第52話 ついにCEOの登場です

会場の皆にざわめきが起こる。


「あれって、最近ニュースで話題の西城咲良か?」


「もともと出演予定だった里奈ちゃんが、シークレットって言うの斬新だな」


みんなそれぞれの思いを口にしていた。

すると里奈ちゃんは、ステージの右側に移動した。

すると背面にある3枚のスクリーンにツブッターのマークが出てくる。

その瞬間さらなるざわめきが起こる。

咲良ちゃんも皆の視線が気になり、背後のスクリーンを見て何事かとびっくりしていた。

咲良ちゃんには、俺がツブッターのCEOであることは言っておらず、ステージに上がった際の立ち位置しか言ってないのだ。




その瞬間、由愛と里奈の視線が俺に突き刺さる。


「カズ兄、あれって!」


「和樹、あんた何する気?」


この2人なんかこわいな。


「まぁ見てたら分かるよ」


俺はそう言っておく。




すると音声が流れる。


「皆さん初めまして、ツブッターのCEOです」


皆、予期せぬ出来事にスマホを取り出し撮影などしたりし、騒ぎ出している。

もちろん俺の音声を事前に録音したものだが、音声は複雑に変えている。


「音声だけですが世間に出たのはこれが初めてとなります」


「まず彼女の紹介から入ろうと思います。彼女は、西城咲良というアイドルで半年前から、とある事務所で活動していました」


「しかしながら皆さまがご存じの通り、彼女には悲劇が起こります。そしてそれは彼女だけではありません。今現在日本中で起きているのです」


皆騒ぎながらも真剣に聞いている。


「我々ツブッターは、そんな彼女たちを救いアイドルとして安全に活動できる場として、事務所を設立する運びとなりました」


「ここに宣言しましょう、私たちツブッターが設立したアイドル事務所、エンジェルハート!」


そういうと、真ん中のスクリーンにエンジェルハートのロゴが浮かび上がり、そのスクリーンに向かい大きなクラッカーが爽快な音とともに、飛び散る。


「そのエンジェルハートに、彼女は先駆けて所属してもらう運びとなりました。彼女、西城咲良は、これからもアイドル活動をしていくことをここに宣言します!」


そうすると周りから、盛り上がりの声が聞こえた。

会場中に響き渡る声。

先ほどまでのライブと比べ物にならない程だ。


「今日はアイドル西城咲良のファーストライブとなりますが、もう1つの私の宣言で今までにない、世界最高のライブになることでしょう!」




「カズ兄、ついに全国にCEOの存在が明るみに出たね」


「まぁ、CEOのうわさは以前から流れていたしそれが確信に変わるぐらいだよ」


「それって結構重大なことだと思うけど」


「まぁ、そのうち世間には公表するし、これぐらい大丈夫と思うぞ!」


「ちょっと2人とも、周りに聞こえちゃうわよ!」


里奈の声に周りの人が反応する。

里奈の声はすごく大きくて、周りに筒抜けだ。

このメンバーでの1番の問題児が浮き彫りとなったのであった。




その時西城里奈はびっくりして、ステージにいるのを忘れ緊張は全て溶けていた。

えっ?先輩が事務所つくたって言ってたよね。

となると、先輩が・・・ツブッターのCEO!?


彼女はそういう結論に至ってしまった。

学生があんな土地に、あんな事務所を建てるのは不可能だ。

疑問に思っていたがあえて聞かなかった。

あんな新しい設備が整った事務所だ。

先輩がツブッターCEOであったのではあれば、つじつまが合う。

それが分かった瞬間、彼女は鳥肌が立った。


(和樹先輩、あなたこれ以上何をする気ですか?)


彼には届かないであろうその疑問。

その声が届いたかのように、それはこれから明かされることになる。

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