二話 早起き

 カフェに着いてから、今の昼休憩まで店では閑古鳥が鳴いていた。ただただ秒針を目で追うだけの作業は永遠と呼べるほどに長く、人の訪れを不意にも願ってしまうくらいだった。店のカウンターに腰掛けてお茶を楽しむこのひとときだけ時間の流れを早く感じた。


 ナナは「帰ってまた顔を合わせたら気まずいだろうな」なんてぼんやりと考えていた。その時、生温い空気を換気するように、ドアは開いた。


「ナナちゃんー、ちょっと早いけどお休み終了ぉ」


 外からひょこっと珈々は顔を出してきた。相変わらずの微笑み、一体何が毎日そんなに楽しいのだろう。ナナには不思議に思えた。


「え? 珈々さん起きてたんですか?」


 午前中、このカフェに客が来ることは滅多にない。そのため、ナナは珈々の服の洗濯、カフェ兼舌間家の掃除、昼ご飯作り、珈々の食事調達など家事を午前中にやることとなっている。


 なので珈々が起きて来るのは大体が昼過ぎだ。それ以前に起きても二度寝するのがオチなのだが、今日はどういう意味か起床が早い。


「ふあー……今日はやることが多いのよねぇ」


 欠伸を漏らしながら言った。午前に起きただけでも珈々からしたら早起きらしい。だらしのない珈々が起きてでもしなければならないこと……これに少なからず、ナナの好奇心は揺さぶられた。


「そんなに面倒なんですか?」


「そうねぇ、たまにしか開かない“集会”だから些か面倒なのよねぇ」


「集会?」


「そう、集会よ」


「何を目的とした集会ですか? 飲み会……的な?」


「それくらい気楽ならいいんだけどねぇ……まあ、目的を知らせる集会って感じかしら」


 集会……どこかで聞き覚えのある、最近耳にしたような気がした。


「そういえば四八目さんが言ってた……」


「そう、それよぉ。全く、四八目が来るとロクな情報持ってこないんだからぁ」


「はあ……それで誰が集まるんですか?」


「まあ、いわゆるチーム? ってやつぅ? 人間たちの集まりって感じかしらねぇ、とりあえず時間もあまりないし準備よ、準備ぃ。ナナちゃん、テーブルの配置帰るから運ぶの手伝ってぇ」


「……はーい」


 いまいち活気のない受け答えをした後に、ナナは自分が扱ったコップをシンクへと移し、指示された仕事を行い始めた。


 集会……その意味を後にナナは知る。

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