17章 忍び寄る絶望

17章 episode 1 不安な前兆


◆ プロジェクトの構想を瀬川に話した。


 本宅に到着し、プール脇の小径で士郎は蹴つまずいた。最近は目眩がしたり、油断するとつまずくことがあった。瀬川を指導している舞美を見て驚いた。瀬川はターゲットを外したことがないスナイパーだ、伝説のオトリ捜査官なんだ、おい、相手を見てから教えろよと思ったが、無理か……

 舞美と熱々なひとときを過ごして、戸締まりを確認中の士郎はプールの瀬川に気づいた。舞美から言われたことがよほど悔しかったのか、息つぎとフォームを確認していた。伝説の男は完全主義者か、きついだろうなと同情した。


 朝早くから舞美は台所で奮闘していた。

「クロワッサンをたくさん作って、お世話になっているみなさんに食べてもらうんです」

 手伝ってもらって1000個以上のクロワッサンが焼きあがった。抱えきれないほどの袋を持って、あの店この家と配って回った瀬川は驚いた。ケンは士郎が外で作った息子だと町民全員が信じていた。


「そこのお兄さんは運転手さんかい?」、無遠慮な質問に舞美は「いいえ、親戚のお兄さんで子供たちの先生なんですよ。時々ここに来るかも知れません。よろしくお願いします」、しれっと応えた。

 時々ここに来る? 俺が? ここを気に入ったのがわかったのか。

 帰りは持てない程の野菜と魚介類を手にして戻った。夕飯は豪華な刺身と鍋が登場し、瀬川はなかなかの酒豪で深夜まで士郎とグラスを傾けていた。


 ある晩、舞美が切り出した。

「やりたいことがあるんです。瀬川さんも聞いてくれますか? プールとお風呂を地域の方々に使ってもらおうと考えてます。先々代は温水プールを作って地域の子供たちに開放しましたが、今は違います。目の前に海があっても護岸工事が進んで、安全に泳げる浜辺は僅かです。冬でも泳げるプールを開放したいと思います。大海原を見て育っても泳げないお子さんがいるんですよ」


「君の話はよくわからない。プールと風呂を町に売る気か?」

「いいえ、違います。私たちの家族専用では勿体ないし、維持費も大変です。この家をお父さまから引き継ぎましたが、プールとお風呂は、みなさんと共有して活用する方法を探っています。

 それでお願いしたいのは、瀬川さんにこのプロジェクトの責任者と言うか、リーダーになって欲しいのです。さまざまなメンテナンスや増築・改修工事が必要で、1年後ぐらいのオープンを目指してます。役所の交渉など面倒なことは私がやりますから、瀬川さんは私をガードしながら、ライフセーバーや水泳指導員、ボイラー関連の熱処理技能士などを勉強して資格を取っていただきたいのです」

 瀬川は無言で聴いていた。


「急にそんなことを切り出しても乱暴すぎる、瀬川くんは驚いている。彼には彼の考えとやりたい事があるはずだ。君の暴走にはついて行けない、考える時間が必要だ、そうだろう?」

「舞美さん、僕は考えごとは苦手なので10分待ってくれますか」

 士郎は舞美に本宅を委ねるときの親父の言葉を思い出していた。

「僕でよかったらやらせてください。季節の色と匂いを感じられるここが好きです。やっと忙しくなりそうで楽しくなりました。正直、かなり退屈してましたから」 

「そうと決まったら、士郎さんに異存はありませんか、後からモンク言っても却下ですよ」


「親父はこう言ったんだ。他の嫁に本宅を委ねるとあっさり売却するが、舞美なら工夫して存続させるだろうと。親父はわかってたんだなあ」

「そうだったのですか、私はまたウマウマと乗せられたのでしょうか。瀬川さん、この家は先々々代が漁師から網元に出世して基礎を築き、先々代がさらに立派にしたものです。魚がたくさん獲れてこの町がいちばん元気だった時期と重なります」


「そうは言っても金はあるのか? 銀行に頭下げるのか?」

「あの~ お父さまから預かったお金を持ってます」

「へっ!! まだあるのか? 親父は君にいくら残したんだ?」

「はい、士郎さんを嫌いになったときの再婚資金にしなさいって、残してくれました」

「くそーっ、タヌキ親父め! よっぽど舞美に惚れてたのか、エロ親父!」

 士郎のヤキモチに瀬川が珍しく大声で笑った。



17章 episode 2 家族が壊れていく前兆


◆ 泥酔の士郎の胸には女の爪痕がくっきり……


 瀬川の我流泳法は舞美の厳しい指導で矯正され、自然なフォームで楽々泳げるようになった。

「瀬川さんは肩から背中にかけての筋力と、腰からお腹の体幹がしっかりしてます。だから腕の力で進もうとするんです。これからは大腿四頭筋を鍛えましょう」

 指摘された筋肉はスナイパーに必要な筋肉で、鍛錬して作ったものだ。

 瀬川は毎朝ラジオ体操で寝ぼけた体を目覚ませ、子供たちと一緒に体を動かした。舞美は欠かさず腹筋を鍛え、瀬川は下半身を鍛えるスクワットに夢中になった。午後、幼い子どもたちに昼寝をさせた舞美は、ケンを膝に乗せて話に頷き、励ました。ケンは嬉しそうに舞美を見つめた。ああ、これで山本さんの息子の心を治したのかと瀬川はわかった。


