第50話  薬が

  56-050

喉が渇いて飲み物が欲しくなる様に、個室の中は異常に乾燥して温かく設定にされている。

専務が絢奈を気に入った様なので、急遽色々と準備をし始めた黒木と沙紀子ママ。

糀谷専務が喜べば自分達の評価が上がる。上手く運べば瑠美子の様にJクラブの所属にして、色々な仕事をさせる事も出来ると考えていた。

「専務!私もお替り頂きます!」白ワインを飲み干してママもお替りを頼むと、洋子も負けじとグラスビールの注文をした。

しばらくして「今夜はペースが早いぞ!」と松永部長が言ってテーブルの上に一万円を数枚積み上げた。

二十枚はある様に見えるが、それが何なのか?意味が判らない美沙。

「今夜のチップはこれだけだ!専務を喜ばせば貰えるぞ!」と松永部長が言う。

「新人!早く飲まないと駄目だろう?千津はもう三杯目だ!」さり気なく背中に手を回して肩甲骨に触れる専務。

急に触られてドキッとして、背筋を強ばらせる美沙。

その様子に専務は初心な女だな!本当に水商売の経験が無い様だと感じ取る。

美沙もどの様な事がこれから起るのか?肝心な仕事の話は全く無いがもう一人の人物が来てからなのだろうと考えていた。その時専務が美沙の口元にグラスを持ってきた。

「さあ、飲みなさい!」

「あっ、は、はい」と口を少し開くと、一気に流し込まれる。

「うぅ、げぼ」慌ててハンカチで押さえる美沙。

「少し飲めた様だな!美味しいだろう?早く酔ってチップを貰いなさい」

「酔ったら頂けるのですか?」

「そうだな!酔うだけなら一枚だな!」

「専務、千津苦しくなって来たわ、少し背中を緩めて頂けます?」

そう言って専務にドレスの背中を向ける千津。

「そうか、苦しいのか?」背中のジッパーを少し下げる嬉しそうな専務。

「二枚だな!」松永部長が一万円札を畳んで、千津の前に置いた。

「ありがとうございます」正面を向くと、ドレスの胸元が大きく開いて胸の谷間が専務の方から良く見える様になった。

専務の左手がその谷間に消えるのに時間は掛らなかった。

「専務さん!もっと優しく」千津が言い始めると、洋子は席を立って黒服に「あの子に二杯目を持って来て!」小声で言って個室を出て行った。

殆どグラス一杯を飲まされた美沙は身体が暑くなって、喉が渇いている事を感じていたが、まだ酔っ払っている感じにはなっていなかった。

「千津!もう二枚追加だな!」胸を揉みながら専務が言うと「ありがとうございます」笑顔で言うが、既に千津の片方の乳房が時々見え隠れする程専務が触っている。

「新人!お前は苦しく無いのか?」

背中から腰の辺りまで右手で触る専務に「いゃーエッチ!」と言って立ち上がる美沙。

「まあ、はしたないわ!絢奈さん!専務さんにお尻を触られた位で騒いでいたら、千津さんの様にチップは貰えませんよ!」とママは窘めるが、怒ってはいない。

この様に焦らされるのを楽しんでいる専務を知っているからだ。

もう直ぐ酔いが回って、専務の自由になり喜ばれるのは決まっていたからだ。

美沙に二杯目が運ばれて来ると、千津も暑いので再び注文する。

ママは時計を見ながら、もう一人が来る前にこの絢奈を部屋から出さなければいけないが?大丈夫か?と心配になり始めていた。

「さあ、二杯目が来たわよ!喉が乾いているでしょう?早く飲みなさい!」

グラスを持って絢奈に手渡す。

「おおーようやく二杯目か?一気飲みをしてみろ!一枚やるぞ!」

一杯飲んで、たいして酔わない様な気がした美沙は「一気で飲んだら一枚貰えるの?」とわざと言ってみた。

「そうだ!やるぞ!就職祝いだ!」

一杯飲んで自信が出来たのか、怪しまれない様にする為にもここは相手の懐に飛込む気分で小さなカクテルグラスのカルーアミルクを飲み干した。

「おおー良い飲み方だ!一枚差し上げなさい」

松永部長が一万円を畳んで絢奈の前に置いた。

「ありがとうございます」笑顔でカクテルグラスをテーブルに置いた時、急に目眩がした。

「あっ、目が回って・・・」

「一気飲みして、目が回ったのか?」

「は、はいーそうみたいです!」

「少しここに・・・」そう言って自分の膝の上に絢奈の身体を俯せに寝かせる専務。

「ありがと・・・」既に目が回って動けない美沙、話し声が遠くで聞こえる。

「苦しいだろう?」背中のジッパーを少し下げる専務。

その時「社長がお越しになりました!」マネージャーの黒木が伝えに来た。

「千津さん!もう良いわ、出なさい!」

「この娘は?どうしましょう?」黒木が尋ねると「もう酔っぱらって何も聞こえない!私の膝の上で眠らせておけ!」専務が間髪を入れずに言った。

これから遊ぼうと思っていた糀谷専務は名残惜しいのか、美沙を膝の上に仰向けにして乗せて新垣社長を迎え入れた。

「新垣君!久しぶりだな!」

「専務!ご無沙汰しています!その子は?」

「大丈夫だ!酔っぱらって寝ているから、何も聞こえない」そう言いながら緩めて広がった胸の谷間に手を入れる。

「うぅ、いゃーだめ!」無意識に口走っていると思っている専務。

美沙は辛うじて意識が残っており、新垣の名前を確かに聞いていた。

「大丈夫ですか?」

「心配いらない!大学生で薬の入ったカクテルを飲ませているから」

「頼まれていたみどり青果の件ですが、やはりお宅の安田が絡んでいた様です」

「予想していた通りですね」松永部長が言った時、専務の手がブラジャーのセンターホックを指で外していた。

ブラジャーが緩んで「あっ、あぅ」声が出る美沙。

「警察が例の車の件で再三来ましたが、盗難届けを先に出していましたので大丈夫かと思います」

「安田の行方を引き続き追ってくれ!」その後はJクラブの話に移って三人は何処かの会社を陥れる事を相談していた。



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