#91 祖父より孫へのメッセージ

 内定が決まった報告をした日に、じいちゃんに言われたことがある。


「いいか、マコト。社会人ってのはな? 理不尽なことがたくさんある。ストレスの連続、ほぼほぼマイナスなことしか起きん。プラスなんてあってもときどきじゃ」


 僕は『これから社会人いなる人のやる気を削ぐこというの?』と首を傾げたもんだ。


「だからな、辛い時があった時、立ち直るルーティンが必要なんじゃ。特にプラスに働くものがいい。カラオケで歌いまくるでもいいが、いちばんのおすすめは美味い飯をたらふく食うことじゃ。人間、美味い飯を食って、たくさん寝る。そうすれば気力は回復する。わしはそうやって社会人の時過ごしとった」


 美味い飯を食う。

 たくさん寝る。

 この二つだと、じいちゃんは繰り返し言い続けてた。

 確かに、じいちゃんの言う通り、社会人としての生活が始まるとストレスの連続だった。

 理不尽なことの連続。うまく仕事ができない。そんな日々が続いた。

 何かに押しつぶされそうになった時、じいちゃんの言葉を思い出した。

 その日、僕は美味い飯を食った。そしたら気分がすごく軽くなった。じいちゃんの言っていた通りだ、と思った。

 その日から僕は嫌なことがあると、毎晩の夕食をたらふく食べた。

 美味い飯を食うと、力が湧いてくる。次も頑張ろうと思えた。

 でもね、じいちゃん……これ大きな欠点があったよ?


「……体重、百キロ超えちゃったよ」


 当たり前のことだった。

 美味い飯をたらふく食って、寝てたら、そりゃ太る。

 じいちゃんは細身だったから、油断してた。

 体を使う仕事をしていたじいちゃんと、デスクワークの僕じゃ、消費カロリーが違うことに気づくべきだった。

 あー最悪だ。

 最悪だから、今日もたらふく飯を食おう。

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