 湯河原の楽しい合宿のような日々は終わり、新学期に合わせて東京へ戻った。

 瀬川は舞美を大学に送り届け、講義が終わる頃に姿を現すが、大学図書館で本を読み耽り、付近や新宿の街に足を延ばした。こんな普通の日常が嬉しかった。コンマ1秒も油断できない世界で生きて、上司や同僚、周囲の人間が信じられなかった。気持ちを無視した命令、『オトリ捜査官』と聞こえはいいが問答無用の殺し屋だった俺。思い出したくない過去がのしかかった。


 瀬川は4月半ばからライフセーバーの講習に参加した。実技と講習だが久しぶりの座学が楽しく感じた。

 一方、舞美のアクティブでわかりやすい講義は好評で、他大学からの招聘も相次いだが、週2日のスケジュールを守った。

 青木に学生の質問が集中した。

「舞美先生といつも一緒にいるあの男は誰ですか? まさか恋人ですか?」

「いや、舞美先生をガードする人だ。心配はいらない。つまらない関心を持つな」

 青木はそう答えたが、いつも舞美を送迎する小柄な青年を不思議に思って、パソコンで執拗に検索した。日本の警察関連サイトではノーヒットだったが、CIAのデータに辿り着き、瀬川の全貌がわかった。防衛大学卒業で警視庁入庁か。そういうことか、山本さんが勝負をかけたのか、鈴木が射殺されたのは多分…… 青木は推理を放棄した。


 深夜のことだった。瀬川のキャンピングカーの窓を小さな手が叩いた。シンが泣きべそ顔で立っていた。どうしたと聞くと、ママが怒ってパパに水かけたとしゃくり上げて泣き出した。なんだ、夫婦喧嘩かと思ったが、ドアを開けると玄関先に士郎はずぶ濡れで横たわり、傍に空っぽのバケツが転がっていた。酒と香水の匂いが充満していたが、前後不覚の酩酊状態だった。


 ネクタイが緩み、はだけたワイシャツの胸に無数の引っ掻き傷があった。女の爪痕だ。これを見られたのか、目が覚めてどんな言い訳をするだろうと想像した瀬川は、愉快に思った。

「舞美さん、士郎さんはどうしますか、運びましょうか?」

「シンに心配かけちゃったわ。悪いけど寝室の床に転がしてくれませんか」

「ベッドじゃなくていいんですか?」

「ベッド? とんでもない! こんな不潔な人間は床で十分です!」

 瀬川とシンは顔を見合わせた。


 翌朝、床で眠りこけている士郎を無視して、和やかに朝食を済ませ、手伝いに来た士郎の母と入れ違いに舞美は大学へ行った。

「舞美さん、まだ怒っているのかい? 帰って来たから許してあげたら?」

「いいえ、帰ってきたから許しません。ああいう状態で帰ってくる神経が理解できません。甘えてます! 何ですかあれは。最低です!」

 舞美はキッと睨んで言い捨てた。


 それから10日過ぎたが舞美は子供たちと眠って、士郎を完全に無視した。子供たちが不在の昼間、士郎は密かに家へ戻り、パソコンで講義要項を作成している舞美に声をかけた。両手をついて謝ったが振り向きもされず、業を煮やして抱きしめようとしたら、振り向きざまに舞美は士郎の頰を派手に叩いた。


「何するんだ! 悪かったと謝ってるじゃないか、叩くなんてあんまりだ!」

「誰が謝れって言いましたか! なぜあんな醜態で帰って来たんです。女の人の家に泊まって、何もなかった顔して帰って来れば誰も傷つかないでしょ。情けないと思いませんか! 最近の士郎さんはどうかしてます! 甘えてます! お父さまなら帰って来ません!」

「帰って来るなと言うのか!」

「そうです。あんな姿で帰って来ないで! 見たくありません! 覚えてますか、きつい香水の匂いをさせて胸には赤いマニキュアの破片と爪痕。哀しくて情けなくて水をかけました。それも知らないなんて最低です!!」

「すまない、酔っ払って記憶がない。悪かった」

 隣の部屋で熱処理の教本を暗記していた瀬川は、だいぶエキサイトして来たな、そろそろ仲裁に入るか。それにしても、士郎さんはみっともなかったなあ、怒る気持ちがよくわかった。



17章 episode 3 罠にはめられた士郎


◆ 女狐の逆恨みを瀬川が見破った。


「舞美さん、単刀直入に言いますが、男はあんな泥酔状態では射精できません。女に誘われて抱いたとしても、酔い過ぎて行為は出来なかったでしょう。許してあげてください」

「瀬川さん聞いてください。セックスの後にお酒を飲んで泥酔したとも考えられます。セックスした、しない、それで怒っているんじゃないです。落とし穴にラクラク落ちた士郎さんを軽蔑します! 私が危険に遭う心配が少なくなったから安心したのですか、忘れたんですか?

