13章 士郎と婚約したが、まさか!

13章 episode 1 南条の決断


◆ 現実はいつまでも恋愛ごっこを許さない。


 舞美は市村に調布のマンションの話をした。

「うーん、難しい問題だな。お前のお陰で4年間暮らせた、僅かだが貯金も出来た。俺は国家公務員総合職に合格して大蔵省に入省する。お前は絶望の底なし沼から救ってくれた恩人だ、感謝している。

 だから言う、よく聞けよ! 女は愛して結婚するより、愛されて結婚する方が遥かに幸せになれる。ハンサムに弱いお前がどこかのバカ男に惚れて、道を間違えることは俺が絶対に許さない!


 士郎さんは本気だ。お前も本気で考えろ。惚れてはないが好きなんだろう? あの人はお前を2年以上待った。そんな男はいないぞ! 俺の願いはお前が幸せになることだ! 自分で判断しろ。

 そして、いつまでも親父さんに頼るな、自立しろ。もし住む所に困ったら俺のアパートへ来い。隣の部屋は首吊り騒ぎで何年も空部屋だ、格安で入居できる。心配するな、俺は大蔵省の独身寮に入る」


 考えがまとまらないまま舞美は帰省することにした。士郎に帰省を告げると、「元気で戻って来いよ」と、あっさりしたものだった。

 帰省した舞美に父は、

「大学院か、よく頑張ったなあ! この前は強いこと言って悪かった。よく考えると舞美はもう大人だ、いつまでも手元に置くわけにはいかないな。自立して好きなようにしなさい」

 ずいぶん物分かりがいいセリフが返って不思議だった。将棋の本を片手にパチリパチリと楽しんでいる父を見て、

「パパ、リュウは来ないの?」

「ああ、龍平くんは勉強が忙しいらしい。たまに酒井くんが寄ってくれるがね」


 大掃除や買物を済ませた後、気になってリュウに電話したが、いないと言われた。なぜ電話くれないの、どうしたんだろう、夏休みは2回抱かれただけだ。そう言えば1カ月前から電話に出ない。リュウは何か怒ってる? 心当たりがない舞美は1月2日、南条医院を訪れた。


 南条は話があるから歩こうと言い、先に立って歩き出した。しばらく歩いて枯野原の河川敷を見下ろす土手で立ち止り、

「舞美、ごめん。僕は好きな人が出来た。今はその人を愛している」

「えっ! ウソでしょ! ウソって顔に書いてある」

「ウソじゃない。舞美は東京だ。舞美がいなくて、会えなくて寂しかった。我慢できなくて違う人を好きになった。本当だ! ウソじゃない」

「私が嫌いになったの? 大学院に行かないで帰って来ればいいの? そうでしょ?」

「僕は決めた、もう舞美とは恋人じゃない。ごめんね、これっきりだ。さようなら」

 南条の涙に気づいた舞美は、背中にしがみついた。振り返って舞美を抱きしめた南条は、涙を見られまいと上を向いた。男の鼓動を聴きながら、私たちは終わった、舞美は霞んでいく南条の後姿をぼんやり見つめていた。


 南条は舞美の父から問われた。

「今すぐの話ではないが、泉谷先生が士郎さんの結婚相手に舞美をと言ってくださっている。返事はしていない、舞美にも考えがあるだろう。ところが舞美は迷っている、士郎さんから愛されることを怖がっている。それは龍平くんへの思いがあるからだ。

 南条くん、年上の女性に憧れて好きになるのは男なら誰でも通る道だが、君と舞美はもう子供ではない。いつまでも恋愛ごっこが許される年ではない。君に覚悟はあるのか? 士郎さんは舞美の辛い気持をずっと支えて来た人だ」


 そう言われて、南条は自分の幼さと甘えを知らされた。帰省した舞美と会って抱き合って燃え上がる、それだけでは許されない年齢になってしまった。一人前の医者になれるのは早くて7、8年先だ。今の僕は舞美を幸せにする自信はない、覚悟がない、何も見えてはいない。

 やっと一人前になったとき、舞美は幾つになるだろうか。いつまでも舞美を愛していたら舞美が可哀想だ。舞美、許してくれ。舞美への想いを封印しようと決めた。


 父と過ごす時間は旨い食事を作り、明るく振舞ったが、1日の大半はミッキー・シローに話しかけた。明日は東京へ立つという午後、チャイムの音でドアを開けた舞美の前に士郎がいた。舞美は士郎に抱きついて泣きじゃくった。

