10 数十秒
「煙幕の簡易魔法陣か。厄介なものを持ってるが、あの小僧、能力者か? まあどうでもいい。あちらには小隊二十人がいる。隠れようとこの人数を相手取ることはできんだろう。後ろから追いついて、あのクソ探偵の居場所を吐かせてやる」
「──ならば私が教えてやる。ここから南東、約三百メートル、市街番号01-2997-62。情報は伝えた。心置きなく死ね」
言葉も行動も一瞬で彼には理解できなかった。胸から黒い槍のようなものが突き出し、血と痛みが走った時に、彼はもう死を免れなくなった。
「な──? あいつらは──?」
「あいつらとは少年少女のことか。それとも貴様の仲間のことか。二人は無事だ。少年は腕に攻撃を受けたが再生した。その瞬間に私が魔法を放った女を殺した。少年には申し訳ないことをした。もう少し早く『飛べば』よかった。そしてこのスラム街を張っていた影は殲滅した。そしてお前が最後だ。早く死ね、とく去ね、さっさと消えろ」
血溜まりを作りながら倒れ込んだルックスウィールに対し、容赦ない早口の罵声と非情な現実を突きつける黒いコートの男。暗い闇を切り裂くような青い眼光が濃い煙の中でもハッキリと見えた。ルックスウィールはその死の目を見て、生き絶えた。
「死んだか。では帰るとしよう。主人へ報告するが先決。彼らは無事に学舎へ辿り着く。新たな
男は消えた。一瞬と表現することさえできない速さで。まるで空間が消えたかのような不自然さで。スラム街の霧が晴れ、現れたのは骨抜きにされたように体が崩れ落ち、心臓を貫かれた死体の山。
後日、報告を受け現場検証に来た魔法連合の職員は頭を悩ませた。これはここ一年の間で多数報告されている影の不審死事件。
『被害者数はすでに四百名を超え、常軌を逸した殺害方法はどのような魔法、能力もそれに該当しない。それどころか、魔法、能力の痕跡さえ無い。一体どのような手段でこの惨状を生み出すのかは、本人にしか分からないだろう』
──魔法連合 グレイス調査団の報告より
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