 士郎さんを陥れようとワナを張ってる人だっているでしょう。オシドリ夫婦と持ち上げられて、面白くない人だっています。なぜ、考えないのですか! 情けないです、悲しいです。それとも、帰りたくない事情が士郎さんにあるのですか! 私は帰る家がないのでここにいるだけです」

 舞美は涙を隠して子供部屋に走り去った。


 がっくりと項垂れた士郎に同情はしないが、瀬川は舞美と子供たちを気遣った。

「今さらですが、あの晩の記憶はどれほど残ってますか? あんな醜態を晒すことは度々あったのですか? 行きつけの店ですか?」

「いや、まったくない。どうしてあれほど酔ったか考えたがわからなかった。翌朝、母は床に転がった俺を起こして、胸や腹に口紅がついていると言った。いつもこうなのかと嘆き、舞美が可哀想だと泣いて帰ってしまった。瀬川くん、聞いてくれるか。俺の記憶は切れぎれだが、腑に落ちない。信じてもらえないと思うが、女を抱いた記憶はない」


「思い出してくれませんか、どこで飲んでいたのですか」

「会合がお開きになったのが8時だった。たまには花を買って帰ろうと青山の花屋で注文して、隣のカウンターバーに入った。しばらく待たされたが、すごい美人の店員が注文した花を持って来た。舞美が好きな真っ白のフリージアの花束を抱えて店を出た。いい匂いだと顔を花に近づけたら、急に視界がぼんやり霞んでしまった。

 車に乗せられた気がするが記憶は曖昧で、次に思い出せる場面は女が抱きついていた。知らない女だった。ペニスをいじられたが俺はボーッとしていたようだ。女の歪んだ顔が不気味で吐き気がしたとき、顔に何かを被せられた気がする。

 次に気づいたときは六本木の交差点に立っていた。夢遊病者みたいな俺は車を拾って、議員宿舎に帰りたいと告げたと思う。記憶はそこまでだ」


「だいたいのことはわかりましたが、ケイタイやカードは無事でしたか?」

「それはあった」

「出してくれますか、調べます」

 瀬川はパソコンをカタカタさせて、

「士郎さんのVIPカードから1,000万円のキャッシュローンが作られてます。今、それを停止します。2週間は全てのカードが使えませんがいいですね。メールはどうですか?」

「メールはしない、舞美に連絡する程度だ」


「ハメられましたね。士郎さんか舞美さんに恨みを持つ人間で、仲間に男もいます。士郎さんを担いで車に乗せて服を脱がせる、これは女では無理でしょう。冷たい別れ方をした女はいますか?」

「いないとは言えないが、10年前のことだ。今さらこんな犯罪を犯すとは思えない。それ以後は舞美だけだ。俺の醜悪な画像が拡散されるということか?」

「あるかも知れません。山本さんに画像と記事を止めてもらって、早急に捜査してもらいましょう」


 3日後、山本が家に来て舞美に会うなり土下座した。

「聞いてくれ、士郎さんの不始末は俺のせいだ。かつて俺が夢中になったバケモノ女狐が、士郎さんを逆恨みして企てたんだ。士郎さんは女を抱かされたが、クスリが効き過ぎて何も出来なかったと思う。腹いせにカードで1,000万のキャッシュローンして足がついた。

 暴行に強盗と詐欺、女狐も含めて全員逮捕された。もっと詳しく知りたければ話すが、どうする? 士郎さんを許してくれるか? 適度の酒は男を興奮させるが、過度な酒に興奮剤を盛られては肝心なものは役に立たない。俺が言うんだから信じてくれ、わかってくれるか」


 舞美は山本の話を聞いていたが、突然笑い出した。

「士郎のバカタレ! 話はわかりました。瀬川さんと山本さん、ありがとうございました。わかってないのは士郎さんだけです。ひとつだけ条件があります」

「何でも言ってくれ」

「明日、谷川先生の診療室に行って、ヘンな病気に罹ってないか調べてくれますか。気持ち悪いです」

「谷川先生は小児科だろう、いやだ、小児科に行くのは」

「まだそんなことを言っているんですか、秘密を守ってくださるのは谷川先生だけです。瀬川さん、連れて行ってください」

 可笑しくて瀬川は笑い出したが、士郎は情けない顔で俯いた。



17章 episode 4 不機嫌な舞美


◆ 母の不倫のトラウマか、愛する心は虚ろい漂う。


 士郎は冴えない顔で谷川の診療室を訪れた。話を聞いた谷川は驚いたが、付き添っている瀬川を見て、青木から聞いたこの男が『伝説のオトリ捜査官』か? まったく気配を感じさせない男だ。この体格では女に化けても怪しまれない。なるほど、青木の推理は正しいだろう。


 血液検査と全身の粘膜と湿疹の有無を調べて、谷川は厳かに「合格」と宣言した。

「診断書は必要ですか」の声に、「いや、それには及びません」と士郎は遠慮したが、「もらった方がいいですよ。舞美さんに見せましょう」と瀬川が言った。「なぜだ? 合格と瀬川くんも聞いただろう」、不審顔の士郎に「もし、僕が違うことを言ったらどうでしょう?」、瀬川はにっこり笑った。


 待ちに待った解禁日、士郎は舞美に飛びつく前からジワジワと粘液を漏らした。いきなり挿れたかったが、秘部に幾度もくらいつき舞美の顔色を伺ったが、燃え方はいつもとは違った。首を振ったかと思うと哀しい眼で天井を見上げた。

 なぜいつものように気持ち良く挿れさせてくれないのか、俺はそんなに悪いことをしたか? まだ許してくれないのか……

「最低な僕を見て幻滅したか? 許せないのか? 君を失いたくない。どうすればいいんだ、何でもする、頼む、教えてくれ!」


 長い沈黙が続いて、やっと舞美が口を開いた。

「どうしても泥酔状態でキスマークや爪痕がついたあのシーンが眼に浮かびます。今は愛されて幸せだけどそれは幻かも知れない。そんな不安で押し潰されそうになります。士郎さんが浮気したとは思ってません。でも、何かわからないけど不安で仕方がないんです。ごめんなさい」

 幸せな日常が霧散する不安に怯える根底には、男に走った母親の影がある。俺の醜態を見てショックを受け、記憶が蘇ったに違いない。舞美、悪かった。俺はどうすればいいんだ。


 確認したいことがあって部屋の前に来た瀬川は立ち止まった。

 舞美さんは幸せを壊した母親と自分を重ねている。舞美さん、人の心は移ろいやすく儚いものだ。この世に絶対や永遠はないよ! たとえ見つけても、それは10年も20年も続くものではない。舞美さん、生きることは不安の連続だよ。瀬川は目を伏せた。


 数日後、士郎は事情聴取に出頭し、正視できない数十枚の画像を見せられた。忸怩たる思いで自分に相違ないと認めた。山本が画像の公開と流出を阻止したのがせめてもの救いだが、赤面の至りであることに変わりはなかった。

 縮んだペニスや腹につけられたキスマークなど、面目丸潰れだった。もし俺が女だったら強姦罪が成立するが、被害者が男の場合は嘲笑の対象でしかないのか、男女同権ならこれは変える必要があると怒ったが、さすがに言い出せなかった。


 翌週の舞美の講義は賑わった。斉藤の週刊誌がすっぱ抜いたからだ。山本が、捏造された記事が出る前に公開できる最小限度の事実を記事にさせたからだ。

「先生、今度はご主人が話題になってますが、本当ですか?」

「はいっ? ひどく酔っ払って帰って来たのでバケツの水をぶっかけたら、朝までそのままのびてました。私はさっさと大学に行きました」

「先生はご主人を許したのですか、腹が立ちませんか?」

「もちろん今でも怒ってます。今回は許したけど次は完全にアウト! 私も夫も週刊誌さんから出演料をもらいたいです。人生って落とし穴だらけなんですね」


 学生たちは机を叩いて笑った。教室内がやや落ち着くと、

「もしもの話をします。女子のみなさんに聞いて欲しいです。男性とお酒を飲んでいると仮定します。急に酔っ払った感じがして、目が覚めたらベッドでした。これは完全にはめられたケースです。睡眠薬や興奮剤はネットで簡単に購入できます。すぐ病院に行って検査を受けて、診断書をもらいましょう。

 いいですか、しっかり聞いてください! レイプの痕跡は日が経つにつれて不明になります、3日間で消えます。すぐ診察を受けなさい。そして、信用できない男性とお酒を飲んではダメです。飲むなら覚悟して飲みなさい!」

 唐突に舞美が学生に話す身近な話が面白くて、欠席する学生はいなかった。



17章 episode 5 小さな軋み


◆ 舞美と士郎は少しずつ狂って行くのか?


