第56話 色情狂?
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その頃、新大阪駅に新和商事の面々が明日の下見に来て、恐喝男を捕らえる段取りを話していた。
その日の夕方、松永部長のパソコンに「新大阪駅で新和商事のごろつきを一人でも見かけたら、別の人間が直ぐに記事をマスコミに送り付ける!吉高の話も付け加えてな!素直にお金を渡せば安田の連絡先も教える!」とのメールが届いた。
直ぐに専務の部屋に向かい「専務、この男吉高の話も安田の事も知っていますよ!新和商事に手を引かせて安田の連絡先を聞いた方が得策かと思われます」
「その様だが、その前に院長に連絡しておいた方が良いな!女が仲間なら警察に通報され中之島病院に警察の手が回る恐れが有る!」
松永部長が院長に連絡すると「あの女は売り飛ばす段取りにしていますが?」
「敵は吉高の事も知っている様だ!充分気を付けておいた方が良い!警察、仲間が捜しに行くかも知れない!」慌てて院長に言った。
「分かりました!完全な精神病患者にして自分自身の事も判らなくなる様に致しますのでご安心ください」
「任せてあるので、新垣社長と連絡を密にして、始末まで気を抜くな!」
「お金の受け渡しは、新和商事の関係者には手を引かせ、松永部長一人で行ってくれ」と糀谷専務は指示した。
吉高の事と安田の一件を知られているなら、簡単には手出しが出来無い。
お金を渡して安田の居場所を捜す事が先決だと糀谷専務は考えた。
脅迫男については、捕らえている女からヒント位は得られると考えている。
果樹園の娘に憐れみと愛情を感じた安田が、モーリスを裏切ってダミーのみどり青果を作り一年間モーリスを騙し、みどり青果をモーリスの魔の手から逃がしたのだった。計画は巧妙で、みどり青果に逃げられた後に糀谷専務達は騙されていることが判ったのだ。その安田は、社内の秘密に精通していてモーリスのやり方を熟知している。
安田の行方を追ったが今もまだ見つかっていなかった。
半年以上前のこと、ウィークジャーナル東京本社に手紙が届いていた。小島部長の手元に偶々手紙が封を切らずに届けられた。
その手紙には『モーリスを調べて記事にして頂きたい!最近でも十社程の会社が倒産に追い込まれています。その倒産した会社を調べて頂ければ、恐ろしいモーリスの手口が必ず判ります。その中の一社、吉高フーズの社長は不審な亡くなり方をしています!お調べ下さい!必ず貴社の大スクープになると思います。モーリスに世間から制裁を加えて下さい。宜しくお願いします! 安田俊幸』その後に倒産した十社の名前と住所が書かれていた。
小島部長は、この手紙にあった倒産している会社を調べると、モーリスの裏の顔が見えるスクープ記事になるかもしれないと考えて、各支店に取材をさせた。
その中で名古屋支店の取材で、今、正に餌食になろうとしている千歳製菓の存在が明らかになった。
小島部長は、名古屋支店の取材から犯罪の匂いを嗅ぎ取りスクープより、モーリスを強請る材料になると考え始めた。
そして、潜入取材迄して決定的な事実を掴んだ美沙たちを利用して、モーリスを恐喝し、一億を手に入れ様としていたのだ。
この恐喝が無ければ美沙が捕らわれる事は無かった。
小島部長は、安田からの訴えを恐喝の道具としたのだった。
安田の味方のふりをして時々連絡を取り合っていた。
それでも安田俊幸は小島を警戒していて、週刊誌に暴露されて、裁判になれば堂々と証言台に立たせて貰うとだけ言い、小島には姿をも見せず、自分の居場所も教えなかった。
事実を掴んでいない安田は、ウィークジャーナルの組織力でモーリスの悪事が暴かれることを期待していたのだ。
翌日、小南は赤城の家に美沙の失踪の事実を伝えた。
信紀も妙子も絶句して、「潜入取材だと言っていたのですが何処に?」
小南は「大阪のクラブに潜入したのですが、消息が昨日から判りません」と伝え、警察も動いていますのですぐに見つかると思いますと説明した。
小南は、美沙の両親は直ぐに大阪まで行くと言ったが、もしも今騒いで表沙汰になると美沙が危険な目に合うかもしれないと思い「大丈夫ですので、落ち着いて待っていて下さい」と説得した。
土曜日の夜に誘拐され、既に今日は月曜日になっている。無事で救出されることを祈った。
小島部長に今の状況を報告するために本社に電話を入れた。
だが「小島部長は本日有休を取られて休まれています」と事務員が言った。小南は他の人に話すことは避けて用件は話さなかった。
日曜日から高槻に入っている三木と三宅刑事が合流したのは月曜日の朝だった。
三木は黒木と沙紀子ママが、ラブホテルに入った時間が少し変だと三宅刑事に話した。
北新地の店で自分が車を見た時間から測っても、ラブホテルに入る時間が一時間ほど遅いと主張した。
「三木さんは二人が偽装の為にラブホテルに入ったとお考えですか?」
「はい、店から高槻に来て赤城さんを何処かに連れて行ってから、ラブホテルに来たと考えます」
「赤城さんが二人に殺害されたとは考えませんか?」
「殺害する理由が無いのと、殺害する時間は無いと思われます。多分監禁されているのではないかと」
「潜入して重要な事を探り宛てたのですか?」
「僕は内容まで聞いていませんが、小南は赤城さんから情報を貰って本社にスクープとして送っています」
「どの様なスクープか教えて頂く必要がありますね!小南さんは?」
「小南は新和商事に探りに木村と一緒に行きました」
「その様な場所に?大丈夫ですか?」
「ウィークジャーナルの記者として行きますから、大丈夫でしょう?二人とは夜に会いますから、その時にお聞き下さい」
正午になって、新大阪駅に一億円の現金が入ったバッグを持った松永部長が現れ、ハンチング帽にサングラスの男を捜していた。
小島は、中央改札の中で顔を隠す様に新聞を広げて、その様子を窺っている。松永に尾行が無いのを確認すると、改札に近づいて行った。
中央改札の中から「松永部長!」と声をかけた。
突然後ろから声をかけられ驚いて振り返る松永部長に封筒を見せながら「これが情報だ!バッグを貰おうか?」
松永は、バッグを柵の中に投げ入れた。バッグを受け取った小島は、封筒を手渡すとホームの方に物凄い勢いで走っていった。
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