 どうしたんだ? 士郎がいくら訊いても首を振り、いっそう激しく泣くばかりだった。


「君の涙を分けてくれないか、ほら、僕の胸においで。どうしたんだ? こんなに泣いて。僕に出来ることはないか? 言ってごらん」

「死ぬほど抱いてください」

「イヤだ! 死ぬなんて悲しいことを言うな。優しく愛し合おう」

 舞美のベッドで重なった。士郎は気づいた。この子のあそこの匂いはどこかで嗅いだ匂いだ。脳細胞が撹乱しそうな匂いだ。思い出そうとしたが記憶は途切れた。



13章 episode 2 南条との別れ


◆ 身を引く南条の気持ちが少しわかった舞美。


 真昼の日差しを浴びた秘部を手で覆って隠す舞美、邪険にその手を払った士郎は前戯どころかキスさえせずに強引に侵入し、前後の見境なく暴れっぱなしで舞美の上に崩れ落ちた。

「ごめん、舞美が欲しくて欲しくて我慢できなかった。次は約束を守るから許してくれ」


 全身にキスを浴びせ、舌先を秘部に移したとき、舞美が切なく喘いだ。

「お願い、早く愛して! お願い!」

 するりと侵入した分身が猛動する寸前、圧搾機に囲まれた恐怖を感じたときは遅かった。根こそぎ絞り取られた分身は虚しくパクパクと虚動した。士郎はつま先から湧き昇ってくる虚脱感と闘っていた。ああ、俺はおかしくなりそうだ! 何をしたんだ、君は。ふわふわした空間に漂った。何とも表現できない不思議な絶頂感に包まれた。

「驚いた!!! ずっとこのままでいたいが、いったん外へ出てお父さんが帰って来る頃に顔を出す。今夜は客間で寝るから、旨い物を食わせてくれ。どうした? 元気出せ、僕がいるじゃないか」


 士郎は暗くなって訪れた。

「わざわざ舞美を迎えに来てくれたのですか、お疲れでしょう。まず風呂に入って少しでも疲れを取ってください。どうした、風呂の用意は?」

 士郎と舞美はニヤリと顔を見合わせた。

 旨い旨いと夕飯を食べ、士郎は父と政局について夜更けまで話し込んでいた。


 南条は、明日は東京へ行ってしまう舞美に会って、あれはウソだと言おうとしたが、東京ナンバーの車を見て立ちすくんだ。舞美、本当はとっても好きだ! 愛してる! 言ってはいけない言葉を呑み込んだ。


 東京に戻った士郎は泉谷に、舞美は調布のマンションで暮らすと告げた。

「ほう、いつの間にそんな仲になったんだ、ついにバカ息子を卒業したか? それは良かったな。だがしっかり捕まえていろ。あれは2カ月も抱かれないと男を簡単に忘れてしまう子だ。俺の嫁に欲しかったが、息子じゃなあ」


 大学の卒業式と大学院の入学式に出席する舞美の父は上京して、調布の部屋に泊まった。大学から紹介された物件だと娘は言うが、やや時代遅れの家電と使い込まれた机を見て、全てを悟った。この部屋は士郎さんが用意したに違いない。気づかないふりして訊いた。


「士郎さんは元気か? ここに来るのか?」

「引越しの時にみんなと手伝ってくれたけど、忙しくてデートも出来ないの。パパ、知ってる? 政界の最後のプリンスだと写真週刊誌が見張ってるって。それで迷惑かけるからここには来れないって」

「士郎さんも大変だなあ。舞美、しっかり勉強しなさい。勉強したことは無駄にならない。それから男に金をねだってはいけない。その前にパパに相談しなさい。大切な娘だから何とかするよ」

「私ね、家庭教師のバイトするの。1カ月で4万円かな。心配しないで、それで家賃を払うの」

 真実はわからないが、ママの分まで幸せになって欲しいと願って、東京を後にした。間もなく、士郎から結婚を前提とした交際を認めて欲しいと封書が届いたが、娘の気持ち次第です、私がとやかく言うことはありませんと伝えた。


 茅ヶ崎海岸で1カ月ぶりにデートしていた舞美のケイタイが鳴った。ちょうど甘く切ないキスの最中だった。着メロで山本だとわかった舞美は、

「えっ、どうしたんです?」

「舞美ちゃん、僕は結婚するんだ!」

「わーっ、嬉しい! お相手はあの方ですね!」

「そうだ、彼女しかいない! 最初に舞美ちゃんに知らせたかった」

「おめでとうございます! 嬉しいです! ものすごく嬉しい!」

 舞美はワーワー泣き出した。士郎はケイタイを取り上げ、

「士郎だ、話は聞いた。おめでとう! 羨ましい限りだが、1カ月ぶりのデートをジャマするな!」

 泣き続けている舞美を抱きしめて、この子は山本の心も掴んでいたのか、親父が言った人たらしだと笑った。



13章 episode 3 山本の結婚


◆ 士郎と舞美は婚約したが……


 5月、伊豆は初夏の輝きに包まれていた。花嫁の智子に舞美が、新郎の山本には士郎が付き添い、簡素だが心温まる結婚式が湯河原の本宅で行われた。前日から泊まり込んで舞美は料理を作り、地元の鮮魚店や仕出し店の協力に感謝しながら、30名の祝膳を整えた。