 夏休みが近づいた夕刻、舞美を迎えに瀬川が大学に戻ると大きな銀杏の下で、背の高い男と話していた。学生ではなさそうだ、教師か? 男は優しい眼をして舞美を見つめ続けていた。舞美の表情は見えないが、言葉を探してはつまずき、互いに見つめ合っていた。しばらくして男は舞美の両肩に手を置いて少し背を屈め、スローモーションのように何かゆっくりと喋った。瀬川は唇の動きを読んだ。「今でも愛してる」

 男のスリムなパンツに納められた股間が膨らむのを瀬川は確認した。そういう仲だったのか、この男は舞美さんの元カレか? そのとき学生たちが近づいた。舞美は学生の輪の中に戻ったが、去って行く男の背中を追っていた。


 少しずつ舞美がいつものように甘えてくれるようになり、士郎はホッとした。シンが「パパはママから怒られて、もっとラフラブになっちゃった」と瀬川に言いつけるほど、傷ついた舞美をいたわったが、何かを思いつめているようで、元気はなかった。


 ある日、湯河原の海が見たいと舞美がねだった。湯河原へ向かう車の中で、「大丈夫か、疲れてないか?」と士郎は聞いたが、返事はなかった。 

 瀬川は運転しながら後部座席の舞美を見たが、眼を閉じた頰には涙の跡が残っていた。車を本宅につけたら、「ジジちゃまのお家だぁ!」とレイが喜んだ。

 到着して30分が経った頃、台所に地元のオッサンやカミサンが思い々の品を持ち寄り、「奥さんは楽してください。うちらでやります」と夕餉の支度を始めた。士郎は台所に顔を出して礼を言ったが、カミサン連中の全員がそっぽを向いた。瀬川は笑って見ていた。


「ずいぶん僕は嫌われているようだ」

「そりゃあそうでしょう。週刊誌に写真はなかったけど、あれはマズイです。舞美さんファンを敵にしました。ここではケンは士郎さんが外で作った子と信じられ、健気にケンを育てる舞美さんにみんなが同情してます。それであの記事です。士郎さんは若い妻を泣かす遊び人で極悪人でしょう。みんなは舞美さんを心配してます」 

「はあ? ここではケンは俺の息子か?」

「隠し子です。それにしてもケンはいい子です。舞美さんにぞっこんです」

「新しいライバルはケンか? 今だから言えるが親父はライバルだった。自分の女にしたかったらしいが、病気の俺について行くと舞美が決心して以来、手を引いた。だが本気で惚れていた。自分が死んだら渡してくれと多額の金を舞美に預け、死ぬ間際はたっぷり甘えていた。俺よりも信用していた、そういう女だ。それにしても酒井は未だにラブコールする、ふざけた男だ。舞美は3人の子持ちだぞ!」


「子供たちは舞美さんが育てるでしょう。ぼんやりしてたら、捨てられますよ」

「何だと! 僕を脅かすのか!」

「いいえ、そんな人だと言いたいだけです。酒井さんは舞美さんが5人の子持ちでも、そうか、一緒に育てようと言う男です。なぜだかわかりますか? 酒井さんにとって舞美さんは同志であり同士なのです。志が同じでひとつ釜の飯を食った仲間なんです。それがたまたま男と女だっただけです。今回のことも心配しているでしょう」

「僕はわからないなあ、酒井の気持ちは。この前、本気で叩かれたがあれは3回目だ。俺は初対面でキスしようとして見事に叩かれて、頰が腫れ上がった。2度目は、病気になったから別れよう、最後にキスさせてくれと言った時だ」

 いろんな事があったが、今やこの家は完全に舞美の手に堕ちた。士郎は落城した本宅で親父の眼は正しかったと痛感した。


 先に眠った舞美を揺すり起こした。

「思い出してくれ、僕と本当に結ばれた夜のことだ。名古屋でやっと男と女になれたが、あれはプロローグだ。まだ子供だった君はわからなかっただろうが、君が本当に僕の人になったのはここだ! 何を怖がっている? 僕の気持ちは変わらない。最悪な失敗をしたが舞美は僕のすべてだ。ほら、脚を開いてごらん、ああ、舞美の匂いがする、この匂いがたまらない」


 秘部にむしゃぶりついて、リズムとテンポを変えて攻めまくった。舞美は目尻に涙を溜めて耐えていたが、やがて挑発するかのように腰を上げて秘部を開いて誘った。欲情の極みに達した士郎が突撃した途端、すぐ絡め取られ絞りあげられた。極上のシジマに漂っていることだけはわかったが、なぜか息切れがした。



