第20話【広島】

7月11日。

土曜日。

午前10時37分。


万九郎は、迷っていた。


セレスを、このままでいいのかと。


「考えてみれば、あいつは佐世保から、出てない」


そんな訳で、万九郎とセレス、2人の旅行が、実現することになった。


「準備は、いいか?」


「うん。ペキ」


当然のように、内陸部の無駄に夏が熱い佐賀は無視して、福岡から出発です。


「どうだった、JR博多駅は?」


「うん。パンのいい香りがして、良かった」


2人はもう車内です」


いくつもの駅を通過して、JR広島駅に到着しました。


「いろいろ店あるが、どこにする?」


「調べて決めてきたよ。牡蠣天丼の店」


「色々と、この世の中について、知りたくなってる」


万九郎は、それを聞くだけで、とても嬉しい気分になったのです。


広島は、大きく分けて、5つの川で区切られています。


過去には色々と、変な人達に利用されるようなこともあったようですが、割とみんな、暢気に生きています。


「広島と言えば、お好み焼きが美味いそうだが」


「それ違う。お好み焼きは、大阪のだもん!」


色々と、世間の事を、知りたくなってるんだな」


少しだけ嬉しい万九郎。


「牡蠣天丼の美味い宮島は、廿日市にある^_^」


という訳で、2人はJR広島駅からJR二日市駅に、移動したのである。


廿日市から宮島への移動には、JR宮島号を使う」


宮島へのフェリー乗り場に来た。


観光客が、いっぱいいます。

2人は、楽しい気持ちに、なって来ていた。


フェリーに乗る。


フェリーのような鉄で出来た中型船に乗るのは、万九郎も初めでである。


フェリーが、動き出し始めまた。


フェリーの中は案外、安定してい。


「どうだ、船の中は?」


「うん、楽しい」


ほどなくして、宮島側の船着き場に着いた。


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宮島(厳島)は、広島県廿日市市にある。広島市には、無いのである。


フェリーの客達は、ほとんどが環境客。皆、同じ方向に歩いて行く。


万九郎たち2人も、少し後から、ゆっくりと行く。


目的地は同じだから、急ぐ必要はない。


「あ!」


セラス。


「鹿だな。しかも、雄雌の番(オスメスのツガイ)だ」


「ツガイ?」


「そうだなぁ、セレスには、まだ少し早いものだな、たぶん」


セレスなら、性関係は、ほっといても自ずと何とかなるだろうと、思っている。


そうこうしてるうちに、到着したす。


厳島神社。


境内のほとんどの樹は、松である。


現在に見られる華麗な根所造りの社殿は、平清盛の手による物とか。


色は濃い朱色で神社だが、それを度外視すれば、まさに平安御殿である。


よその神社には無い、良さがある。


海の中に立つ、鳥居を見る。


写真などでは、何度も見てきたが、やはり本物は違う物なのだろうか。


心配無用。やっぱり本物は、凄いってかエクセレント!


セレスも、両手を上げて喜んでいたので、ここは両肩で肩車してあげると、ついこの前買ってあげたiPhoneで写真を撮っていた。


「ここは来て良かった!」


万九郎がホッとしていた、そんな時。


サングラス、両片袖のない白のアッパースポーツウェア。

両脚にはスポーツシューズを、きちんと履いている。


なのに、なぜ下半身に何も着けてないのか!


しかも、なぜか姿勢が、堂々している。


さらに、筋骨隆々!


【マッチョ】


メキシコのスペイン語 macho(マチョ)「雄の~」という形容詞が変化したもの。 machismo (マチスモ、もしくはマチズモ)は「男性優位主義」を指し、男性としての優位性、男性としての魅力、特徴を誇示する、という意味合いがある。 イデオロギー(政治的信条)としては「タカ派、右翼、保守、男尊女卑」といったものと結びつきやすく、「ハト派、左派、リベラル、両性平等」といった信条は軟弱と退けられる。


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隙がない。


万九郎は、思った。


これはドイツ人、ドイツ人でキマリ!それを固く、実感した。


髪の色は、濃い茶褐色。

身体は全体的に、何となく骨太である。


ドイツ人。


ソイツが、万九郎を見て、ニンマリとした。


仲間鑑定チューとか、いや万九郎は猛烈な悪寒を感じて、セレスを抱えると、早抱っこして逃げ出した。


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そろそろ、昼食の時間。


万九郎達は、広島市中区の県庁前まで、路面電車で来た。


路面電車なら長崎市にもあるが、万九郎は長崎市に行ったことがない。


大学受験の共通一次も、佐世保の県立大学で受けられて、良かった。


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やっと、見つけた。牡蠣天丼の店!

