第26話 衝撃的なニュース
太陽がまぶしい。
ここ最近雨が全く降っていない気がする。
「雲が1つもないな・・・」
見渡す限り快晴だ。
≪本日の天気は晴れ。降水確率は0%ですよ≫
「ありがと!アテナ!!」
こうも雨が降らないと、水不足が心配になってくる。
例年、毎回絶対水不足のニュースを見かける。
もはやそれは毎年の風物詩的ニュースとなっている。
やはりどうしても雨が降らない時期になるとそのニュースを見かける。
毎回、水が枯渇し水道水として水が供給されなくなったらどうしようと不安になるも、毎回そうはならない。
大体は、そのニュースを見かけたら雨が降って問題が解決されるのだ。
しかし、実際水道の供給がされなくなると困るが、いずれそうなる日が来るのだろうか。
それだと困るが、どう頑張っても天気は操れないしどうすることもできない。
ただ出来ることが節水することしかできないのが現状か。
今後、水を確保する技術が上がってきたらそれらは解決するだろうが、それはいつ頃になるだろうか。
俺は、そんなことを考えて歩いていると、町内掲示板が目に入った。
そして、気になる記事に目が留まる。
「えっ!!」
そこには、近所の遊園地が閉園するというニュースが貼られていた。
その遊園地は、親が生きていた頃に家族でよく遊びに行った場所だ。
そんな思い出の詰まった遊園地がなんで急に閉園になるのか。
記事を読むと、お客の数が年々少なくなってきており、そこにcosという半導体の開発・生産する会社がその遊園地を買収したことで、そこに会社を新たに建てる計画があるみたいだ。
遊園地が潰れたら、遊び場を亡くした子供たちは、さぞ困るだろう。
俺は思い出の詰まった遊園地が潰されることにショックを隠せず、暗い雰囲気をまとい登校していた。
すると、背後から肩を叩かれたので振り返ると、須藤が暗い顔でこちらを見ていた。
「おう・・・山田」
「よう、須藤」
何やら須藤の表情が暗い。
あぁ、そうか・・・須藤お前もか。
「お前も知っちまったんだな・・・」
「あぁ・・・まさかお前もか!」
どうやら須藤も遊園地には思い入れがあったらしく、かなり落ち込んでいる。
「急だったよな」
「あぁ、今朝急にだもんな!考えられないぜ!!」
「俺いろんな思い出があったんだけどな、つらいよな~」
「あぁ!俺もイベントがある度に行ってたぜ!」
「え?今でもそんなに行ってるのかお前!」
イベントとなれば、3ヵ月に1回程度の頻度でやってた気がする。
1年間に4回も行くほど好きだったとは、そりゃーショックだな。
「おうよ!そのためにバイトしてるってもんだしな!」
遊園地行くためにバイトとしてたのか。
もしかしたら俺以上に思い入れがあるのかもしれない。
あぁ・・・
「無くなるとさみしくなるよな」
俺と須藤の言葉が交差する
「遊園地!」
「美香たん!」
・・・えっ?
「美香たんって・・・何のことだ?」
「それはこっちのセリフだ。俺の推しのアイドル美香たんが、エロビデオデビューするって話だよ!」
知らねー。
「2年前から推してて、去年まで順調に浮上してきてたんだが、そこから少しずつ人気は横ばいになったんだよな」
なるほど。
それでも、順調に人気が出てたんだったら、やりようはいくらでもあったと思うけどな。
「くそ・・・俺、立ち直れるかな」
でもまぁ、須藤であれば大丈夫だろう。
「お互い今日は災難だな」
「おぅ、今日はもう学校無理だわ」
そんなことを言いつつも、現実は休まず学校に行かなければならないのだ。
今日の授業は、頭に入ってこないことだろう。
しかし、須藤は違ったみたいだ。
午前の授業ではテンションが低く授業など聞いていなかったのだが、昼休みにはどうやら違うアイドルを見つけたらしく朝のテンションの低さは消えていた。
見つけた時はやたらテンションが高かったので、よっぽどいいアイドルを見つけたらしい。
それにしても、切り替えが早すぎだろ。
少し心配したのだが損をした。
俺は須藤の事は頭から省き、こちらの問題に没頭することにした。
遊園地が廃園するのはいつ決まって、いつから掲示板に貼られていたのだろうか。
いつもは掲示板なんか見ないのに、たまたま今日目に入ったのだ。
廃園まではそんなに期間もないらしいので、それまでに1回由愛と行っておきたいところだ。
ちなみに、廃園の話はもうすでに学内皆に広まっていたらしく、皆ショックを隠せないみたいだ。
それもそうだろう、この町に住んでいる人は皆行ったことがある思い出の遊園地だ。
いくら客が少なくなってきているといっても、それなりにはお客も来ているのをよく見かける。
イベントの日には、あふれるほど客が来るというのはよく耳にしていた。
遊園地の運営には、困らないほどの売り上げがあると思うが、おそらく素人では分からない問題があるのだろう。
俺は、授業を聞かず、物思いにふけていった。
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