第4話 想い決行?④
母の忠告により正気にもどった和樹は確かに自分の顔がニヤけていることに気が付きそれを母に見られたことが無性に恥ずかしかった。
ニヤけてはいるのだが和樹は強がり
『別にニヤけてねぇないし』
と、引きつるような表情で一人エレベーターに向かい歩き出した。
集中集中と和樹は心の中で唱え優子に余計な事を尋ねられないように振る舞い、尋ねられてもとぼけようと思った。
母のことだから追及してくるだろうと思うが完全にしらを切り通すしかない。
彼女との会話には終わりがないのだ。自分が納得するまでしつこく質問攻めに合う。
『このままでは完全に詰められる』
和樹は内心ビビりながらブツブツと唱えていた。
たかが女子と少しの距離を一緒に歩いただけで舞い上がっていたとは流石に言えない。悪い話ではないから隠す必要もないがなんとも理由が情けない。
自然を装いながらエレベーターに乗り込む。すぐに優子も乗ってきた。部屋がある5階まで二人は無言だった。
エレベーターを降り501号室へ歩く。先を歩く和樹は違和感を感じていた。
優子が何も聞いてこないからだ。
マシンガンのように喋る優子が静かだと気味が悪いが内容が内容なだけに都合はいいが。
違和感を感じながらドアのカギを開け先に靴を脱ぐ。リビングにつながる廊下を歩くと、あとから家に入った優子が突然口を開いた。
『で、あの可愛い女の子が和樹の推しなの?』
直球な質問に和樹は勢いよく振り返り優子をみる。
優子はニヤリと笑い勝ち誇っている。
『え?なんで?』
落ちついた口調で聞いているが和樹の顔はガンギマリである。
見られていたのか?いや、それはない。優子の職場からの帰り道にあの横断歩道は通らないしそもそも方向が違う。見られる訳がない。
訳がわからず和樹は声がでなかった。
『青春か~いいねぇ~若いって♪』
優子は上機嫌でリビングへ入っていき夕飯の支度にとりかかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます