第9話 玉砕覚悟
カーカは姫さまが意識を失ったのを見て勝ち誇っているようだった。
難敵の姫さまを倒し勝った気でいるのでしょうが、この場には私がいるということも忘れないで欲しいものね。
「勝ち誇るのは私を倒してからにしなさい!」
『人間の小娘は生意気な奴しかいないのか?それとも世間知らずなバカが多いだけなのか?』
まるで私なんか眼中にないような言い方ね。今にその高慢ちきな態度、後悔させてやる。
私はカーカを睨みつけながら考えを巡らす。
全身に痺れが残っている。おそらく先ほどの衝撃は感電からくるもので間違いないだろう。
あのイエロースピネルとかいうものの間に入ると、放電現象が引き起こされるのだろう。
イエロースピネルはカーカの周りに無数に浮遊している。近づけば今みたいに感電してしまうということなのね。
『ふふふ、貴様、このままの距離を保っていればイエロースピネルの餌食になることはないとでも思っていないか?』
違うの?
その時、地中からイエロースピネルがどんどん浮上してきた。
『宝石の成分はマグマの中に豊富に含まれている。我のオーラにより地中からいくらでも湧き上がらせることができる。そして我のオーラを影響を受け、イエロースピネルとなる」
つまり、どこにいようともカーカの魔法からは逃れられないということなのね。
なら、、。
「移動魔法!」
『!!』
『移動魔法?サイコキネシスのようなものか?我のイエロースピネルを弾き飛ばすつもりか?小癪な!』
私がイエロースピネルを弾き飛ばそうとしてオーラを強めても、カーカがこの場に止めようとオーラを込めるので弾き飛ばせず、しばらく力比べの状態になってしまい動けなくなってしまった。
『小娘の分際で足掻きおって!』
カーカは私のことを押し切ることができないと判断したのか、恨み節の声を上げた。
その時だった、、。
バーン!!
『何?爆発だと!何が起こったのだ?』
「私がオーラに力を込めれば込めるほど、凝縮された凝集体が出来上がります。凝集体は凝縮に凝縮を重ねているため不安定状態となっていて、ちょっとした衝撃で爆発を引き起こします」
『何だと!今の爆発は貴様が引き起こしたものだというのか?』
「そうです。あなたがイエロースピネルを弾き飛ばされないように力を込めれば込めるほど、凝集体は産まれ続け、いずれ凝集体はイエロースピネルの数を超え、あなたをごと吹き飛ばすことになるでしょう」
『あなたごと吹き飛ばすだと?貴様言っている意味分かっているのか?そんな不安定なものを浮かび上がらせてどうするつもりだ!我がイエロースピネルより放電したら誘爆を起こしてしまうぞ。あなたごとではなく、貴様ごと吹き飛んでしまうことになるぞ!』
「そうでしょうね。あなたはそうするしかないでしょう。私の魔法によりイエロースピネルを飛ばされてしまったら、私はこの凝集魔法をあなたにぶつけます。このまま拮抗した状態が続いていたら私の凝集魔法の数がイエロースピネルの数を上まった時点でイエロースピレルを吹き飛ばし、あなたに凝集魔法をぶつけることになります。あなたに残された手立てはまだ凝集魔法が少ない時点でイエロースピネルに帯電している電気を放出し凝集魔法ごとこの辺一帯を吹き飛ばし私を倒すしかありません」
『貴様!我と心中でもするつもりか?』
「私は心中するつもりなど毛頭ありません。吹き飛ぶのはあなただけです」
『ふざけるな!我を吹き飛ばすだけの威力の爆発が起こるのに、貴様が無事でいられるわけないだろう!』
「試してみますか?」
『何ーっ!』
「そう言っている間にも私の凝集魔法はどんどん増えていってますよ。早く決めないとあなたが吹き飛ばされるだけで終了です」
『貴様はなんなんだ!本当に状況分かっているのか?なぜそんな余裕の表情でいられるのだ?』
「私が勝つからです」
『ふざけるなっ!貴様みたいな下等生物に我が負ける訳あるものかっ!ならば望み通りくれてやろう』
『喰らえー!イエロースピネル!』
カーカの放電をきっかけにし私の凝集魔法は誘爆を起こし、辺り一帯を爆炎が包むこととなった。
でも不思議だった私にはそれほど大きな衝撃がくることはなかった。
何が起こったのだろうか?
「イチチチーっ!オメー!何考えてんだよ!一緒に心中する気だったのかよ!」
爆炎が薄れてくるとそこにはサイードの姿があった。
槍に防御のオーラを全開に込め、爆発の衝撃から私のことを守ってくれたようだった。
その先には崩れ落ちていくカーカの姿が見られる。
『おのれーっ!味方の援護があると分かった上での行動だったのか!?口惜しや、この無念必ず晴らしてくれようぞ、、』
そう言い残しカーカは空中に溶けるようにして消えていった。
サイードはガクッと膝を落とす。
「全くバカねー。余計なことして大怪我しちゃって」
「はー!助けてもらったんだろうが、ちっとは感謝しろ!」
「私は姫さまの作り上げた五芒星の中にいたから大丈夫だったはずなのよ」
そう言いながら足元に広がっている結界を指差した。
「うっそー、マジーっ!じゃあ俺、怪我し損だったのかよ!」
「まー、姫さまのオーラ、ほぼ感じなくなっているから、もしかしたらやばかったかもしれないけど」
「じゃあ、やっぱ良かったんじゃねーかよ!」
「かもね。一応お礼言っておくわ。ありがとう」
「お、おーよ」
私が礼を言うと満更でもないような表情をしていた。
「それよりあなたがここに来たっていうことは支柱復活したってことね。なら早く封印魔法発動させないと」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます