七話 リーダー

「いつにも増して賑やかね、あんた達」


 女の声は大きくなかった。だが不思議と全員の耳に届いた。それまでバカ騒ぎしていた飲んだくれ達もその声が耳に入った直後、静まり返り歓声を上げた。


「リーダー!」


「私たちのリーダー!」


「リーダー、今日もまた可愛いよ!」


 あらゆる歓喜を叫ぶ女達、リーダーは両手を前に出し、もういい。と合図をした。歓声はすぐにまたおさまった。


「この島は今、人が住みづらいものへと変貌している。現地人どもは私たち人間を無差別に食らい、のうのうと暮らしている。1つの心想いもなく」


 声量こそなかったが、リーダーの声は力強さがあった。静寂の中、リーダーの演説は続いた。


「この謎多き島に私達は理由のないままたどり着いた。ここが地球上なのかすら分からない。この島に身を隠しながら生活を始めるようになったのは先祖の代からだ。臭いで奴らを欺くことができるようになったのも先代達のおかげ、私達はその思いに応えるため、未来に生きる者たちの兆しとなる使命がある。子孫のため、過去の犠牲のためにも人間としての生存権を得なければならない! そのためにも!」


 らしくない声の荒げ様。リーダーが背負っている者の度量がひしひしと伝わる。


「この島の女王である上半師李々湖(かみはんじりりこ)の首を取らなければならない! 女王へ人権を要求していった者がどれほど犠牲になったか! 事実、女王は何1つ人間の要求を呑んではいない! 女王の首を取る以外、私達に未来はないのだ!」


 オオオオオオオオ!


 凄まじい咆哮が一室を埋めた。リーダーの言葉に感化され、全員が上半師討伐を望んだ。誰もが心の奥でこれからの生存を不安がっていたのかもしれない。


 ……すごい。客席の後ろ側、カウンターの横にある壁の後ろで酔って座り込んでいる四八目の横にナナはいた。そこからでもその演説の迫力は感じ取れた。リーダー、不死川香花の演説は。

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