第38話 お手本
岩の間にアリシアがやってきてどこからともなくマイクを取り出して勝負の司会進行をする。
「お集まりの皆さん、お待たせしました!これより看板娘選手権を始めたいと思います!」
沸き立つ観客。何故かご満悦の表情を浮かべてウンウンと頷くアリシア。
「皆さん静粛に! まずはルール説明。勝負は3つ行い、それを見た観客の皆さんによる投票で看板娘が決まります。看板娘に選ばれた人には何と! 豪華賞品としてミートマスターの看板娘を名乗る事が許されます!」
「賞品になってねぇよ」
リコッタのツッコミを無視してアリシアの司会は進む。
「そして、選んだ人達にも嬉しい賞品が! その賞品とは……でけでけでけでけ……ででん!製作未定のミートマスターオリジナル缶バッジをプレゼントするとかしないとか!」
「しろよ!」
「ちょいちょいツッコミが飛んできていますが気にせず1つ目の勝負を始めま〜す!」
アリシアの開始宣言に沸き立つ観客。アリシアは胸元から2塊のコケトリスの肉を取り出して掲げてみせた。
「看板娘と言ってもウチはお肉屋さん。お肉が似合わないと意味が無い! という事でこのお肉を持って可愛いポーズをとって貰います!」
「どこから肉を出してんだよ……」
「ただし! 普通のポーズではダメ! お肉にも目がいくようにして下さい!」
1回戦目の内容に店側、観客側の両者が首を傾げた。
「よくわからないからアリシアちゃがお手本を見せて欲しいなのよ」
「ぷぷぷ。よくわからないとかバカだろ。これならハクちゃんの圧勝だなっ!」
「むぅ! それならオメェがお手本として先にやってみろなのよ!」
「……ハクちゃんもやっぱわかんなかった……」
「オメェよぉ!」
またケンカを始めるミリアとハクア。
「2人とも抑えて抑えて。私がお手本を見せてあげるから」
2人を宥めたアリシアはコケトリスのモモ肉200グラムを出して観客の方へ体を向けると、
「じゃ、いっくよー! 3、2、1……」
カウントダウンをしてポーズをとって一言。
「このお肉、買って欲しいなぁ〜」
折りたたんだ腕で胸を寄せて谷間を強調してそこへ肉を乗せ、上目遣いでおねだり。
それを見た観客は口々に自分が買うと名乗りを上げ、勝手に競りが始まってあっという間に購入者が決定。
常温保存でアリシアの胸に乗って少し生暖かくなったコケトリスのモモ肉200グラムは100万マールで売れた。
モモ肉と引き換えに1万マール紙幣が100枚束になった物を受け取ったアリシアは2人の方へ向き直り、紙幣を口元に近付けて可愛く笑う。
「ま、こんな感じかな。へへ」
それを見ていたリコッタはポツリと呟いた。
「こうやって売れば借金とかすぐに返せるだろうに……」
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