 宴たけなわの頃、泉谷から贈られた濃紺のワンピース姿の舞美と緊張した面持ちの士郎が現れ、

「ご報告させていただきます、僕たちは婚約しました。舞美の大学院卒業を待って結婚します」


 その言葉に驚いた山本は舞美に駆け寄って、

「おい、吹っ切れたのか、幸せになれよ! 士郎さんはいい人だ、ちょっと我儘だけどね」

 舞美のおでこをポコンと叩いた。

 これには泉谷が呆れて、

「山本は舞美ちゃんの忠犬だと知っていたが、いつから兄貴になったのか? あーあ、いつも舞美ちゃんにはびっくりさせられるなあ。ウチの嫁はとんでもない嫁だ。士郎、本当におめでとう、よくやった! 俺はやっと安心したよ、めでたい、めでたい」と喜んだ。


 舞美が大粒の涙を溢したのは、花束贈呈で山本を育てた祖父母の涙で濡れた笑顔だった。70代と思える夫妻が山本の晴れ姿に嬉し泣きした。

「士郎さん、山本さんは親孝行できましたよね、素敵でした。山本さんを好きになりそうです」

「おい、そんなことを言うと虐めるぞ」、士郎は本気でヤキモチを焼いた。

 

 誰もが寝静まった深夜、舞美は大浴場で士郎の膝に抱かれていた。舞美の足を士郎が丹念に洗っていたところ、音もなく戸を開けて泉谷が入って来たが、緊張と疲れで舞美はうっすら眠っていて、士郎は舞美の太ももを洗うので夢中だった。

「仲がいいなあ!」

 驚いた士郎が振り向くと泉谷はバスタオルを投げ渡し、「背中でも流してくれるか」と笑った。士郎は裸の舞美を素早くバスタオルで包んで脱衣場へ逃がした。


「父さん、いくら何でも舞美に失礼です。絶対にやめてください!」

「いやぁ、年を取るとなかなか寝つけなくてな、静かだから士郎だけだと入ったが、悪かった。気をつけよう。ところでお前は女房の脚まで洗うのか、時代は変わったな」

「僕が何をしようといいでしょう。舞美は忙し過ぎたので労っていただけです」

「そうか、舞美ちゃんは立派に本家の主婦を務めてくれたなあ。昨日から煮物や肴の準備をしたようだが、あんなに台所が賑やかになったのは久しぶりだなあ、嬉しかった。士郎、あの子を逃がすな。解散選挙はいつあるか予測がつかない、それほど政治は混迷している。お前にはあの子の力が必要だ」

「父さんはどうするんです?」

「どうしたものかと考えている。俺のカンでは長男は落選だ。だが、俺が引退したらお前は一人だ。一人ではやりたいことなんて何ひとつ実現できない。少し考えさせてくれ、しかし、お前は舞美ちゃんをいい女にしたなあ」


 部屋に戻った士郎は、ベッドの真ん中でスヤスヤと眠っている舞美を起こさないように、静かに横に滑り込んだ。お疲れさん、その想いを秘めてキスしたら、舞美はふふっと笑って眠り続けた。


 夜明け前、士郎は我慢できずに、

 起きろ、目を覚ませ! 舞美の秘部に食いついた。眠りの中に漂っていた心と体を急に起こされた舞美は、ボーッと天井を見上げて士郎に気づいた。

「はあ~ いきなり起こさないでください。眩しいです。ああ、ダメ、ああっ!」

 そのうち舞美は士郎の息遣いに合わせて腰を揺らし、体の奥から押し寄せる刺激と抗った。やがて切なく喘いで高く持ち上げた秘部に、士郎は躊躇なく突進し、パワー全開で放出した瞬間、強力に吸い込まれる衝撃を感じた。

「うわーっ!」、声をあげた抵抗は虚しく、士郎は舞美に吸い上げられた。


 士郎の絶叫に驚いて目を覚ました泉谷は、ドアの外で聞き耳を立てたが、永いこと経験しなかった下半身の疼きに襲われた。恥や誹りを恐れずにあの子を嫁にしていればと後悔したが、あれでは俺はすぐにオダブツだなと苦笑した。

 それからも舞美はたまにしか会えない士郎とデートして抱かれた。忙し過ぎるのか、士郎は少し痩せたようだ。顔色が悪く呼吸が荒いときがあり、息苦しそうだ。何か不吉な予感が胸を塞いだ。どこか悪い? 病気? いいえ、そんなことない、そう思いたかった。