17章 episode 6 大事の前の小休止


◆ 確実に忍びよる病魔を無視したい士郎。


 早朝、キラキラ輝く朝露と清々しい空気に惹かれて瀬川は散策した後、プールを覗いたら舞美が泳いでいた。部屋に戻って海パン姿になった瀬川は、

「おはよう、舞美さん、競争しましょう。お願いできますか」

「いいですよ、ハンデいりますか?」

「ガチンコ3本勝負でお願いします」

 3本泳いだが、瀬川は勝てなかった。舞美は笑って、

「瀬川さん、1本目は女に負ける筈がないと思ったでしょ。次は負けられるかってリキんだでしょ、ラストはスタミナ切れです。いきなり泳いだでしょ、あれはヤバイです。体をほぐさないと故障します。チャンプ仕込みのストレッチをやりましょう。気づいたんですが瀬川さんは腰が硬いです。背中とお尻の鍛えた筋肉が邪魔してます。水泳はエビゾリのように柔軟な腰が必要なんです。ここに寝てください」


 カーテンの隙間から差し込む朝日に直撃されて士郎は目覚めた。起き抜けに舞美が欲しい分身は、ヨダレを垂らしてスタンバイしたが肝心の舞美がいなかった。どこに行ったのかとプールを見ると、腹ばいになった瀬川の腰に舞美は大きく脚を開いて乗り、両腕を掴んで反らしている。こら、何をしてる! 男の腰に乗るな! 怒鳴りたい気持ちを我慢してガラス越しに眺めると、

「少しだけど反れるようになったみたい。蝶々がひらひら舞うでしょ、あれが理想だってチャンプが言ってました」

 舞美は優雅にバタフライを始めた。


 はぁ? 何て女だと士郎がため息を吐いたとき、瀬川もため息をついた。腰に乗った舞美から何か匂った気がした。どこかで嗅いだ匂い? 何だ? でも気のせいかもしれない。女を抱かずに3年か、舞美さんの尻やあの部分は湿って生温かった。

 

 瀬川は3年前の夏を思い浮かべた。

 俺はよく行くコーヒーショップで女と出会った。そのうち何となく話するようになり、2カ月後に肌を合わせる仲になった。抱かれても決して目を閉じないその女が、俺を殺しに来たスナイパーだと知ったとき、躊躇なく女を撃った。だが俺に向けた女の拳銃に弾丸はなかった。なぜだ!! 俺の問いには答えず、見開いた目のまま僅かに微笑んで息絶えた。

 俺は後悔した。あの女は本当は誰だ? 1年後、女のファイルをCIAで見つけた。アメリカで育った女は12歳の時に養父にレイプされ、15歳で養父を撲殺し、それ以後はCIAで育てられた。死ぬ前にたったひとこと訊きたかった、俺を愛していたのか……


 濡れた髪で戻って来た舞美を乱暴に抱きしめた士郎は、「ダメだ! 瀬川の上に乗るな!」と、舞美を裸に剥いて強引に侵入した。怒り狂った士郎の分身は何度も暴発したが、やがて虚しく縮んでいった。「瀬川さんに焼いてるんですか」と上気した頰で訊かれ、「そうだ、悪いか!」、まだ怒っていた。

 プールサイドの舞美と瀬川はジャレ合っているカップルに見えた。あいつらは1歳違いで、二人とも鍛えた見事な体だ。3人の子の母に見えない舞美のビキニ姿と自分を比べて、恥ずかしく思った以上に瀬川の若さに嫉妬した。しかも俺の体調は最悪だ、再発したのか…… 忘れたい記憶が襲って来た。


 舞美は大学が夏季休暇になると、受講生のレポートをたくさん抱えて湯河原に滞在した。士郎は政務でなかなか行けないが、当然のように瀬川は母子のガードで本宅に行った。

 プールの光景が忘れられない士郎は、嫉妬心が湧き上がって気が気ではなかったが、そんな不安を払拭できる明報が届いた。アメリカ視察議員団に欠員が生じて、総理直々の懇請により士郎は視察団の一員になった。迷うことなく、瀬川を自分のガードに指名した。ニューヨークからスタートする強行軍の日程だが、瀬川はあっさりと、僕でよかったらお供しますと言った。


 ガードがいない舞美を心配した士郎は、山本にガードを頼んだが「その期間は警察学校の行事で行けません。ケンと信頼できる助っ人を派遣しますから、安心してください」、「そうか、頼むな」と士郎は鷹揚に応えた。



17章 episode 7 倦怠感に怯える日々


◆ プロジェクトの実現を前に、酒井が地元と交流。


 しかし、舞美のメールをニューヨークで見た士郎は仰天した。

「酒井さんが名大の水泳部員を率いて泊まってます。ケンはもちろん、シンやリョウも酒井さんに夢中です! 2週間の合宿だそうです。チャンプは凄いです! 尊敬します!」


 あーあ、瀬川どころか最も危険な酒井か!! 士郎は慌てふためいて母に電話したが、

「何を血迷っているのです、なぜ勝手なこと言ってるのですか、舞美ちゃんを信じられないのですか、私は行きません」

 けんもほろろに電話は切れた。傍にいた瀬川は可笑しくて仕方なかったが笑えなかった。士郎は公式スケジュールは努めたが、夜の誘いには一切応じなかった。それどころではない、今頃は艶熟した舞美を酒井が抱いているのかと想像すると眠れなかった。そして、それ以上に自分の体調の変化に密かに怯え、異常な倦怠感に悩まされていた。