生のままとか、焼いたのとか、挙げ句の果てにフライ?牡蠣のフライ?

あんなモノは、お子ちゃまキッズだけで食ってりゃいい。


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やって来ました。お店「鹿」。


牡蠣のフライも天麩羅フライも、2人で堪能した。


「お土産は、シャルに、もみじ饅頭だな」


新幹線で、九州に帰った。


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いい旅でした。



【二位田原】


今回は、かなり過去の話から始まります。


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俺はこの時、9歳。


俺は、地元の佐世保で、とある剣道の道場に通っている。


自分で言うのも何だか、身体ができていないのに、俺は強かった。


師範代と師範には、さすがにまだ勝てなかったが。




俺は、正直、退屈していた。


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あれは!?


私は、驚いた。


これほどの才能が存在しても、いいのか!?


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佐世保北高に入ると、俺は部活などには目もくれず、地元の海上自衛隊の基地、そして米


国の佐世保海軍基地に、出入りするようになった。


当然だが、高校では友達も彼女も、できなかった。


「別に、構わない」


俺は、そう思っていた。


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両親からの無視、育児怠慢は、いよいよ酷くなり、もう家に来なくなった。どちらも。


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Hey, how are you doing?


Just leave me alone.


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つっけんどんな態度を取っていたが、俺は彼らに、不思議と嫌われなかった。


手品のフリをして見せていた魔法が、意外と受けが良かったのかもしれない。


You saw that!? Unbeliebable!I've' nevwer seen anything that's so awsome!


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「君が万(ヨロズ)万九郎君か。私は、3佐の小此木だ。噂は聞いている。剣の腕も、魔術も、凄まじいそうじゃないか!」


「ありがとうございます」


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俺は、筑波大学に受かって、一人暮らしをするようになった。


この時期には、両親は完全に消えていたから、別に何も思わなかった。


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「うわ。万九郎、情報処理の評価S?」


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アパートにすぐ転居し、バイトを始めるようになった。


「万九郎君、ステキ!」


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スナック「とんちんかん」。


ママもチーママも、店員は全員、オカマだった。


不思議と、良くしてくれた。


「ほら、今月のお給料。24万入れといたわよ」


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「ん?万九郎は、魔法もできるのか?」


「ええ。何かもう、もの凄い腕ですよ。絶対、世界一ですね」


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それがどこだったのか、もう忘れた。


ただ、悲しい悲しい、冷たい怜悧な雪だけが、吹雪いていた。


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「二位1佐!」


1佐が、崖から落ちたのだ。


間一髪、俺の右手で。1佐のどちらの手だったかは覚えていないが、手首をしっかりと掴んだ。掴む事が、できた。


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冷たい。とても、冷たい。


なんとか掴む事ができた1佐の手は、とても白くて、とても繊細な1佐の指が、とても冷たかった。氷のように冷たかった事は、今でも覚えている。


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それは、寒い夕方だった。遠(トウ)に日は、沈んでいた。


「ハァ!」


「二位1佐。今の技は、何ですか?」


「雷魔法、テスラ(Tesla)だ」


凄い。もの凄いなんて、生やさしい物じゃない。

俺も魔法には自信があるが、正直、勝てないかもしれない。


江戸時代に松本藩のお抱え道場の師範、師範代を代々、努めていた家系と聞いた。


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「フン」


「何者だ、お前。魔王四天王が一人、ベルセーブブを相手に、ここまで戦えるとは!」


その程度で四天王か。魔王も多寡(タカ)が知れる。


魔王様は、未だ蘇ってはおられぬ。


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私はその時、勝利を確信していた。


「テスラ!」


決まった!絶対、殺した。


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もの凄い衝撃を、心臓を中心に、身体全体で受けていた。


何?


「フハハハ!どうやら知らなかったようだな。俺は、雷属性が得意なのだ。そしてテスラは」


なんという事だ!相手の得手不得手も知らずに、戦いを挑むとは。二位田原由美、一生の不覚。


万九郎・・。


############################


知らせを聞いた俺は、絶望していた。


何日も、何十日も、何百日も、何をすればいいのか、自分が分からなかった。


ただ、知っていることが1つ、

俺は、彼女を、二位田原由美を愛していた。


それだけだ。



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