第34話 ちょっと引くわー

 毟りとった羽根を山積みにすると触手のような物を収め、振り返って胸を張り鼻息を荒くしてドヤ顔をするハクア。


「ハクちゃんにかかればこんなのちょちょいのちょいってわけ!」


「ハクアちゃん、すご〜い! ねぇねぇ、さっきのやつ私も出来る?」


「出来るわけねぇだろっ! ハクちゃんは特別なんだよ!」


「えーっ!? 私もやりたい〜」


 テンションが上がって詰め寄るアリシアを押し退けて観察していたリコッタが質問をぶつけた。


「やるじゃないか。さっきのは魔法か?」


「魔法とあまり変わりないけど、ちょっと違う。ハクちゃんが使うのは神技。神の技ってわけ」


「神の技? って事は……」


「そう! ハクちゃんは神様ってこと!」


「ハクアちゃん神様なの!?」


「さっきのを見せられた後じゃ、信じざるを得ないな」


 驚きを隠しきれない2人へハクアは自身の詳細を伝える。


「ハクちゃんはスモル町を含めたサウズ帝国の半分の領土、そこの土地神ってわけ。んで、さっき使った神技はハクちゃんの持ってる神技の1つ、自身の毛を自在に操る技ってこと。どう? 凄いだろ?」


 ハクアは自慢気に話していたるが、それを聞いた2人はちょっと引いていた。


「毛を操る神様って、何かちょっと嫌だなぁ」


「土地神なのに守る地を捨てて、就職とかちょっと引くわー」


 尊敬の眼差しを得るつもりが引かれて、ハクアは癇癪を起こす。


「なんでだよっ! さっきみたいにハクちゃんを褒め讃えろよっ!」


「凄いのは凄いけど、ちょっとな……」


「そんな事より、早く捌いちゃおうよ。まだまだ工程があるんだから」


「そうだな。店の開店時間も迫ってきてるし、さっさとやるか」


「ハクちゃんを放置すんなっ!」


 ハクアの癇癪をものともせず、アリシアとリコッタは羽根を毟られたコケトリスの解体を再開する。


「うぶ毛の処理は後にして、まずは部位毎に切り離していくよ。その後に内臓系の処理をするね」


「おう。解体の指示は頼むよ。ほら、ハクア。いつまでも癇癪を起こしていないで、オイラ達が解体していくから切り離した肉を店まで運んでくれ」


「はいぃ……」


「取り去った羽根も何かに使えるかもしれないから運んでおいてくれよ」


「はいぃ……。ハクちゃん使いの荒い奴らだ……」


 アリシアは牛刀、リコッタは軍刀で手際良く且つ搬入出来る大きさに切り分けていき、ハクアは神技の毛を駆使して1度に沢山の量を持ってせっせと店へ運んでいく。

 そして開店時間まで後1時間のところでやっと内臓に取り掛かる段階に入った。

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