第7話 里奈の異変
由愛と別れ学校に向かっていると、スマホが振動した。
スマホを見ると、ツブッターにメールが届いていた。
差出人は放課後に行く予定のジムのオーナーだった。
今朝、行くことをメールで伝えたからその返事だろう。
内容を読むと、どうやら今日はオーナー自ら施設の説明をしてくれるみたいだ。
ジムに行くのは初めてだし、楽しみだな。
その時、後ろから肩を叩かれた。
「おはよ!和樹!」
声をする方を見たら、そこには里奈がいた。
「お前・・・朝から元気だな」
「そっちが元気ないだけでしょ!」
学校では声をかけてほしくないと言っていたが、あれは何だったのか。
「あれ?ツブッター見てたの?」
里奈は俺のスマホの画面を見て聞いてきた。
「あぁ、ちょっと知り合いとメールしててね」
里奈はへぇーという感じで聞いていた。
「ちなみにそれって女性?」
それを聞かれて止まってしまう。
「えっ?・・・女性なの?」
里奈は食い気味で聞いてきた。
「お・・・男だよ」
すると里奈は怪しい目つきで
「ほんとかなぁー、なんか怪しい!」
「ほんとだって!」
「ふ~ん・・・」
腕を組みながら、睨んでくる。
そんな時、里奈のスマホから通知音が聞こえた。
「ほら!なんか通知来てるぞ!」
何とか話をすり替えれた。
「まぁ、あんたがどこの誰とメールしてようがいいけどね」
そう言いながら、自分のスマホ画面を見た里奈は顔が微妙に青ざめていた。
俺は疑問に思い聞いてみる。
「どうかした?」
「ううん。何でもない」
明らかに様子が変だ。
さっきまでの元気は無くなり、暗くなってしまった。
「悩み事あるなら聞くぞ?」
すると里奈は少し考え、覚悟を決めたのか俺の方に向き話し始める。
「実は、最近ツブッターで変なダイレクトメールが来てて、困ってるんだよね」
里奈の悩みは、まさかのツブッターが原因だった。
最近ツブッターの事件が多いみたいだし心配ではある。
「どんなメールが来るの?」
何かあってからでは遅いし、聞いとかないとね。
「えっと、なんか相手が私の住所を特定したらしくて、私の情報拡散されたくなかったら会えってメールなんだけど」
ずいぶんそのメールには、迷惑しているようだ。
里奈に元気がないなんてね。
「でもそれって、住所特定したとか嘘で、単純に里奈と接触しようとしてるだけじゃないの?」
それなら放置でいいと思うが。
「私も最初そう思ってたんだけど、私の家の住所や隠し撮りされた写真とか送られて来てるから、本当なんだと思う」
まじか・・・。
世界中で使われているツブッターのセキュリティは、そんなに甘くはないと思うんだけど、どのようにして個人情報を抜いたのか、気になるな。
そうなると・・・
「ツブッターに上げた写真から特定されたとか?」
そうとしか考えられないが。
「それはないと思う。私の写真は場所が特定されない写真だから」
それってどんな写真だ?
「ちょっと写真見せてもらっていい?」
そういうのは、案外本人で気付いていないだけで、写っているものである。
「それはちょっと無理かな。プライバシーだよプライバシー!」
ツブッターに上げてる時点でそんなものはないと思うが、何か理由があるのか。
仕方ない・・・。
「じゃあ、そのメール見せてもらっていい?俺が見ても困らないやつでいいから!」
それなら・・・とスマホを操作し、メールを探し始める。
「これだったらいいかな・・・」
そう言ってスマホが俺に渡された。
俺は渡されたスマホの画面を見る。
相手の名前は、ワールドキング。
「すごい名前だな。ワールドキングって、世界の王か」
名前からして相手は若そうだ。
「でしょ?ふざけた名前だし、最初は無視してたのよ!」
本文を見ると、さっき言ってた通り、お前の住所を特定したとか書かれていた。
でも、どうやって住所を特定したのかが分からない。
このワールドキングって人は、里奈以外にもこのようなメールを送って脅したりしているのかもしれない。
そう考えると、最近のツブッターを使っての誘拐事件はこいつが犯人である可能性が高い。
「こんなのがずっと来たら、確かに気持ち悪いな・・・」
そう言いながらスマホを返す。
里奈はスマホを受け取りうなずいた。
「そうでしょ!マジなんなのこいつ!むかつくー!!」
里奈はそう言いながどこにぶつけていいか分からない怒りを地面にぶつけ地団太を踏む。
今はまだ日本だけだがいいが、これが全世界に広がったら大変そうだ。
とりあえず、個人情報がどこから漏れているのか。
この問題の解決策は、そこに着目しなければしないだろう。
とりあえず里奈の件は、力になってあげたいがどうしようかな。
なんせ幼馴染だし見捨てることはできまい。
なにせ、ツブッターから個人情報を特定されているので、いつ何が起きてもおかしくない。
相手はすぐにでも行動を起こしてくるかもしれない。
俺は物思いにふけ、授業を受けるのだった。
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