第127話 外酷城攻略戦3

「タン、タタタタ、タタタタ、タン、だ」


 部屋の向こう、この部屋を見事に通過したブルースが、オレにどうやったらこの部屋を攻略できるか教えてくれている。


「タン、タタ、タタタン、タタタン?」

「違う! タン、タタタタ、タタタタ、タン、だ!」


 分かるかぁ! 自慢じゃないがオレは音楽の成績最低なんだぞ!

 だがそんなことを言ってはいられない。何せこの部屋をクリアできていないのはオレだけなのだから。

 ファラーシャ嬢やヤースープ公妃閣下、その精鋭にブルース、マーチは分かるが、マヤにアキラ、オーロ王女までクリアしていて、向こうから応援している。

 この部屋は音楽に合わせて床材の一部が光るのだが、音楽に外れると床材が抜けて下の巨大針山にまっ逆さまだ。

 音楽を罠に仕掛けてくるとは、なんて凶悪なんだ外酷城!


「タン、タタタタ、タタタタタン」

「惜しい!」


 惜しいの? 何が正解で何が間違いなのかも分からない。


「タン、タタタタ、タタタタ、タン……?」

「それ!」


 向こうで皆がわいわい言っている。どうやら正解を引き当てたらしい。

 タン、タタタタ、タタタタ、タン。タン、タタタタ、タタタタ、タン。


「よし! 行きます!」


 右手を上げてオレは部屋に流れる音楽に耳を澄ませる。向こう側も静まりかえっている。なんなら祈っている人までいる。

 よし! 今だ! というタイミングで光る床材にジャンプする。……崩れない。しかしホッとはしていられない。床材が光っているうちに次の床材にジャンプしなければ、足場が崩れるのだから。

 次は四連続。タタタタ、とジャンプする、と皆が心配そうにこちらを見守っているのが目に入り、一瞬足場を踏み外しそうになった。


「ああ!」


 皆から声が上がるが、なんとか持ち直し、次のタタタタに繋げる。が、次何だっけ?

 こうなったら、と最後の足場を思っいきりジャンプするオレ。が態勢が整わずにジャンプしたせいだろう、オレのジャンプはあとちょっとだけ出口に足りず、オレの体はそのまま床材を壊して針山に、というところでガクンと手が何かに引っ掛かる感触。上を見れば、アキラとブルースがオレの手を握っている。オレはなんとか針山にダイブしないですんだようだ。


「大丈夫かリン!」

「うん、なんとか」


 オレは二人に持ち上げられながら、


「なあ」

「なんだよ?」

「下にもう一つ通路があるんだが?」

「「何ぃ!?」」


 驚いた二人に手を離されるオレ。オレは空中でジタバタしながら、下方の通路にしがみついたのだった。



「なんと言うか、意地悪さもここまでくると立派に思えてくるな」


 皆で下方の通路に降りてくる。上方の通路にはレバーがあり、それを作動させると下方に降りれるようになっていたからだ。下方の通路には上に行ける仕掛けが無いことから、こちらが正解の道だと推察した。

 その通路を進んで行くと外に出た。橋がある。が中央に一本の支柱が付いているだけで他に支えが無い。支持できるものがない上に、下を見ればかなりの上空だ。どうやらこの先の部屋がこの城の突き当たり、天守閣のような場所のようだ。


「まあ、行くしかないよな」


 皆で顔を見合せ、ジャンケンをする。最初に行く一人を決める。負けたのはブックマンだ。


「何故僕が……」


 とぶつくさ言いながらもブックマンは橋に一歩踏み出す。すると横に動き出す橋。脇に支えがない橋が動く。見ているだけでゾッとする。ブックマンはその橋をハルバードを支えにゆっくりゆっくり歩いていく。真ん中の支柱にたどり着いたところで90度回転していた。そしてブックマンが橋の端にたどり着いたところで180度。


「お帰り」

「ただいま……戻りました」


 う~ん、真っ直ぐ行くと、丁度180度回転するらしい。

 その後、一人ずつ試してみるがダメだった。走って向こうまで行っても180度回転するし、途中で帰ってきても橋も元に戻ってくる。


「困ったなあ」


 と思案していると、


「ねえ、通れたんだけど?」


 とマーチが橋の向こうから声を掛けてきた。

 へ? どうやったの? やべぇ、見てなかった。


「マーチ、どうやって通ったんだ?」

「いや、普通に通れたけど?」


 ?? 訳分からんな。マーチと他の人と何が違うんだ? もしかして重量か? 人形が重量過多で何かしらの仕掛けに引っ掛かったのか? となると、


「マヤ」

「私が一番重いと思ってるのね」

「うん」


 蹴られた。でもマヤは橋を進んでいく。が普通に180度回転して戻ってきた。違うのか? もっと重量が必要なのか?


「オーロ王女」

「あなた、本当に失礼ですよね」


 オーロ王女は文句を言いながらもオレに背負われ、オレたちは橋を進む。すると、あっさり先に進めたのだ。回転は360度だった。なるほど。


「人数だな、多分」

「人数?」

「一人で180度で二人で360度。多分マーチの人形は人としてカウントされたんだと思う」


 という訳で皆にそのことを説明し、二人一組で来てもらう。

 ファラーシャ嬢とヤースープ公妃閣下、アキラとブルース、マヤと神父。が、精鋭は五人なのだ。一人余る。どうしたものか。


「マーチ、人形背負ってオレと来てくれ」


 マーチとともに橋に乗る。精鋭の一人も乗る。これで橋に四人乗ったことになる。精鋭の一人にこちらに来てもらえば、720度回転で、最後の一人はオレたちの元にたどり着いたのだった。酔いました。

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