第45話 新しい事務所は広いです
俺は咲良ちゃんを連れて中に入る。
すると入口のすぐ目の前に5列の入場ゲートがあった。
「うわーすごーい」
咲良ちゃんは驚いており、周りを見ていた。
「あれはカメラで職員かどうか認識して開くようになってて、もう咲良ちゃんの情報も入れてるから普通に入れるよ」
「すごいハイテクですね」
確かに咲良ちゃんの前の事務所は一般人でもすぐに侵入することができたので、それに比べたらすごいハイテクだろう。
「じゃあ入ろうか」
「はい!」
そう言い中に入ると、すぐ右手にコンビニがあった。
「わぁ、コンビニがあるんですね!」
咲良ちゃんは感心してみていたがふとあることに気付いた。
「コンビニの店員居なくないですか?」
あぁ、そのことか。
「これは無人販売だよ。職員だったら、カメラで誰が何を買ったのか識別してくれて、あとで登録された口座から引き落とされる仕組みなんだよ!」
「えっ?じゃあ財布なんていらないんですね」
「そうだね。これを使い慣れると財布は持ち歩かなくなるね」
「へぇ~」
ちなみに、商品も自動で補充されるので、ほんとに無人だ。
そして、それ以外にも1階には、24時間開いている社員の健康維持のためのジムであったり、レストランなどが入っていた。
「一応アイドルの事務所として改良したのが3階から5階までなんだけど、2階にはスタッフ用の入浴施設が備えられてるから、好きな時に使ってね」
「えっ?お風呂もあるんですか?」
「うん。一応くつろげるように広めの設計にはしてあるから、気に入ってもらえると思うよ」
温泉を引くことができないのが残念だが、それを取っても十分といえる施設にはしてある。
「今までシャワーすらなかったので、レッスンの後とかに最高ですね!」
あの事務所、シャワーすらなかったのか。
すごい過酷な環境で活動していたみたいだ。
俺はまず3階から案内することにした。
エレベーターで3階に上がり、扉が開くとエンジェルハートと看板が目の前に飛び込んできた。
「ここがエンジェルハートの事務所になってて、まず仕事に来たらここに来てもらうといいよ」
「はい!」
そして俺は中を案内することにした。
靴を脱ぎ中に入る。
すると中は広々した空間で、床にはじゅうたんが敷き詰められていた。
真ん中には大きなテーブルがあり、それを囲むように椅子が並べられている。
そしてその椅子に座ってテレビが見れるように、壁には大型テレビが埋め込まれていた。
その奥には簡単な料理が出来るようにキッチンがあった。
そしてそれとは別に和室も備えられており、そちらは洋室よりも狭く設計されているが、申し分ない広さだ。
その横には、持参品を保管するロッカーが備え付けられている。
これなら、事務所にアイドルが増えてきても大丈夫だろう。
咲良ちゃんはこの事務所を見て、興奮を抑えられないようだ。
「わーすごい!これうちのマンションよりも広いです!」
咲良ちゃんは、はしゃぎまわりながら、居心地の良さを満喫しているみたいだ。
「じゃあ次は4階紹介するね」
俺がそういうと咲良ちゃんは俺の元に走ってきた。
「ここは最高ですよ先輩!」
喜んでもらえて何よりだ。
俺達は再びエレベーターに乗り4階に向かう。
エレベーターを降りると、トレーニングルームと書かれていた。
「4階はトレーニングルームになってて、ここで歌の練習や、踊りの練習が出来るようになってるんだよ」
そう言い、中に入ると左右で部屋が分かれていた。
左は、歌の練習、右はダンスの練習ができる空間となっている。
まずは歌の練習ができるところから案内しよう、
俺は左の入口から中に入ると、中には、扉がいっぱいある部屋が現れた。
「一番手前は大勢で歌う練習をする部屋で、そこから先は5部屋全部一人で練習用の部屋になってるよ」
「え・・・こんなにも?」
咲良ちゃんはびっくりしていた。
「もちろん中での声は外には漏れないようになってるから、思い切り練習してもらっていいよ」
「それはありがたいですね」
外に声が漏れないように気を使って練習してたら、上達も遅れるしね。
部屋の中を見せると、最新の設備で整えられていた。
「すごい・・・」
咲良ちゃんは唖然としている。
「快適に使えるとは思うけど、足りないものがあったら言ってくれたら追加するよ」
「いえ、十分すぎますよこれ!」
少し豪華なカラオケルームみたいになってしまったが、気に入ってもらえたようだ。
次に反対の右側の部屋にはダンスルームがあった。
ここは広々と1部屋の作りとなっている。
思いきり体を動かして練習できるような作りだ。
「今まで歌にダンスを入れたことはないですけど、今後は入れてもいいかもですね」
咲良ちゃんは今後の事を考えていた。
「でもダンスって、勉強したことないんで分からないんですよね」
そんなときのために用意していたものもある。
「あと、先生も用意しているから、彼女に教えてもらうといいよ」
そういうと入口から、1人の40歳ぐらいの女性が入ってきた。
「初めまして、西城咲良さん。今後あなたの教育係となる
「はじめまして!西城咲良と言います!これからよろしくお願いします」
咲良ちゃんは、あいさつをした。
咲良ちゃんの教育係を誰にしようか悩んでいたときに、アイドル事務所を作ったことをツブッターで公表した際に、彼女が協力したいと手を挙げてくれたのだ。
本当に、持つべきものは友達である。
「じゃあごめん、5階も少し案内するからついて来てくれる?」
「はい!分かりました!!」
「また戻ってくるので今山さんは、ここで待機してもらっていい?」
「分かったわ!じゃあ咲良ちゃん、また後でね!」
「ハイ!」
咲良ちゃんは笑顔を返した。
俺達はエレベーターで5階に移動し、そこにはスタジオと書かれていた。
「えっ?事務所にスタジオなんかあるんですか?」
「うん。あったら便利かなと思って作ってみたんだ」
俺は軽く答えた。
「じゃあ中を案内するね」
中に入ると、部屋が左右と目の前の3部屋に分かれていた。
「右が音楽の収録を行うミュージックルームで、左が、話しているところを撮影するトークルーム。そして目の前の部屋がライブルームになってて、それぞれネット動画であったり、テレビにも自信をもって出せる設備にしてるよ」
それらの部屋を確認した咲良ちゃんは、今までの事務所と違い、整い過ぎていると言っていいほどの環境に唖然としていた。
「先輩って何者なんですか?」
その答えに俺はちゃんと答えておいた。
「ひ・み・つ♪」
咲良ちゃんは「からかわないでください!」と言ってきたが、まだ秘密にしておいた方がいいだろう。
そして俺たちは、4階のトレーニングルームに戻ってきた。
咲良ちゃんには今後の方針を伝えておこう。
「咲良ちゃんは今から先生に教わってトレーニングしてもらうことにするよ」
「えっ今からですか?」
「うん!だってライブが近いからね」
「ライブですか!?」
咲良ちゃんはびっくりしていた。
それもそうだろう、事務所に入ってすぐにライブがあるとは思っていなかったからだ。
「いつですか?」
それに対して俺は答えた。
「明後日の遊園地の閉園ライブだよ」
それを聞いた咲良ちゃんは絶叫するのであった。
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