九話 詰めるなよ
四八目は少し期待していた。ナナと別れた後、戦地に戻ったら状況が好転して優勢になっているのではないかと。だが現実は深刻だった。状況はやや押され気味。珈々の顔からも余裕はだいぶ薄れていた。その状況を遠方から見た四八目は急いで戦場に足を踏み入れた。
「四八目、遅かったじゃない」
珈々の話し方にいつもの伸びはなかった。
「ああ、わりい」
「それでナナちゃんは? 逃がしたの?」
「逃がした? バカ言っちゃあならねえ、言っただろ? 出て行ってもらったんだ」
「あらぁ、強く当たってまた演技してると思ったのにぃ?」
「俺は演技なんかしねえよ。全部が俺の意思だ。ナナを払ったのもな」
「カフェの前で門前払いしたのもぉ?」
「そうに決まってんだろ」
「……四八目ぇ、私に嘘は通らないのよぉ」
敵を一人倒し、二人目に差し掛かった四八目の手がぴたりと止まった。
「嘘? なんのことだか……」
「あなたって嘘つくとき視線をよく逸らすのよねぇ。今も私の顔見てくれないしぃ」
「戦闘中だぞ? 当たり前だろ」
「戦ってる時でもちょくちょくこっちを伺うのよ、あなたぁ。まあ、そういうところナナちゃんに似ているかもねぇ」
「俺があのグズと? わからねえなぁ」
「本当にナナちゃんを追い返したの四八目ぇ?」
「何度も言わせんなよ、俺は――」
「ホントウに? 四八目ぇ」
目の細い珈々が瞼を大きく開け四八目の顔を覗き込んだ。四八目は弱った表情で首を傾げつつ頭を搔いた。
「んぐ……ふぅ、やっぱり珈々には敵わねえなぁ」
四八目は白状した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます