第59話 自白剤
56-059
中之島病院長は今日美沙から聞き取った事を糀谷専務に報告した。
「何!千歳製菓の事も知っているのか?クラブでは話さなかったぞ!名古屋の小南と恐喝男、そして千歳製菓?全て名古屋の関係だな!もう少し聞き出せないのか?」
「これ以上になりますと、電磁波と薬の併用にしなければ困難です!」
「構わん!あの小娘が知っている事を全て聞き出せ!」
「でも、新和の新垣さんには、外国に売ると聞いていますので坊主にして、器具を取り付けるのに抵抗があるのですが?」
「取り敢えず全て聞き出せ!売るのは二の次だ!髪は直ぐに生える!」
「は、はい!承知しました!早速準備に取りかかります」
新和商事の新垣社長に直ぐに連絡をして了解を貰うと、新垣は「溝端先生にさせれば、責めの一環として利用するだろう?既に買い手は決まったので大丈夫だ!坊主の方が喜ぶ金持ちだから支障は無い!」そう言って笑った。
夕方になってようやく正気に戻った美沙は、差し入れで貰ったノートに、この病院に連れ込まれられた事を、記憶を頼りにクラブJでの出来事から書き始めた。
最初に潜入取材を見破られた様だが、事実を知っている人は小南さん以外誰も居ない。
質問された内容を朧気に覚えていたのでノートに書き始めた。
冒頭、自分はモーリスと新和商事の悪事を知りすぎて殺されるかもしれないのでこのメモを残しますと書き始めた。
薬を注射されて色々聞かれた様に思います。朧気でしたが、質問内容からこの病院と新和商事、モーリスが関係している事は確実です。
でも小南さんから誰かに漏れた可能性は考えられないですよね?もしかしたら小島部長の裏切りかも知れません!私にはそれしか思いつきません!と書き。
これから薬と自白装置で全てを喋ってしまうでしょう。モーリス、新和商事、中之島病院、クラブJ,そして小島部長が罰せられる事を願います!記憶の確かな内に書き残します。
お父さんお母さん、同僚の反対を押し切って潜入取材をした事をお許し下さい!とこれまでの経緯の最後に書き残した。
書き終わると見つからないようにベッドの隙間に入れた。
その頃大阪では、小南、三木、木村、そして三宅刑事と新人の町田刑事が情報を持ち寄り今後の捜索方法を話し合っていた。
三木が「高槻で赤城さんを監禁できるのは病院ではないでしょうか?大きな病院で入院施設が在る処です!一度睡眠薬を飲まされていた事が有るので、今回も美沙に薬を飲ませて病気だと運び込んだのではないでしょうか?」
「でもそれなら翌日には気が付くから、美沙が喋るでしょう?」
「喋れない状態か?」
「いや、病院もグルの可能性があります」
「分りました!明日高槻周辺の病院に土曜日の深夜か、日曜日の早朝運び込まれた若い女性がいないか?調べさせます」と言って三宅刑事が大阪府警と京都府警に依頼した。
「それから、小南さんが赤城さんから貰った情報は本社の小島部長だけに伝えられたのですね」
「はい、そうですが、大変重要な情報だと多分次回の特集に掲載されると思います。小島部長には美沙の失踪はまだ報告出来ていませんが記事を止めて頂こうと思っています」
「当然だな!記事が出ると殺される可能性が高いだろう?」
「どの様な情報だったのですか?教えて頂けませんか?」三宅刑事が尋ねた。
「美沙が拉致されたのはこの情報が原因だろうと思います」
そう言い始めて小南はモーリスの闇の部分を仕切るのが、糀谷専務で部下に松永部長、そして新和商事の新垣社長の三人が繋がっている事を話した。
「新和商事と梶谷不動産、荒井興産も関係が有るので、土地転がしも充分考えられる!この情報を赤城さんが掴んだのですね!」
「そうです、他にも掴もうと潜入を続けたのが・・・」と言って、小南は絶句した。
「ひき逃げ事件については?」
「それも新垣社長が一部話した様です!」
「新垣を引っ張りたいが、肝心のボイスレコーダーが無ければ証拠には乏しい、聞いた本人も行方不明だから、小南さんの証言だけでは信憑性がない」
「自宅に探しに行ったのですが、ボイスレコーダーは二台とも無かったのです!」
「クラブJの何処かに隠しているのかも知れませんね」
「もし、敵に渡っていたら?」
「赤城さんの正体を聞く為に責められている可能性がありますね!」
「急いで新和商事に家宅捜査は出来ないのですか?」町田刑事が言う。
「何処に捕まっているのか判らない状況で、踏み込むと証拠を隠滅する為に殺されるかも知れない!」
その時、三宅刑事の携帯に京都府警から、高槻の近くに精神病院が在るとの連絡が入った。
その病院は女性専用の入院施設も整っているので、拉致の可能性が有るのでは?との見解だった。
京都府警は数年前にこの病院で亡くなった吉高フーズ社長、吉高孝吉さんの件も話すと。
「その社長は今回の事件にも関連が有る人です」と三宅刑事が言った。
「一つ不可解な事は、吉高さんの娘さんが面会に来た後、消息不明で今も行方が判らないのですよ!」
「年齢は?」
「確か二十六歳のお嬢さんで、結婚も決まっていて新郎になられる方と同行して病院に行かれましたが、お父様と面会の後の行方が不明です」
「その男性の方のお名前と連絡先判りますか?」
「後藤俊さんで住所は広島の方ですね!」そう言って携帯の番号を教えてくれた。
電話が終ると三宅刑事は「おそらく拉致された場所と思われる処がわかりました」そう言って電話の内容を皆に話した。
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