第39話

確信をつくリコッタを他所に見本を見せたアリシアが勝負を進行していく。


「見本を見せたところで〜……まずはミリちゃんから、どうぞ!」


全員の注目がミリアに集まる。

徐に岩へ腰を下ろしたミリアは足組をして肉を太ももの上に乗せ、ふんぞり返り観客を見下ろして強い言葉を放った。


「ミリは肉の姫ぞ?おめぇら頭が高いなのよ」


「「ははーっ!申し訳ございません、姫様!」」


傅く観客にミリアは追撃する。


「許して欲しければ、ミリの太ももに乗っている肉を買うなのよ」


「では、俺が!」


「いや、僕が!」


「いいえ、私が買うわ!」


各々が肉を買うと言い出してまたもや競りが始まり、最終的にメイド長が70万で競り落とした。


「流石はメイド長なのよ。これからもミリのお世話を任せるなのよ」


「有り難きお言葉!全身全霊をもって今後も姫様にお仕えします!」


満足気なミリアとスカートを摘んで両サイドへ軽く広げて頭を深々と下げるメイド長のやり取りを傍で見ていたアリシアは小さく何度も頷いて感心していた。


「ミリちゃん、中々やるね。渡したお肉がモモ肉だと瞬時に見分けて、それを自分の太ももに乗せて恰も自分のモモ肉だと観客に思わせるなんて。将来、優秀なお肉屋さんになるよ」


アリシアの解説風な独り言にリコッタはツッコミを入れずにはいられなかった。


「そこまでの思慮はないだろ。っていうか、将来は肉屋じゃなくてこの国の女王だから」


「さて、ミリちゃんの強撃に対してハクアちゃんはどうでるかな?普通のやり方じゃ、勝てないよ?」


「お前はどこから目線で喋ってんだよ……」

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ミートマスター 六花 @rikka_mizuse

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