第21話 邪な目的

「肉が無くちゃ営業出来ないのは分かる。だから、オイラは情報集めをしてミリアが店番をするから狩りはアリシアだけで行ってこい」


「何で私だけなの!? 寂しいじゃん」


「言っておくがこれが妥協出来る最低条件だ。これ以上は一切譲歩しないぞ。な? ミリア」


「リコッタちゃに賛成なのよ。アリシアちゃが嫌なら仕方ないけど、ワガママばっかり言っていたらその内、店が潰れるなのよ」


 黙って聞いていたミリアからも厳しい一言。

 流石のアリシアもこの状況でワガママを通せず、しょんぼりして首を縦に振った。


「……は〜い……わかった、1人で行く……」


「決定だな。後、給料はアリシアが決めてくれ。これに関してはオイラ達が決めるわけにはいかないからな。出来るなら店やアリシアが無理をせず、オイラ達に不満が湧かない額を頼む」


「難しいなぁ……」


「ミリからも1つ決めて欲しい事があるなのよ」


「なーに? ミリちゃん」


「定休日を決めて欲しいなのよ。休みたい日は個々で言うとしても流石に年中無休だと仕入れや労働力に無理が出てくるなのよ」


「むぅー、わかった。それも決めとく……」


 あれやこれやと言われて段々アリシアが萎れていく。見かねたリコッタとミリアは店の話を打ち切りにしてアリシアを元気付けようとした。


「ま、まぁ話はこのくらいにして風呂にでも入って疲れを取るか」


「賛成なのよ。それでどっちがミリを洗ってくれるなのよ?」


「は? 1人で入って自分で洗えよ」


「出来ない相談なのよ。城ではメイドが一緒に入ってミリを洗ってくれてたなのよ。それにミリは湯船で溺れるから1人で風呂に入れないなのよ」


「湯船で溺れるってどんだけカナヅチなんだよ」


 リコッタとミリアのやり取りを耳にしてしょぼくれていたアリシアがいつもの調子を取り戻す。


「……みん……ろう……」


「え? 何?」


「みんなで入ろう!」


「えーっ!? 風呂が狭くなるだろ」


「ミリちゃんはちっちゃいから大丈夫!」


「はぁ……いいよ、それで」


「じゃあ、ミリちゃんは私と一緒にリコちゃんに洗って貰お!」


「何でオイラが2人を洗わないといけないんだよ」


「それで〜湯船に入る時は私にギューっと掴まってていいよ! 溺れないようにかなり密着していいからね!」


 ヨダレを垂らして目を爛々とさせているアリシアを見てリコッタは察した。


「合法的にミリアの体を触るつもりだろ」


「そ、そそ、そんな事ないよ〜」


 目的がバレて目が泳ぐアリシア。


「おい、目が泳いでるぞ」


「と、とにかく、お風呂へ行こう!」


「あっ、誤魔化しやがった」


「行くなのよー!」


 邪な目的を持つアリシアと身が狙われている事に気付かずにテンションが上がるミリアに続いてすでに疲れきった表情を浮かべるリコッタは風呂場へ足を進めた。

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