと二年生のグループの差が縮まった。
二年生チームからワッと歓声と応援が上がる。
走り終えてバトンタッチをした蘭が、わたしを見つけてニッと笑った。
わたしも笑って頷き返す。
──そして、わたしのグループの番が来た。
わたしもグループの一番外側に立つ。
隣には瑠梨が立っていた。
そういえばなのだが、瑠梨とわたしは同じグループだ。どちらも気まずく思いながら、前のグループがこちらに来るのを待つ。
前のグループが走り終え、わたし達は同時に走り出した。
わたしはグループのみんなに、事前に伝えていた。
「みんな全力疾走してくれていいよ。わたしが外側に立って、みんなを支えるから!」
と。
その言葉に瑠梨以外のメンバーは嬉しそうに「絵穹ちゃんカッコイイ〜」と笑っていた。
そして今、みんなはその言葉通りに全力疾走している。
わたしは蘭と練習していたときのことを思い出しながら、他の子達よりも先にカーブを描いて走り出し、遅れないように全力で足を動かした。
そのとき、隣で瑠梨がつまずきかけた。
「ぅわッ」と声を上げて、瑠梨の体がガクッと下がる。
わたしは咄嗟に瑠梨の肩に手を回して、コケるのを阻止した。
……せっかく練習したし、コケると痛いし恥ずかしいし!
そんなことを考えながら、瑠梨を支えて走り続ける。
そして勢いのままにゴールし、次のグループへバトンタッチをした。
ゴールしたあとに他学年を見ると、いつの間にか二年生が一位になっていた。
「すごく早かったよ〜!」
「一年生抜かしてる!」
「お疲れ様ー!」
クラスメイトだけでなく、他クラスの人達も笑顔で労ってくれる。
わたしは笑みを浮かべて「ありがとう、みんなもお疲れ様!」と返していた。
ふと蘭を見ると、興奮したようにブンブンと両手を振っていた。
その行動にクスリと笑い、手を振り返す。
待機場所に早く移動しようとしたとき、グンッと腕を引かれた。
驚いて振り返ると、俯きがちにこちらを見る瑠梨の姿があった。
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