13章 episode 4 不吉な予感


◆ 舞美と酒井の直感は不安につながった。


 この夏、舞美は4回目のライフセーバーになった。酒井は会うなり、

「オマエ、見違えるように成長したな」

「へえっ? まったく大きくなってませんけど」

「バーカ、いい女になったと誉めてるんだ。士郎さんと婚約したんだって、ホントか? ヨメに行くのか? 後悔するぞ、そんな約束なんてチャラにしてオレんとこへ来いよ」

「はあ? それよりちょっと心配なんです」


「またかぁ、オマエは心配事が多いなあ、何だぁ? 面倒な話じゃないだろうな」

「士郎さんが元気ないです。疲れが溜まってるのか、消耗してるようで心配です」

「ははーん、それはオマエのねだり過ぎだろう。勃起不全か? 中オレか?」

「滅多にねだりません。それに月に1度か2度しか会えません。中オレって?」

「いや、聞かなかったことにしろ、バカに説明するのは面倒だ。オマエじゃないとすると、とかく男はいろいろと大変なんだ。あの人は国会議員だからストレスはハンパじゃないだろう。そんな男のヨメになるな、ヤメロ、ヤメロ。オレは諦めないぞ、オレのヨメになった方が楽だぞ、少しは考えとけ!」

 滝田はこの会話を聞いていた。そうか、酒井は藤井が好きなのかと初めて気づいた。ヨメに来いと喚いたが、あれは本心か……


 旧盆入りの13日、士郎はビーチに車を寄せた。はち切れんばかりの舞美の姿が眩しく見え、自分の体調の悪さを忘れられた。「舞美!」と叫ぶと、酒井が「ほら、士郎さんだ」と指差して笑った。舞美に駆け寄り抱きしめて、しばらく離さなかった。

 そう言えば、今年は坊やを見てないな。ライバルが士郎さんじゃなあ、学生の坊やに勝ち目はないなと酒井は思いながら士郎を見た。海から吹き上げる熱風に逆らって舞美に近づく士郎を見て、確かに藤井が言ったとおりだ。痩せたようだが眼光は衰えてはいない、体はしっかり締まっている。だが普通ではない気がした。何かおかしい。オレも藤井も難しいことは苦手で、直感と感覚で判断する人間だ。医者に診せた方がいいと思った。


「藤井、士郎さんは泊まるのか?」

「いえ、何も聞いてませんが」

「オマエさ、さっさと帰って旨いメシでも作ってやれよ。ところでさ士郎さんは食欲あるか? ちゃんとメシ食ってるか?」

「さあ? あまり会えないのでわかりません」

「あのさ、オレにおかずを作ってくれただろう。それはしないのか?」

「あの時はどうしても酒井さんにチャンプになって欲しかったんです。士郎さんは外での会食が多いので、私が作ったおかずなんて必要ないと思って、渡したことはないです」

「オマエのおかずは旨かった、体にいいぞ、作ってやれよ」

 敵に塩を送るようなことをなぜ言うのか、酒井は自分に呆れた。


 士郎は泊まったが、客間に通されてすぐ眠ってしまった。よほど疲れているのか朝まで起きることはなかった。

「士郎さん、起きませんか、朝ごはん出来ました」

 起こされた士郎は驚いて目を開けた。いつの間に眠ってしまったのか、夜中にこっそり舞美を抱こうと思って車を飛ばして来たが、不覚だった。

「舞美の顔を見たら安心して眠ってしまった、ごめん」

 照れ臭そうに言って、ビーチまで舞美を送って東京へ戻った。


「藤井、士郎さんは泊まったんだろう、幸せな夜を過ごしたか?」

「はぁい? 何言ってるんですか、客間で朝までぐっすり寝てたので起こしました」

「ふーん、それって変だぞ、医者に診せた方がいい。あの人は幾つだ?」

「えーっと、33か34かな」

「そうか、東京に戻ったら谷川先生に相談しろ。オマエが言うように何かヘンだ、疲れてるとしてもなあ、考えられないことだ」

「???」

 久しぶりに会えた若い恋人を抱かずに寝てしまうなんて、理解できない。しかもこんなナイスボディの女をか? オレなら1晩中やりまくっただろう。精神的なものだったらいいが、ヘンな病気だとな、コイツは若いまま未亡人か…… 山本さんに聞いてみようと思った。



13章 episode 5 重病発覚!


