第28話 週末遊園地に行くことになりました
自宅に帰った俺は、廃園する遊園地について調べていた。
公式サイトではやはり、客の数が年々少なくなってきたことが原因で廃園となると書かれていた。
「アテナ!これって本当に客の数が減っただけなのかな?」
≪ちょっと、遊園地のデーターベースのぞいてみますね≫
「あぁ、よろしく!」
ツブッターで遊園地の情報を見ても結構客は入ってそうだ。
普通に運営する分の稼ぎはやっぱりありそうだな。
それ以外で廃園になる要因があるとすれば・・・。
≪マスター。廃園になる原因が分かりました。≫
お!さすがアテナ。
早いな。
≪長年の劣化による修繕費が、莫大になったためと思われます≫
「そういうことか。結構古いからね、あそこ」
おそらく、そろそろ開園100年ほどになると聞いたことがある。
≪それぞれの遊具を調べたところ、耐震強度などの安全基準が現代の基準に満たされていないため、当初予定していた金額を大いに上回る150億という莫大な修繕費がかかるみたいです≫
150億!
修繕しつつ、新たなものを取り入れたらそれぐらい掛かるだろう。
確かにそれなら廃園を考えるかもしれない。
「それでも、今までの客数を見る限り、修繕費を出して続けることも可能と思うんだけどな・・・」
リニューアルしたら、さらに客も増えそうだしね。
≪はい!当初遊園地の社長は歴史も深いこの遊園地を、出来る限り残そうと頑張っていたみたいですが、そこにcosが200億でその遊園地を買い取るという話が出てきたみたいです≫
なるほど、そこで出てくるのがcosか。
半導体の開発生産会社をその跡地に建てるにしたら十分な広さだし、200億でも喉から手が出るほど欲しい土地なのかもしれない。
力になれるのならなりたいところだが・・・。
するとスマホが振動した。
俺はスマホをみると、里奈からメールが来ていた。
内容を読むとどうやら、遊園地潰れる前に遊びに行かない?という内容だった。
いいぞ!と返信しておいた。
すると、1階から由愛の声が聞こえてくる。
「カズ兄!ご飯できたよー!!」
「すぐ行くー!」
俺はそう返事すると、1階に下り晩ご飯を食べる。
俺はご飯を食べながらテレビを見ていると、遊園地が閉園になるCMが流れた。
やはり創立100年にもなると、CMも使い閉園を皆に知らせるらしい。
しかしCMを見ているとあることに気付く。
制作にcosの名前があった。
どうやら、廃園のサポートも手厚くやってくれるという契約もあるのかもしれない。
そんなことを考えていたら、由愛がつぶやいた。
「潰れちゃうのかー、この遊園地・・・」
ちょっとテンションが低いな。
由愛もかなりショックみたいだ。
やはり家族との思い出が詰まっている遊園地が潰れるのは、誰にとっても悲しいことであるようだ。
あぁ、そういえば!
「由愛!俺週末の休み、ちょっと出かけるから昼飯作らなくていいよ」
週末俺は、里奈と遊園地に行く約束だったのを思い出す。
当日に言うより、前もって言っておいた方がいいだろう。
「え?どこ行くの?」
「ちょっと友達と潰れる前に遊園地に行こうって話になってな。行くことになった」
俺は正直に言うと。
「いいな~。お兄ちゃん!私も行きたいのに!」
「お前も友達と行ってきたらどうだ?」
するとなぜかハムスターのように口を膨らませこちらを睨んできた。
「何人で行くのさ?」
「えっ?2人でだけど!」
すると由愛は何か引っかかるところがあったのか、じっとこちらを見てくる。
「友達ってことは男だよね?」
なんだ今日の由愛、やたらと聞いてくるな。
「いや、里奈とだけど、それがどうかしたか?」
すると由愛は机を叩き、俺にせまってくる。
「え!お兄ちゃん達、付き合ってたの!?」
なんで男女で出かけるとなったらそういう風に結び付けたがるのか。
「いや!全然付き合ってないけど」
すると由愛は、少し考えこみ、ある提案をしてくる。
「じゃあ、私が混ざっても問題ないよね!」
なんだ、由愛も俺と遊園地に行きたかっただけなのか。
それならそうと言ってくれればいいのに。
「いいぞ。里奈には後から俺が言っとくよ」
すると由愛はにっこり笑って「よろしく!」と言って、残りの夕食を食べるのであった。
まったく、かわいい妹だよ、お前は!
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