第11話 具体的なイメージ

 閃輝を研究するようになって一ヶ月が過ぎた。


「動かす」ことはある程度可能だとわかってきた。

 だからこの日は、もう一段回上のことに挑戦してみようと思った。


 集まれ


 右手の人差し指を立てて、そう念じてみた。

 指先に閃輝が集まる。これまでは小さな一粒の小石しか動かせなかったが、今回は数は指定せず、ただ“集まれ”とだけ念じてみた。


 磁石に砂鉄が吸い寄せられる姿を頭の中でイメージした。


 あるいは排水溝に水が吸い込まれていく姿。


 とにかく小さな粒状のものが一箇所に集まる様子を想像した。


 一週間前。ただ強く念じるだけでなく具体的なイメージを浮かべると、負担がない形で命令を送ることができると気づいた。

 ただ漫然と命じるのではなく、頭で思い描いたイメージを閃輝に伝える。


 そのイメージを具現化するために光る小石群が集まってくる。


 お互いにぶつかれ


 ボクはここで一歩飛躍したイメージを伝えた。


 小石群は小さな光を放ちながらぶつかり合う。ピカッピカッと火花が散ったかと思うと、小石は一箇所に固まっていく。


 ルビー、サファイア、ダイヤモンド。ボクはカットされた宝石をイメージした。


 不格好ながらも閃輝は頂点の尖った菱形の立方体へ姿を変えて、指先で時計回りにゆっくりと回っている。

 

 できた。


 強い達成感が体を満たした。

 でも、すぐに閃輝は光を失い、粉微塵になって消えていった。





 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る