 瀬川は3年ぶりにニューヨークの土を踏んだが辛かった。街には思い出が多すぎ、この街角でキスして、あのカフェで見つめ合った。特にイーストリバーの夕陽が眩しかった。どこを歩いてもあの女の面影がちらついた。


 帰国した士郎は報告会を済ませ、一目散で湯河原に車を急がせた。そこで目にしたものは、舞美はケンの手を引き、酒井が3人の子を抱えて海に向かう姿だった。背後には名大の水泳部員と地元の中高生が続いた。

 沖合に小舟が止まり、遠泳のようだが、中高生は赤い布を腰に結びつけ、長く垂らした姿で泳ぎ出した。シンは船に乗ったがケンは果敢に挑戦した。舞美は横に付き添って励まし続け、ケンは泳ぎ切った。名大の水泳部員は中高生をサポートして、沖合1キロでターンさせた。遠泳にしては短距離だが、この浜では毎年5キロの距離を若者が競った時代があった。


 浜辺には、有名な酒井選手が地域の子供たちと泳ぐのを見ようと大勢の人が押しかけた。その様子を見た士郎は、自分の浅ましい疑心暗鬼を恥ずかしく思ったが、酒井に対する警戒感は収まるどころか高まった。

 士郎と瀬川を見つけた舞美は浜に戻って来た。「お帰りなさい、お疲れさまでした」と微笑む舞美を、士郎は人目も気にせずいきなり引き寄せて離さない。膨張した男根が舞美の秘所と触れ合って興奮したようで、隣にいた瀬川が目のやり場に困った。

「おーい、藤井、なにしてんだぁ! シンが笑ってるぞぉー! パパはママにラブラブだって!」


 大広間で獲れたての海の幸の豪華な夕飯が始まった。瀬川は久し振りの海鮮丼に舌鼓を打ち、学生の列に並んでお代わりした。

「お留守のところ大人数で押し掛けて、大変お世話になってます。ちょうど大学のプールが工事中で使えなくて困っていた矢先、山本さんから誘われました。集団で居候して申し訳ありません」

 酒井が士郎に挨拶したら、舞美が、

「いいえ、ちゃっかり食費をいただいています。そのうえピカピカにお掃除してくれて、子供たちは毎日遊んでもらってます、お礼を言うのは私です」

「こっちこそ旨すぎる飯に大興奮です。滅多に食べられないサザエやハマグリを腹一杯食えるんで、極楽です、本当にありがとうございます」


 夕食後は子供たちを学生に頼んで、4人は中庭のベンチに腰を降ろした。

「瀬川さん、お疲れサマでした! ここの計画に関して面倒なことはほぼクリア出来ました。業者さんと働いてくださるパートさんを地元の方に限定したので、地域促進ナントカで補助が決定して、持ち出しは予想の半分です。工事は翌年の6月オープンを目指します。そうなると、瀬川さんはここに泊まることが増えますよね、部屋を片付けました。後で見てくれますか」


「オマエが役所と交渉したのか、ふーん」

 話を聞いた酒井は感心したが士郎はため息を吐いた。俺より舞美の方が議員に向いてそうだ、いつの間にか地元に強力な人脈を作って、行政機関を動かしたらしい。好きでもない議員をあくせく続けている自分が情けなく思えた。立ち上がろうとしたら眩暈に襲われた。


 気に入れば使ってくれませんかと、舞美が鍵を渡したのは2階中央に位置した、海に突き出ている部屋だった。部屋に入った途端、瀬川は気づいた。この部屋は家長の部屋だ。どの部屋より早く朝日を拝み、一面に広がる大海原が見渡せる。

「僕には不相応な部屋なんで辞退したいけど」


 瀬川の言葉に舞美は笑い、

「この部屋は代々長男の部屋ですが、私が継ぎました。新しいプロジェクトのリーダーになる瀬川さんにぴったりだと思います」

「士郎さんは怒りませんか、大丈夫ですか?」

「へっ? 士郎さんは四男です。ここは私のテリトリーで、私に決定権があるんです。部屋から見える四季折々の自然はとても優しくて、折れそうな心を包み込んでくれます。心が苛立っている時は自然もそう見えることを知りました。気に入ってもらえました? 軌道に乗ったら、瀬川さんのマイハウスを用意しますが、ちょっと待ってくださいね」

