第15話 面接
両肘を肩幅より少しだけ狭めてテーブルにつき、手を組んでそこへ口元を近付けたアリシア神妙な面持ちで口を開いた。
「こほん。それでは面接を始めるよ。幾つか質問をするから正直に答えるように」
「はいなのよ」
緊張感漂う空気の中、リコッタがアリシアへ話しかける。
「真剣にやってるとこすまないが、オイラは何をすればいいんだ?」
「リコちゃん君。キミはアレだ、その……嘘発見器的なポジションを頼む。ミリちゃん君が嘘を言っていないか確かめる係だよ」
「どんな役割だよ! っていうか、何だその喋り方は」
「この方が雰囲気が出てかっこいいでしょ……だろ」
「……まぁいいや、続けてくれ」
「うん……うむ」
横槍が入ったが、面接が再開される。
「志望動機はさっき聞いたから次は……う〜ん……面接に合格した場合、当店で何がしたいか聞こうかな」
「日々、国の財政を見て考えているからお金の計算が得意なのよ。だから、お会計や経理を担当したいのよ」
「そっかぁ――じゃなかった……ふむ。会計担当がいるのは助かる。では、次の質問。当店の服装は基本的には自由だが、どういった服装で来るのかね?」
「今、着ているドレスでお仕事するのよ。お洋服は全部売ってしまったから……」
ミリアの答えを聞いてアリシアは舐め回すようにミリアを眺めた。
「良いドレスだ。キミはどう思うかね? リコちゃん君」
「嘘は言ってないと思うぜ」
「違う! 当店のエプロンを付けた時に可愛さとエロさを出せるか聞いているのだ」
「オイラは嘘発見器的なポジションじゃなかったのかよ。……可愛さとかエロさは知らねぇけど、似合うんじゃねぇの?」
「ふむ、そうか。因みにミリちゃん君。これからする質問は合否に大きく関わってくるから心して答えるように」
「わかりましたなのよ」
「キミが愛用している下着の柄は?」
「下着? その質問は何か関係があるのよ?」
「早く答えなさい!」
「ひっ! ……動物柄なのよ」
「合格! 明日から住み込みで働いてくれたまえ!」
「住み込みなのよ?」
「部屋完備! 食事付きで給料は売上次第! どうかね?」
「出来ればおやつを付けて欲しいのよ」
「よかろう! 売上が良くなれば必ず付けると約束しよう」
「わぁ〜いなのよ! じゃあ、明日の朝にお邪魔するのよ!」
「開店準備は朝の7時だ! その時間に店舗2階にあるリコちゃん君の部屋に来てくれたまえ」
「わかりましたなのよ!」
良い返事をしてミリアは満面の笑みで駆けて牢屋を出て行った。
「何でオイラの部屋なんだ……」
「いいじゃん! 気にしない、気にしない! もう用事は終わったみたいだから帰ろ?」
「ああ……帰るか」
アリシア達は牢屋から出て店に帰り、1度閉めた店を開けてまたチラシ配りと店番を再開した。
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