昔々……(星の賢者)

昔々……

昔々。

気が遠くなるような昔の話です。


強大な力を持つ竜は、ヒトを虐げておりました。


奴隷として働かせ。

家畜として食らい。

玩弄物がんろうぶつとしてもてあそびました。


ヒトはその仕打ちに苦しんでありました。

やがて生きることを諦めるようになりました。



何がきっかけだったか、わかりません。

かつての世界の在り方は、そのようでありました。


一人の少女が立ち上がりました。

彼女はヒトの国の姫でありました。

煌めきをまとった舞と剣技で。

竜に立ち向かったのです。


13の騎士達が、彼女と共にありました。

彼らは星の煌めきをその身に纏わせ。

少女と共に、戦いに身を投じたのです。


竜王ラドンは言いました。

「生意気な。食らってやろうか」


姫エウレカは言いました。

「できるものなら、やってみなさい」


両者の戦いは、三日三晩続きました。


姫は満身創痍でありました。

目の前で、竜王が口を開きます。

姫を食らおうとしているのです。


13の騎士達は、煌めく刃を撃ち出しました。

それは竜王の体を引き裂いて。

竜王は痛みをこらえきれず、叫びました。


姫は、竜王の喉奥に、剣を深々と突き刺しました。

煌めく刀身は竜王の喉を切り裂いて。

竜王の頭を切り落としてしまいました。


ヒトはこの功績をたたえました。

姫は賢者として、この国の基礎を造ったのです。



これは、星の国「アステリオス」の、遠い遠い昔話。

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