◆ すべてを諦めた士郎を舞美は叩いた。


 東京に戻った舞美は谷川に電話した。

「だいたいのことはわかったが、舞美ちゃんは士郎さんと毎日会うのかい?」

「月に2度か3度でしょうか。忙しそうでそれ以上会ったことはありません」

「毎日会っていれば見逃す兆候も、その間隔で感じたとすれば多分正しいだろう。うまいこと言って、人間ドックに連れて来てくれないか。それで大まかなことはわかる。結婚する前に健康診断しましょうとか言って、誘ってくれないかな」


 それから士郎に2度抱かれた。たっぷり時間をかけて優しく愛撫を続け、舞美を燃え上がらせるプロセスは変同じだったが、ラストパワーが落ちたことに気づいた。人間ドッグを勧めると、

「おい、年寄り扱いするな、大丈夫だ、心配しないでくれ、僕はこんなに元気だろう!」

 士郎は2回戦に挑み、難なくクリアーして嬉しそうに笑った。どう言ったらいいかわからないが、不安が残った。父の泉谷を動かすしかないと考えて連絡した。


 話を聞いた泉谷はそれは思い過ごしだろう、士郎は病気に罹る年ではない、この子のリクエストが激し過ぎるのかと嫉妬して、相手にしなかったが、幾度も舞美から電話をもらった。

「お父さま、私は士郎さんを死なせたくありません。愛しています、お願いです、検査に連れて行ってください! お願いです!」、舞美は泣いていた。


 俺の心臓発作を予知した子だ、ただ事ではないかも知れない。不安になって山本と中村に尋ねたが、SPは士郎の不調に気づいて心配していた。

 俺たちは選挙を戦える体かどうか健康診断に行こうと、有無を言わせず谷川の病院に士郎を連れて行ったが、判明した検査結果には不気味な数字が躍っていた。


 谷川は主治医ではないが、士郎の検査データを見た。

 この数値は危ない! 血液のがんと言われる急性白血病だ。いつ発症したかわからないが、数値で推測する限りでは、士郎さんは重度の倦怠感を長期間我慢していたに違いない。

 当面は投薬と放射線治療だがショックは大きいだろう。幼児の完治率は高いが、34歳の発症は完治率が低い。舞美ちゃんは幸せになって欲しかったと谷川は落胆した。賢いとは思えなかったあの子が大学院に進んで頑張ってるのに、なぜ幸せになれない? 予測不能な今後だが、谷川は士郎に精子の凍結を勧めた。


 2週間ほど士郎からケイタイもメールもなく、連絡しても応答はなかった。心配で胸を塞がれた舞美は、紀尾井町の士郎事務所を訪れたが、ここは君の来るところではないとドアを指差された。谷川に何度も電話したが病院も自宅も出なかった。

 ああ、やっぱり士郎さんは何か病気だ。谷川先生が電話を避けるほどのやっかいな病はがんしかない。図書館で医学書を片っ端から読んで、行き着いた先は白血病だった。応答しない士郎の気持ちがわかった。舞美はミッキー・シローを抱いて、毎晩泣き濡れた。


 突然、士郎から連絡があった。

「忙しくて会えなかった、ごめんね。クリスマスが近い、迎えに行くが来てくれるか? 大事な話がある」

 士郎は苦い真実を告げて婚約を解消しようと考えていた。舞美を不幸にしたくなかった。

 12月23日、眼下に真冬の駿河湾を臨み、ときおり鉛色の空から小雪が車窓に散って来た。二人に会話はなく、見つめ合うこともなく湯河原に向かった。本宅の広い邸内は寒さに凍えて震えていた。


 憔悴した表情のまま士郎は背一杯の笑顔を作って、

「僕は病気だ、急性リンパ性白血病だ。病気になった白血球が増殖して正常な細胞が極端に減少する病気だ。結論から先に言わせて欲しい、婚約を解消したい。死ぬかも知れない僕と結婚しても君は幸せになれない。別の人生を選んで幸せになって欲しい。わかってくれるか?」

 舞美はずっと俯いていた。

「教えてください! 愛してないのですか? 病気とどんな関係があるんです? 私が嫌いになったのですか? こんなに士郎さんを好きになったのになぜですか? 答えてください!」


「よく聞いてくれ、僕は生き延びるために放射線治療を受ける。子供が出来なくなるかも知れない。やっと舞美に巡り会えたのに、悔しくて腹が立って、哀しくて情けなくて神仏を恨んだ。この病気は治療しても治るかどうかわからない、そして再発を常に怯える病だ。

 辛いが別れよう、いや、別れなくてはならない。僕を忘れてくれ! 今だったら違う人生を歩んで幸せになれる。しっかり勉強して自立した女性になって欲しい、わかってくれるね。今までありがとう、一緒に過ごした日々は楽しかった、嬉しかった。知らない世界をたくさん見せてくれた。最後のお願いだ、キスしよう」


 抱き寄せてキスしようとした士郎の頬をバチーンと舞美は叩いた。

「フザケないでください! 何か言いましたか? 私は決めたんです、士郎さんに決めたんです! だったら子供を作れるうちに私をもっと抱いてください」

 士郎は驚いた。泣かれても説得しよう、あの子は若い、リスタートできる、解放しよう、それしかない。そう考えていたが、いきなり叩かれた。そして、抱いてくれとは……

「いいのか? 君は学生だ、子供が出来ても本当にいいのか? 僕が死んだらどうする? 君と子供が可哀想じゃないか」

「うるさいなあ!! 士郎さんは死にません! 子供の一人や二人、私が育てます! グタグタ屁理屈言ってないで、やってみましょう。子供が出来なくてもいいじゃありませんか、そんなことより元気になるのが先でしょう! 士郎の意気地なし! バカタレ!」

