第13話  1件目

「問題は1件目のセクハラですね。でも証拠が送られて来ていないから…証拠の動画とか撮れるかな。」


 とりあえず石崎真由さんが最優先と言う事でもう一件の依頼の返事には『承りました。検証中です。しばらくお待ちください。」とメールを送った。その他のくだらない告発には『検証した結果残念ながら賞金に該当するような罪人ではございませんでした。』とメールを送った。


「石崎さんの作戦の方はどうする?」


「部活の居残り時に、なんかしてくるつもりだろうから、なるべく先生が今までして来た事を話すようにうまく持っていって、白状した動画をバッチリと押さえたところで現行犯で捕まえるって事ではどうですか?俺たちも覆面とかで待機して押さえつけるって事で。そういえば先輩、暴れてる人押さえつけられるぐらいは出来ますか?」


「え、強く無いけど3人でかかればどうにかなるかなって。」


「はいはい。わかりました。」


「なんだよその言い方。なんかあてにならないみたいな言い方するなよ。」


「悪いけどその通りだし。俺は空手の有段者だし、Kは元ボクサーだし。先輩は?」


「え、子供の頃少し剣道やってた。」


「今回は俺とKで事足りそうなので、先輩は女の子のフォロー頼みましたよ。後でなんか格闘技でも習いにでも行ってください。」


「え、習いにいかなくちゃいけないのかよ。」


「冗談です。」


「そういえば賞金に該当しなかった告発ってどんなのが来たんだ?」


「え、隣の奴が了解も取らずに消しゴム使ったとか。」


「アホか。なんだそれ。」


「まあ始めたばっかりでそんなにあるわけないですよね。」


「明後日だから時間がないです。急いで用意するから先輩手伝ってくださいよ。」


「とりあえず言ったものを買って来てください。」


 学校へ行き移動教室で歩いていると、後ろから声をかけられた。


「あの、木佐君?」


 後ろを振り返ると石崎さんが立っていた。なんだよ。まじかでみるとめっちゃ可愛いじゃないか!


 友達に先に行ってもらい中庭に出た。




「あの、ピヨコラからメールが来て木佐君と話すようにと指示が来たんだけど…。」


「あ、俺の方にもメールが来て石崎さんに協力してくださいと言われたよ。」


「木佐君はピヨコラと何か関わりがあるの?」


「入会した時に、何か手伝える事があったら言ってくださいと伝えたから連絡が来たのかも。」


「そうなんだ。」


「今回の告発は証拠が最初から無いからピヨコラからの賞金はあまり出ないみたいだけど大丈夫?」


「全然大丈夫。賞金はこちらから払いたいぐらいだから。」


「でも一応始めの仕事なので俺が協力者で石崎さんが証拠を自ら提出した形にするので、それを了承してもらえれば行動にうつすと言ってた。あと確認事項で石崎さんは自分の名前を出す?それとも匿名にする?」


「さすがにセクハラなので匿名でも大丈夫ですか?」


「そうだよね。恥ずかしいもんね。わかった。伝えておくね。」


 石崎さんには襲われそうになったら隣の美術準備室に部屋に逃げるように指示を出した。なるべく本人が自分のした事を白状するように持っていって欲しいと。怖くてもピヨコラの関係者も近くに潜んでいるから安心するようと先輩に伝えてもらった。念のため護身用スプレーを持たせた。


 昼間の内にこっそりとKがカメラを3箇所に設置し、襲うならみんなが帰った後だろうから午後6時頃と踏んでいた。昼間カメラを設置した際に美術準備室の窓の鍵を開けておいてもらったのでベランダから進入できるようにしていた。


 午後5時半にKと2人、窓から侵入し、黒ずくめの作業着を着てそれぞれ離れた所に潜んだ。


 美術室はクラッシックの音楽が流れているので小さな音なら気づかれないだろう。先輩は協力者なのであえて制服のままで覆面だけかぶってもらい、美術室の部員の作品が立てかけられている場所に、部活が始まる前から潜んでもらっていた。道具が多いので気づかれることはないだろう。そして覆面を被り部活が終わるのを静かに待っていた。


 そもそも絵を描いているのでみんな無駄話をしない。静かすぎてあまり物音がしないので緊張する。先輩結構長時間いるけど大丈夫かな…毛布をかけて隠れているから寝ている可能性があるな…メールしてみるか。


『先輩起きてます?』


 メールを入れると部活の最中の教室でメールの着信音がなった。

 先輩何やってんだよ!音消しにしてくださいって言っといたのに!

 

 ふざけんなよ。多聞メールなんかしてくんなよ…やべえバレるかも。音消しにしておかなかったのはマズかった。


「誰だ携帯の音消してないのは。部活中は消せって言ったよな。黒板側から聞こえたけど。」


 こちらに近づいてくる音がする。


「先生、すいません私です。すぐ消しますので。」


 真由は木佐が隠れているのを知っていたので焦って立ち上がった。


「石崎お前か。部活中だけ没収する。いいな。」


 真由はポッケから携帯を取り出し差し出した。渡す時に手を少し握られゾッとした。今日で終わる…今日で終わるんだ。木佐君がいるのは知っているけど、ピヨコラの人達は来ているのかな?木佐君…ちょっと弱そうだから大丈夫かなぁ。

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