「いえ、僕は十分です。この部屋が好きになりそうです。ありがとうございます」

 瀬川はやっと自分の居場所を見つけた気がした。



17章 episode 8 虚しいセックスで淋病


◆ 白血病の再発を確信し、自分を見失った士郎。


 その夜、子供たちは学生に遊んでもらって大広間で眠った。やっと抱ける舞美を前に、士郎はヘトヘトになるまで舞美に喰いついたが、分身はあっさり搾り取られて敢なく砕けた。10日間も舞美を抱かなかったが、たった2回しか発射できない。男は40を越すと急に精力が衰えると聞いたが本当か? 疲れやすくて疲労が残る気がして仕方がない、士郎は不安だった。やはり再発したのか? 明日は検査に行こう、毎日そう思うが行ってない。春先からおかしい、息苦しい。目眩が時々する。不安は膨らむ一方だったが、一時的なものだ、そう思いたかったが、そのうち再発しているに違いないと思うようになった。


 プールを覗いた瀬川は、酒井のダイナミックなバタフライに驚いた。ひとかきするたびに津波のような波が襲って来る。まるでシャチのようだ。

「おはようございます。瀬川です」

「瀬川くん、ありがとう! どんなに感謝してもしきれない、キミは藤井を救った英雄だ! バカなオレでもすぐわかった。命の恩人だ!」

「いえ、僕は何も……」

「俺と藤井は直感のまま進んで行く人間だ。だからわかるんだ」


 酒井はゴツイ胸に瀬川を抱きしめて、いつまでも嬉し泣きした。男から抱きつかれた瀬川は照れ臭かった。ようやく瀬川を開放して、

「瀬川くん、指導員検定なんてチョロイもんだ。藤井だって1発合格したんだ。心配するな、3日間はオレが教える。合格間違いなしだ!」

「はぁ、今朝は舞美さんは?」

「ああ、士郎さんが離さないんだろう、今日は大目に見てやろう。オレは藤井に振られて何人かの女と付き合ったが、あんなに面白い女はいなかった。そうだろう?」

「はぁ……」


 舞美が起き出す気配を感じた士郎は、幸せの続きをやろうと呟き、たっぷり時間をかけて舞美を抱いた。やがて舞美の呼吸が荒くなり迎い入れる準備が整ったとき、鋭く差し抜いて、二人は異次元の奈落に堕ちて行った。

 俺はこの瞬間だけ舞美を支配している、何にでも一途に走っていく舞美を見ていると、この女は俺がいなくても生きて行ける。俺の存在とは何だろう? そう思ったりする。それが贅沢なことはわかっている。白血病に罹ってもついて来た女だ。こんな妻を裏切ることは出来ない。しかも、母親が男に走って家庭が壊れた経験から、愛されても怯えている。俺はこの愛を壊してしまうのか? 再発の不安を無視して検査に行ってない。行くのが怖い! この幸せはいつか消えてしまうのかも知れない。だが犯人は俺だろう、何てだらしないやつだ。士郎は頭を振った。


 廊下に出たら、シンが学生に連れられてプールに行くところだった。

「パパ、おはよう! パパがいないときボクたちはママと寝たんだよ、楽しかったぁ! いっぱい話をしたんだ。パパはいつもママを取るんだもの、ずるいよ!」

 学生たちはどっと笑った。


 湯河原の賑やかだった夏休みは過ぎ去り、都会で日常の暮らしが始まった。

 9月中旬から、舞美は士郎の変化に気づいていた。どことなく疲れた様子で、舞美を抱くことが少なくなり、これまでなかった無断外泊が2、3度あった。明日はシンの運動会の前夜、帰って来ない士郎に舞美はメールを入れた。「3人を父なし子にする気ですか! 明日はシンが楽しみにしている運動会です。シンが可哀想です!」


 翌朝になり士郎は帰宅したが、ヨレヨレの背広に汚れたシャツ、濁った目元は起きているのか眠っているのかわからなかった。子供たちが起き出す前に着替えさせようと、服を脱がせていたら、士郎の母が運動会の弁当を抱えて、鼻唄まじりでドアを開いたが、立ち尽くした。廊下に転がった士郎の情けない姿を哀しげに見ていた母は、突然叫んだ。

「触ってはいけません! 離れなさい! 淋病です!」

「えっ! 淋病って、あの性病の淋病ですか?」

「間違いありません!」


 舞美はすぐ谷川の自宅に電話し、瀬川に支えてもらって士郎を谷川の病院に急がせた。

「検査結果は陽性、つまり立派な淋病だ。感染経路の詮索は後でいい。失礼だがいつ夫婦関係があったの? 思い出してくれないかな、舞美ちゃんが心配なんだ。外で遊んだ男が家に持ち帰ることが多いんだよ」

「はい、この2日間は顔すらマトモに見てません。その前は生理だったので、恥ずかしいですが10~12日くらい接触はないと思いますが、私は検査を受けてはっきりしたいと思います」

「淋病のバイ菌の潜伏期間は2~7日で、行為以外で感染することは殆どないが、女性の場合は症状が出にくいから、検査を受けたほうが安心だよ」

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