2章
第25話 アップデートの効果
ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ
眠りを妨害する音が聞こえる。
スマホで設定していた目覚ましだ。
俺は朝が弱いから起きなくていいのだ。
そう思い目覚ましを切り、再び夢の世界に入ろうとする。
俺は絶対、こんな朝早くから学校に行くことが間違いだと思っている。
昼からでいいじゃん昼からで。
絶対今日は起きないぞ!
そう思っていると、何やら音が聞こえる。
かしゃっ!
・・・・
かしゃっ!
スマホのカメラのシャッター音が聞こえる。
一体何だろう?
スマホのカメラが勝手に起動し、撮影ボタンが何かに触れているのだろうか。
さっきスマホの目覚まし切った際に、変に指が当たったり、置いた場所が悪かったかな。
俺は、再度スマホを手に取り、画面を見てみる。
すると、画面は暗く切れており、カメラが起動しているとは思えなかった。
なら一体どこから・・・。
かしゃっ!
また聞こえた。
音は、俺の足元から聞こえてきた。
俺は下の方を見ると足元からお腹の部分まで布団がめくれていて、その盛り上がりでそれより先が見えない。
この盛り上がりの先に一体何があるというのだろうか。
俺はその謎を解くために、俺は恐る恐る布団をめくった。
すると布団の盛り上がりの先には、スマホを構えている由愛が、俺の息子の写真を撮っていた。
って・・・。
「何やってるんだ由愛!」
俺は慌てて布団で息子を隠す。
だがそれはもう遅い行為であった。
「え?何って。お兄ちゃんの観察記録つけてるんだ」
由愛の口から何やら聞き流せない言葉が聞こえてきた。
「俺の観察記録?」
「うん!」
由愛は元気よく言った。
「ほら!人間って何か没頭できる趣味持ってた方がいいじゃん!」
まぁそれはそうだが。
「だからって俺の観察記録にすることないだろ!」
俺は額に手を当て、息を吐いた。
まったく、俺の妹は何をやってるんだ。
どんだけ俺の息子に興味あるんだよ。
「あ!お兄ちゃん」
「何?」
「朝ごはん出来てるから、早く下りてきてね!」
由愛はそう言うと、何事もなかったように、たたたたっと1階に下りていく。
俺はため息を吐く。
≪おはようございます!マスター≫
するとアテナが朝の挨拶をしてきた。
「おはようアテナ!」
≪今日は放課後、ジムに寄る予定となっています!≫
「おぉ、そういえばそうだったな。助かったよ、アテナ!」
≪えへへ。ちなみに妹さんがマスターを観察をしていた時間は10分程となっています≫
由愛のやつ、俺の息子を10分も観察してたのか。
妹とはいえ、恥ずかしくなってきた。
そして、将来が心配にもなってきた。
「お兄ちゃん、早く下りてきてよ!遅刻しちゃうよ!!」
まるで何事もなかったかのように由愛の声が聞こえる。
おっと、学校だった!
俺は着替えて、1階に下り朝食を食べる。
「そういえばお兄ちゃん、この前のツブッターのアップデートすごいね!」
俺は口に入ったものを飲み込み、聞き返す。
「あぁ、この前のAIアップデートか。何か困ってたのか?」
「うん。今まで男の人から、写真送ってとか、ライン教えてとかいうメール来てたんだけど、それが全く来なくなったよ」
「えっ?そんなことあったのか!なんで早く言ってくれないかなー」
それだともっと早く対策を打てたものだが。
「いやいや、皆普通にそういうメール来てるよ」
え・・・そうなの?
「お兄ちゃんは、フォロワー数少ないし、プロフィール画像もロボットの絵じゃん!」
確かに、俺は昔から好きなロボットアニメの画像をプロフィールに使ってるが・・・。
「まさか、プロフィールに顔写真載せてるのか?」
「うん!ほら、友達とのツーショット!」
由愛はそう言ってスマホを見せてきた。
そこには、妹と友達の2人が、仲良くピースをして映ってる写真がプロフィールになっていた。
これだと、このアカウントは女の子だとわかってしまう。
そりゃあ、いろいろなメールが来るだろうな。
だからと言ってプロフィールに写真を使わないわけにはいかないのだろう。
知り合い同士でやり取りする際、顔写真の方が見分けが付きやすいしね。
しかし、今回のAIアップデートで、メールなどが来た際にこれは迷惑だという事を通知すると学習し、それと同じ、もしくは似たようなメールはブロックされ、相手にもそのことが伝わるようになっている。
注意を無視し、同じようなことを繰り返しているようであれば、そのアカウントは永久凍結される仕組みだ。
そのような人たちが再度アカウントを作れないように、アカウントを作る際は身分証を照合することになっているので、より安全となっている。
今回のアップデートでツブッターがより安全になったことが由愛やユーザーが実感してくれているみたいだ。
「これでツブッターは安全に使ってもらえるようになったな」
≪はい!みんなの反応もいい結果となってますね!≫
今回のアップデートは、大成功という結果で終わった。
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