28-3 生皮
──彼はある孤児院を経営する両親のもとに生まれた。孤児院には様々な子供達が集まっていた。親に捨てられた子供。不慮の事故で親を亡くした子供。親に反発して家出した子供などもいた。両親はそんな孤児たちを分け隔てなく愛し、実の息子である彼にも勝るとも劣らない愛を彼らに与えた。
彼はある日、両親にこう尋ねた。
──僕はヒトなの? それとも他のみんながヒトなの?
両親は笑った。そして彼の頭を撫で、宥めるようにこう言った。
──お前もみんなも人だよ。と。
そうして彼は理解した。
──僕がおかしいんじゃない。他の
◆◆◆
「……フレッジ・ローハイド。フローラ北区コーラルポンド出身。区立ウィルガード養成所から王立エーデルヴァルト魔法学校に入学。父はスキャマー・ローハイド。母はフローレンス・ローハイド。家は孤児院の経営をしている──が、これら全ては存在しない経歴だ」
探偵フロダロント・メイガスはマナ・ルーランドからの依頼によってある人物の経歴を辿っていた。
彼は中央区メルバーダのシンボルである時計塔──別名「
「……あらかた探した。というかほぼ全部だと思う。一週間ありゃ出来ると思ってんのかね……あの嬢ちゃん。流石にハードワークすぎんだわ。まあやれたんだけどさ」
彼は探偵事務所に戻り、一枚の経歴書のコピーを取った。
「……スパーダ。俺がお前に忠告した通り、そいつは皮を被ってたよ。フレッジはいない。だが、その元となった情報なら、ある」
そこに書かれている経歴を、彼は何かの感情が籠った声で読み上げる。
「──フローラ北区コーラルポンド出身。区立ウィルガード養成所から二年飛び級でエーデルヴァルト魔法学校へ入学し、首席で卒業。その後二年間、魔法連合殲滅局に所属するが、後にフローラのルーガ第五魔法能力者となり、脱局している。父スキャマー。母の名はフローレンス。弟の名はロゼ。家は孤児院を経営していたが、十八年前の殺人事件によってロゼのみを残して死亡。しかしフローレンスはロゼを産んだ一年後から行方不明となっており、この殺人事件の被害者には確認されていない。犯人はこの家の長男、つまり、ロゼの兄」
フロダロントは一呼吸置く。そうでもしなければ彼は自分を抑えられなくなるからだ。そして、息を深く吸い、改めて読み上げる。
「……兄の名は、ロザリオ・ブラック・ゴールウェイ。またの名を──ローズベルバード」
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