第51話 さぁ、始まる!

俺は咲良ちゃんの楽屋を後にし、2人の元へと戻った。


「ちょっと和樹、遅いわよ!ギリギリじゃない!!」


「カズ兄、どんだけ長いの出したの?」


俺はその質問に、こんなの出した!と30センチぐらいのサイズを手で表現したら、由愛は腹を抱えて笑っていた。

我が妹の頭は、小学生レベルであった。

里奈は腕を抱えながら「もぅ!」と言っていた。




その瞬間、どうやらライブが始まるのだろう。会場のライトが消えて、辺りは薄暗くなった。

そしてステージにライトがついたと思ったら1人の老人が、ステージの真ん中のマイクがある場所まで歩いてきた。

そしてその老人はしゃべり始める。


「今日は、休日の中お集まりいただきましてありがとうございます。私はこの遊園地の社長をやらせていただいてます園田と言います」


皆はざわついている。

多分みんなこの遊園地の社長を初めて見たことだろう。

由愛が遊園地に社長っていたんだとつぶやいていた。


「この度は、私共といたしましてはとても大きな決断をしました」


社長の長々としたスピーチが始まった。

この遊園地の歴史であったり、社長の思いを聞いて最後に「それでは今夜のショータイムをお楽しみください!」と両手を上げたら、社長の近くの床から花火が噴出してきた。

それを見た皆は社長に拍手を送った。




すると地元の学校であったり、団体で音楽の活躍をしている人たちが、順番に音楽を披露する。

その人達にとっては、地元で活動をしている事を皆に知らせる良い機会だ。

学生は部活で活動しているのだろう。

それにしては、とても上手に音楽を奏で、いい歌声を披露していた。

今日のために、すごい練習をしたことが分かった。

音楽団体の人達は、プロ顔負けの歌声を披露していた。

みんな真剣な顔をしていたが、やはり何よりも楽しんでいた。




そのあと有名な歌手の人達が登場し、すごい盛り上がりを見せた。

これ、咲良ちゃん大丈夫かなと心配になるほどだ。

今頃、裏ですごい緊張しているかもしれない。

そんな中歌手は、最近人気のアニメソングを歌い出し、客のテンションはピークに達していた。




そしてついに残るはシークレットライブである、アイドル、西城咲良だけとなった。

皆シークレットは誰か知らされていない。

皆わくわくした様子で、その登場を待っている。


「シークレットの人。一体誰なんだろう?」


「やっぱり有名な人なんじゃないの?」


2人も誰が登場するか楽しみなようだ。


するとついにその時が来た。

静かな壇上に、煙が噴き出てくる。

その煙の中、1人の人間が歩いてくる。

そして煙の噴出が止まり、煙が晴れてその姿があらわになってくる。

その瞬間、皆ざわめきだす。

そこには、先ほどまで緊張でどうしようもない咲良ちゃんじゃなくて、アイドル西城咲良が居たのだから。


「えっ?あれって西城さん!?」


「あれが噂のカズ兄の高校のアイドル?」


2人は、びっくりした様子だった。

俺はこれから起きるであろうことを想像し顔をニヤケさせる。


さぁ、始まるぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る