 舞美はワーンと子供のように大声で泣いて士郎にむしゃぶりついた。士郎は舞美の心が理解できなかった。なぜ辛い道を選ぼうとするのか…… そうか、やっと俺を愛してくれたのか! 今度は士郎がウォーと吠えて泣いた。



13章 episode 6 入院前の日々


◆ 何よりも心と体に必要なもの、それは希望。


 思いつめた表情の士郎が湯河原に向かったと知った泉谷は、まさかとは思うが無理心中を脳裏に浮かべて後を追い、今の会話をドア越しに聞いた。山本と足音を忍ばせて居間に戻り、

「あの子は士郎に生きる力を与えたようだ。俺の目は正しかった。本気で士郎を叩いたな、いい女房だ」

「舞美ちゃんは目標を決めると一直線に向かって行く子です。士郎さんと幸せになって欲しいです」

「お前、舞美ちゃんに惚れたことがあるな?」

 山本は赤くなって下を向いた。


 早朝、穏やかな寝顔の士郎を置いて、舞美が手足を伸ばして湯船に浸っていたところ、ガラリと戸を開けて泉谷が平然と入って来た。

「おはようございます、お父さま。いいお天気ですねぇ、いつ来たんですか?」

 舞美はバスタオルを巻いて笑った。

「ほぉー、用意がいいなあ、裸じゃないのか、がっかりだ」

「甘い、甘い! お父さま、背中を流しましょう」


 隣に舞美がいないのに気づいた士郎は、車を見て父が来たことを知った。またかぁ? 風呂場を覗くと舞美が父の背中を流していた。呆れて戻ろうとしたら山本とばったり出会った。

「風呂か?」

「そうです。舞美ちゃんに話があります。士郎さんも一緒に入りましょう」


「舞美ちゃん聞いてくれ、僕は父親になるぞ!」

「ひゃあ、おめでとうございます! 早くこっちへ来てくださいよ。あっ、士郎さんも」

 山本は勢い込んで浴室に走り込んだが、腰に巻いたタオルがハラリと落ちた。すかさず泉谷が舞美の眼を手で覆った。

「あれを見たら士郎は振られそうだ」

 士郎は苦笑して舞美を抱き上げた。


 泉谷と士郎は話し合って、治療を始めるまで士郎は本宅で静養することに決めた。一方、舞美は帰省しないで士郎に付き添い、大学院の期末試験期間だけ東京に戻ることにした。翌日には、ミッキー・シローと教科書や法律書が運び込まれた。

「お父さま、士郎さんが勉強を教えてくれるそうです。試験に落ちないように頑張ります」

「経済専攻だった士郎が教えられるか、大丈夫か?」

「議員になってから法律を勉強したので、大学院レベルの論文指導は出来ます。それに英語も教えたいので、いろいろ考えてます」

「おい、舞美ちゃんを虐め過ぎるなよ。嫌われても俺は知らんぞ!」

 泉谷は笑ったが、士郎は生きる意欲と気力を女房からもらったようだ。どう教えようかと緻密なカリキュラムを描いているに違いない、それだけでも張り合いがあるだろうと思った。


 大晦日の早朝、台所で人声がするので覗いたら、魚屋の大将が舞美に魚のさばき方を教えていた。そのうち、八百屋のオッさんが野菜を届けに来て、賑やかな井戸端会議が始まった。いつの間に地元のオヤジたちと親しくなったんだ? 士郎は呆れて笑うしかなかった。

 午後になると、里芋がコトコト煮える音、昆布ダシのいい匂いが漂って来た。

「ボケーッとしてないで、重箱に詰めるのを手伝ってください、しっかりしてくださいよ」

「そんなにコケにするならメチャクチャ抱くぞ、いいのか」

「1日2回と言ったでしょ、守ってください。あのね、今はvest week なんです」

「ほ、本当か?」

「はい、だからいっぱい溜めといて、ドカーンと行きましょう」

 こいつは何てことを言うんだ、呆れてしまった。俺を1日に何度も呆れさせる舞美が、異星人に思えた。


 穏やかな元旦、舞美が用意したお節や雑煮を食べ、海岸通りを散歩した。

 舞美を抱くときに生身でやれるのが士郎はいちばん嬉しかった。気のせいだろうが、生暖かく潤った膣の感触、突入するときにヒダの突起に引っかかる瞬間、その全てが新鮮だった。舞美を抱くのが嬉しくて楽しくて仕方がなかった。舞美と一緒なら俺は生きていたい! 治りたい! 抱く度にそう思った。

 日増しに士郎の顔色は良くなり、体調もいくぶん持ち直して笑顔を見せるようになった。舞美を1日中一人占めに出来るのが、何よりも心と体には最上の栄養源になった。



13章 episode 7 白血病との闘い


◆ どうせ死ぬなら舞美の傍で死にたい!


