第53話 もう1つの宣言
ざわめきが起きる中CEOの音声は話を続ける。
「今私はもう1つ宣言することがあると言いました。それを今から皆さんに公開しましょう」
皆はもう期待のまなざしでモニターを見ていた。
「それはこの遊園地に関わることです。この遊園地は100年の歴史がありますがそれと同時に劣化も激しく、全体の建て直しが必要となりました」
「しかしながら、今の現状では建て直しする予算もないため、遊園地を継続させることが不可能となりました」
「そんな中、とある会社に買収された結果、この遊園地の廃園が決まり会社が建つことに決定したのです」
皆この件にはいろいろな感情があるのだろう。
様々な表情で画面を見ていた。
「しかし子供からお年寄りまで楽しめる、このような場をつぶすことは将来的にも良くはないでしょう」
「最近公園や遊園地などをつぶして、住宅や会社などに建て替わるのをよく目にします」
「遊ぶ場をつぶすのは簡単ですが、今後やはり必要だったという判断になり、それらを作り直すとなれば、それはとても大変なことなのです」
「なので、この遊園地をつぶすことは、良くないことだと我々は判断しました」
「よって、ツブッターはこの遊園地を買収し、より良い遊園地へと改良することを、ここに宣言します!」
皆それを聞いた瞬間、うおおおおおおお!と限界を超えた大歓声が響き渡った。
「カズ兄!まじですか!?」
「あんた軽く言ってるけど何やっちゃってるのよ!」
「でも思い出の遊園地も残るし、ベストアンサーだよ」
まだ2人は何か言いたげそうだったが、俺の録音の音声がそれを遮る。
「この遊園地は今までにない、未来を形にしたものへと改良する予定です」
「そこで今日この場に来てくださった皆様には、少し早めにその未来を体験して頂こうと思います」
「それにあたり、まず西城咲良とデュエットするお相手を皆様方にご紹介したいと思います」
そこで咲良ちゃん含めみんなが思い出す。
このシークレットライブはデュエットであったことを。
ステージの左側に、煙が吹き出しその部分が煙に隠れ見えなくなる。
みんな一体誰が登場するのか、楽しみで目が離せず会場は静まり返り、煙の吹き出す音だけが響き渡る。
しばらくすると、煙は晴れて薄らと人影のようなものが見えてくる。
すると俺の横にいた2人が声を出す。
「えっ?嘘でしょ?」
「ちょっ、和樹!彼女って!!」
なぜ2人がびっくりしているのか。
それは、そこに現れた人は、俺を含め3人が良く知っている人物であったからだ。
煙が晴れた場所には、髪は紫色で肩ぐらいまでの長さがあり、赤いアホ毛が前に垂れ下がっており、そして瞳は赤色でタレ目のかわいらしい女の子が黒いドレスを着て立っていた。
煙が晴れたそこに、実現しないはずの俺の守護AIであるアテナが現れたのだ。
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