第5話 想い決行?⑤
『で、なに?どうしたの?』
今度は逆に彩が和樹に声をかけた。和樹が声を詰まらせていたから。
『和樹君?』
和樹の表情が真剣でどこか悲し気にみえた彩は下からのぞくように和樹をみつめ名前を呼んだ。
2人の目線が合う。和樹は彩に聞きたいこと、気になることがあった。伝えたいことも…
『彩はこないだ3年の人から告られたのはホント…?』
和樹は彩の顔を見るのが怖かった。実際、第三者の和樹には関係のない話なのだ。
しかし聞かずにはいられない。彩が怒って帰るのではないかと和樹はヒヤヒヤしていた。
恐る恐る彩の顔を見やる。
『え?』
和樹は予想外の彩の表情に驚いた。
以外にも彩はキョトンとしていたのだ。
ただたんに彩が3年生の先輩となんらかの交流の際に話が勝手にこじれ告白されたのなんだのとなったのではないかと和樹は少し思いホッとした。
『違うの?なんだ噂かぁ~』
和樹がひとり勝手に抱えていたストレスが安堵感に変わる。そして
『ホントだよ』
まさかのカウンターをもろにあびる。
『うぇ?マジ?えぇ?』
冷静を保ちたい和樹だか動揺を隠せない。
和樹が聞いた噂では3年生はイケメンスポーツマンと聞いた。背も高いと。
彩の好きなタイプがどうなのかハッキリとは知らないがどうなのだろうか?そのまま付き合ってしまうのではないか?不安がよぎる。
『うん。マジです♡』
彩らしくないよそ行きの声で和樹はうなだれた。
『じゃもう付き合ってるのか~センパイと』
一番聞きにくい質問がすんなりと諦めとともにでた。涙も出そうだったがなんとか和樹はもちこたえた。
自分に自信がないとはいえこんなに情けないことはないと和樹は思った。
彩の表情は普段の顔にもどり和樹をみつめる。
和樹は今現在、失恋を体験しつつある状況でも彩の顔は綺麗だなと見とれてしまった。間違いなく彩に惚れているのだ。
『なんで私が先輩と付き合うの?』
すこし眉間にしわを寄せながら彩は不思議がっている。
和樹はすでに思考が止まっていて彩の言葉の意味が理解できない。
『あのね和樹君。好きでもない人から告白されて私が付き合うと思う?』
カラカラに乾き動かなくなった和樹の脳に潤いが戻りだす。
『え?じゃあ付き合ってないの?』
和樹は興奮のあまり前のめりになり目が輝きだす。
『断りました』
彩は少し不機嫌そうに
『そもそも私に彼氏ができていたら、彼氏以外の男性と二人っきりになったりしない………バカ』
不機嫌である彩の言葉は少しづつ小さくなり最後の言葉は和樹には聞きと取れなかった。
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