 1月10日の早暁、舞美は山本の迎えで東京に戻ったが、舞美の留守中は中村が士郎に付き添った。

 夜更けに目覚めた士郎は、いつも隣にいる舞美がいない寂しさに耐えられず、ミッキー・シローを抱いた。いい歳した男がぬいぐるみを抱くとは情けなかったが、シローは舞美の匂いがした。あの子はこれを抱いて、寂しさや辛さを堪えていたのか、よくわかった。

 翌11日の昼前、勝手口を叩く音に中村が応対すると、「若奥さんから特注弁当の注文を受けました。10日間です。まいどあり~」、ホカホカと湯気が立ち上る炊きたての弁当が2つ届けられた。彩よく詰められた地元ならではの惣菜を眺めて、中村と顔を見合わせた。中村の分まで手配した舞美の心遣いが嬉しかった。


 夕食は、舞美が日付と解凍時間を指定した作り置きの冷凍食品に、二人は舌鼓を打った。

「あいつが作ったものは冷凍しても旨いなあ、中村、そうだろう」

「食堂の手伝いで鍛えられただけあって、さすがですね。山本が惚れたのがわかります」

 そうか、あの無骨者の山本も惚れたのか、親父のセリフじゃないがたいしたものだ。ヤキモチを焼く前に、山本まで取り込んだ舞美を褒めてやりたかった。


 舞美がいない間も士郎は規則正しい生活を送った。中村からはマユツバものだが、がんに打ち勝つ強靭な体を作るという体操を習い、舞美に負けないように鍛えた。

 ついに待ちに待った舞美が山本と帰って来た。

「お帰り! 100年も待った気分だ。試験はどうだった?」

「バッチリです。士郎さんのヤマが当たって、しっかり書けました! ご飯作ります、手伝ってください」


 山本と中村はすぐ東京へ帰ってしまうと聞いて、

「時間がないので、ちらし寿司を作りましょう。お父さまと中村さん、山本ファミリーの分も作ります。1時間だけ待ってくださいね」

 舞美が言い終わらないうちに勝手口では、「若奥さーん、ご注文のアワビと甘エビ、置きますよー、まいど~」の声が響いた。

 ちらし寿司を2つの大きなパックに詰めて持たした。

 

 地球上のすべての生命体が焼け焦げるような熱い夜が訪れた。士郎は舞美を離さず、もう一度もう一度とねだり続けた。あまりの激しさに全身が火照ってボーッとした舞美が、

「我慢してください、もう4回目です。ムチャしないで」

「僕はこんなに元気だ、心配するな。やっと舞美が戻ったから今夜だけは大目に見てくれよ。ずっと待ってたんだ、100年待ったんだ、いいだろう?」

 確かにフィニッシュのラストパワーは戻ったようだが、これから辛くて苦しい治療が始まるかと思うと、舞美はつい涙を零した。

「なぜ泣く? そんなに気持ちいいのか、幸せになれたか?」

 コクリと頷いた舞美の眼を覗き込み、壊れるほど抱きしめた。


 穏やかに幾日か過ぎて行った。

「ごめんなさい。女の子の日になりました」

 小さくなって謝った舞美のおでこを叩いて、

「神のみぞ知るだ、気にするな」

 毎日俺のために旨いメシを作り、甘えさせてくれる。舞美と暮らしていると病気なんかに負けたくない! 舞美と幸せになりたい、頼む! 生かしてくれ! そう思っても俎板の鯉だ。士郎は舞美に言えない虚しい絶望感と闘っていた。


 2月20日、クリーン病室が空いたので山本と中村が迎えに来る。明日から入院だ。二人は何度も交わり、泣き崩れた。

 長い夜が明けた。舞美を残して士郎は走り去ったが、車が見えなくなるまで舞美は手を振り続けた。

「山本、頼む、お願いだ! 戻ってくれ! どうせ死ぬなら舞美の傍で死にたい!」、士郎は肩を震わせて泣いた。

 進行が早い急性リンパ性白血病は治療をすぐ開始する。士郎は検査数値が判明後、すぐさま薬物療法と放射線照射による治療が始められた。クリーン病棟に収容され、面会は1日1回のみ、10分間だった。


 照射開始直後から猛烈な吐き気に襲われて食欲はなく、喉の激痛で喋る気力は失せ、経験したことがない倦怠感に苦しんだ。食事は病院食しか許されず、外部持ち込みで許可されるのは滅菌済みの水だけだった。

