第9話 オタクの聖地にいざ行かん!
今日は土曜日で休日だ。
昼を過ぎた頃、俺はオタクの聖地に足を運び、アニメグッズを探索して心を癒されることにした。
出かけるべく部屋着から着替え、1階に降りる。
「由愛―。俺ちょっと出かけてくるね!」
「帰り遅くならないようにね!」
「分かってるって!」
俺はすぐさま、駅に向かった。
大体電車で40分ほどで着くだろう。
結構遠いが仕方がない。
近所には、アニメグッズ売ってる店なんかないからね。
俺は、移動中、窓から風景を眺めていた。
(平和だなー)
電車の窓から見える風景は何でこうも和やかなのだろう。
そして車内を見ると、土曜日なのに、制服を着ている人がちらほらいる。
(あぁ、土曜日も学校があると辛いな―)
うちの学校は土日は休みなので、その学生たちを高みの見物である。
電車の中で過ごす40分は、案外早く過ぎるものだった。
あっという間に目的地に着き、駅から降りると、すぐさまゲームショップやアニメグッズなどを販売する店が連なっている。
あぁ、ここにだったら1日中いれるな。
俺はさっそく、アニメグッズを買うべく、様々な店に入りグッズを物色していく。
ゲームショップでは、最新のゲームであったりVRなどが置かれていた。
たまにしか行かない自分からすると、新商品が続々増えて、日本のすごさを感じる。
VRとか前までごく少数の人しか買っていなかったのに、今では普通にみんな買っている様子が見れた。
一度は手に入れたいゲームランキングでトップだしな。
それに、VRで繰り広げられるゲームにとても興味があった。
現実から離れた風景が目の前に広がり、そのゲームに没頭できるのは実に魅力的だろう。
昔は、PCやゲーム機につながないと遊べなかったが、今はVR機単体で遊べるようだ。
いかにVRを本気で開発しているかが分かる。
そのうち感覚も、表現できたりしてね。
そんな期待を持たずにはいられなかった。
VRは確かに魅力的かもな。
いずれやってみたいものだ。
そんな感じで周っていたら目的のもの以外にも、いろいろ買ってしまった。
オタクの聖地、恐るべしだな・・・。
そして、そろそろ帰るかと思い辺りを見渡すと、コスプレグッズ専門店が目に入った。
「へぇ~、こんな店もあるんだな」
そう思い店に入ってみることにした。
すると、アニメだけじゃなく、様々なコスプレグッズが売っていた。
こりゃすごい。
コスプレイヤーたちはこんな店でグッズを買って自分なりにアレンジなんかもして楽しんでいるんだろうな。
そう思い様々な衣装を見ていたら、胸元にハートの穴が開いたメイド服が目に留まった。
これとかすごいな―と手に取ろうと思ったら、自分の近くにいた人もその商品を取ろうとしていたらしく、手と手が触れる。
「あ・・・すいません。どうぞ!」
俺はそう言い、商品を譲る。
「こちらこそすいません。ありがとうございます」
そう言って、目と目が合う。
「・・・あれ?里奈?」
里奈は、えっ!?という顔をして、
「なんであんたがここにいるのよ!」
「それはこっちのセリフだ。コスプレに興味があるのか?」
俺がそういうと、里奈の顔は赤く染まった。
「違うわよ!たまたま!たまたまこの店に目が入ってのぞいててみただけよ!」
俺は、へぇ~と言いながら里奈の買い物かごを見る。
「それにしてはたくさん買ったね!」
里奈は顔を赤くし、後ろに隠す。
「これはかわいいと思ったから、つい入れたのよ!」
俺はふぅと息を吐き。
「趣味は人それぞれだから別にいいと思うぞ!俺もアニメグッズこんなに買ったし!」
俺はそう言うと、手に入れた戦利品を里奈に見せつけた。
「くぅ~。なんで見つかったかな。はぁ・・・・」
里奈はあきらめたようだ。
「そうよ!私はコスプレが趣味で、自分がコスプレした写真をツブッターに上げてるのよ」
あぁ、なるほどね。
ツブッターで見たことあるな、コスプレイヤー。
自分で買ったり、加工した衣装をみんなに見てもらうとなるとツブッターは最強のツールとなるだろう。
そうか、それに里奈が取った衣装・・・。
胸元がハートに空いたメイド服で、スカートもミニである。
そんなメイド服を着た里奈を想像したら・・・。
「な・・・なによ?」
「いや、その衣装似合いそうだなーって」
里奈の顔は赤くなる
「うるさいわね!」
これならフォロワー100万人も納得かもしれない。
「ていうか、フォロワー100万人もいるのに、そんな衣装着てアップしたりして大丈夫なのか?」
「なにが?」
里奈はきょとんとしている。
「いや、身バレとかさ。怖くないの?」
「身バレ予防に、顔の加工やってるから、大丈夫と思うわよ」
なるほど。
ちょっと加工する程度じゃバレそうな感じもするけど、大丈夫だろうか。
「ちょっと見せてもらっていいかな?」
俺は、里奈がどんな衣装で撮影したかが気になり、どうしてもその画像が見たくなった。
里奈は真顔になった。
「なんか顔がいやらしいから絶対嫌!」
断られてしまった。
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