#108 正に悪夢
「うわあああああああああ!!」
「うおっ!? ど、どうした!? 悲鳴なんかあげて……」
「あ! え? ……お? なんだ……夢か……」
「え、その言葉リアルで初めて聞いたんだけど、何? 悪夢でも見たわけ?」
「えー、あー、うん……」
「悲鳴をあげるとかどんな悪夢だよ……」
「あんたに殺される夢」
「……なんだって?」
「だから、あんたに殺される夢」
「おいおい、なに縁起でもねえこと言ってんだよ。俺がお前を殺す? ないないない。天地がひっくり返ってもない」
「だよねー、アタシにゾッコンのあんたが殺しなんてするわけないよねー」
「そうだよ。俺はお前が好きだ、超好きだ。もう他の女なんてどうてもいいくらい好きだ。お前以外の女なんて考えられない。初めて会った時から好きだしなんなら結婚も考えてる」
「嘘? マジ?」
「マジの大真面目。だってお前を他の男に取られたくないし、お前が他の男と一緒にいるなんて考えたくないし、お前の全てを俺は愛している」
「いや、その……そこまで言われるとちょっと気恥ずかしい……」
「お前のその艶やかな髪も、ぱっちりとした瞳も、細い手足も、少し体が弱いところも、力入れて握ったら折れてしまいそうな雰囲気とか、今も絶賛照れてて赤い頬とか全てが愛おしい。実はさ、中学の時お前が他の男と付き合ったって聞いた時、俺ほんとどうにかなりそうだったんだから」
「あーそういえばそんなことあったね。なんでか一週間くらい経ったらぱったり合わなくなったんだけど。ま、中学生っていうガキの頃だし、ちょっとした冒険ってやつだったのかも」
「ホントよかったよ。すぐに別れたみたいで。もう、俺そっから頑張ったんだから。お前の一番になるよう頑張ったんだから。周りの羽虫を蹴落として頑張ったんだから」
「はいはい。アタシもあんたのその一途なとこ好きだけどさ、時々言葉が乱暴になるのは治してよね」
「……すみません。ホントごめんなさい」
「そ、そんなまじに謝んなって」
「そういえば、俺聞きたいことあったんだ」
「ん? 何?」
「この前仕事場楽しそうに話してた男って──ダレ?」
「え? ああ、後輩くんのこと? あー、あの子ね。今年入ってきた新入社員の子なんだけど、小動物みたいで可愛いんだよね〜。めっちゃフレッシュで、やる気に満ち溢れているっていうかー、なんか、猫みたいでかわ──」
「──君は俺だけ見てて。俺だけを見て。俺だけの話をして。俺以外の男は見るな」
「────」
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