 舞美と父以外の見舞いを全て断った士郎は、制限時間の10分間を惜しむようにキスして、痩せた胸に舞美を抱きしめた。

「舞美のメシを早く食いたいなあ。ここのメシはマズすぎる! 舞美のメシさえ食えば元気になるのになあ」 



13章 episode 8 舞美の妊娠


◆ 何が何でも生きたい! 士郎の気持ちが変わった。


 まもなく寛解導入療法を終了して一時退院となる矢先、面会に来た舞美が耳元で小さく囁いた。寛解導入療法とは、投薬と放射線により、骨髄の中の全ての細胞をクリーンにした後に造血機能を正常にする施術だ。

「私、お母さんになるかも知れません。明日、検査を受けます」

 驚きのあまり首を振って信じられない表情をした士郎は、

「ほっ、本当か、ありがとう!! 何と言えばいいんだ、大事にしてくれ」

 二人に言葉はなかった。


 翌日、舞美は泉谷と訪れて妊娠したことを告げた。

「まだ7週目なので無理しないようにと言われました。12週を過ぎると安定するそうです」

「士郎、おめでとう! 俺は息子が4人もいるのに孫がいなかった。初孫だ! おい、こんなところで寝ている場合じゃないぞ、退院したら湯河原で舞美ちゃんと静養しろ。一緒にいれば元気になるだろう」


 泉谷は寛解導入療法の効果が低い場合は、造血幹細胞移植を考えていた。細胞構造の類似可能性が高いのは血縁だ。67歳になる自分は対象外だと言われ、息子たちに検査を受けるように頼んだが、長男は何だかんだとゴタクを並べた挙句に断った。結局、三男がドナーに登録された。


 一方、昨年末に舞美の父は士郎の病気を知らされた。白血病と聞いて目の前が真っ暗になった。

 泉谷は懇願した。生きる気力を失った士郎を支えられるのは舞美ちゃんだけです。士郎と結婚させてください、お願いしますと何度も電話で切望された。父は娘に何も訊かなかった。一緒に暮らしているなら、士郎さんの力になるつもりだろう。

「娘が選んだのなら私は反対しません」と伝えたが、不憫で仕方がなかった。そして娘の妊娠を知ったとき、妻が置いた離婚届に判を押した。わかってくれ、ママとは離婚するが舞美の母親だ。泉谷家に入るなら、狂った母の存在は迷惑で肩身が狭いだろう。許してくれ……


 3月20過ぎに士郎は一般病棟に移った。舞美は士郎が好きな惣菜を持って毎日見舞った。「そんなに無理するな、僕の子をもっと大事にしてくれよ」と言いつつ、旨いと喜んだ。

 ある日、ナースが女性週刊誌を手に慌てた様子で病室に駆け込んだ。

「先生の入院をどこで知ったのでしょうか? マスコミが押しかけています」


 表紙には『政界最後のプリンス、泉谷士郎が白血病に倒れる!!』という文字が大きく躍り、発症から治療経過のほかに士郎のコメントも掲載されていた。

『投票してくださった皆さまのご期待に十分にお応え出来ず、志半ばで病に侵されて本当に申し訳ありません。現在は一般病棟に戻りましたので、まもなく国政の最前線に復帰いたします。皆さま方、どうぞご心配なさらないでください』

 記事の末尾に、東京在住の大学院生と交際していると書かれていた。

 首を傾げながら読みふけっている舞美に、

「これは親父が書かせた記事に違いない、間違いない。やるもんだなあ。親父がやりそうなことだ」

「へぇー、私の名前が出てないのでほっとしましたが、驚きました」


「これからも外出するときは“ダビデの星”を忘れちゃいけないよ。もうすぐ退院するが、しばらく湯河原で暮らそう、来てくれるか? そして舞美が安定期に入ったら式を挙げよう。いいね?」

「勝手に暴走した私を父は許してくれるでしょうか」

「お父さんはわかってくださった。何も心配することはない。舞美がいたから僕はとてつもなく苦しい治療に耐えられた。舞美、愛している。舞美も僕を愛してくれるか?」

「ふふっ、甘えん坊の士郎さんが好き!」

「ああ、舞美を抱きたい! こんなに大きくなってる。久しぶりだなあ」

「病室ではイヤです、我慢してください。お腹の子に恥ずかしいです」

「そうだな。今だから言えるが、谷川先生の助言で治療前に精子を冷凍保存した。いつか舞美が戻ってくれたら役に立つかと、そのときはそれしか考えられなかった。まさか、早く抱いてくれとせがまれるとは想像できなかった。僕は幸せだ」

 舞美は頬を染めて士郎の股間に手を伸ばした。「おい、やめろ、ああ、ダメだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る