第19話【バイオパーク】
7月11日。
土曜日。
午前8時54分。
とても良い日和だ。
「バイオパークに、行ってみるか?」
「ん」
と言う訳で、万九郎とセレスティーナ・ラムポワーズ(Celesina Rampoise)は、その日、バイオパークに行くことになったのだ。
今でこそハウステンボスやバイオパークに隠れた存在になっているが、万九郎の子供の頃は、西海橋こそがウキウキな場所だった。
博多、天神に続く、九州第2の旅行の行き先だったのだ!草千里とかガン無視。
西海橋の下に水族館(西海橋水族館)があって、泳いでいるイルカを見たのも、あそこが最初だった。
例の如く、三菱パジェロで出掛ける。
「ブルルル!」
エンジンの噴(フ)けも、いいようだ。
佐世保からは、県道35号をひたすら南西方向に向かい、大塔(タイトウ)で国道202号に合流すると、早岐(ハイキ)を経由して、今度はひたすら南に走るだけ。
R32日産スカイラインGT-R。
左側の普通車線を普通に走ってる三菱パジェロの右手。追越車線を、悠々と走っている。
「89年式の白のGT-Rか」
万九郎は、追い越されるのを、当然のように見ていた。
「いいな。カッコいいな」
社会人に成り立てだった万九郎にとって、憧れのクルマだった。
いつかは買いたいと思いながら、結局、果たせぬままか。
「ガキかよ、俺は」
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ハウステンボスは、当然のようにスルーする。
「白猫プロジェクトの、とんでもない外れガチャみたいなモンだ。当然スルーだ誰が行くか!」
可哀想な万九郎。
そのまま国道202号を南下する。
「西海橋か」
大部分の日本人は知らない事だが、この橋から南に広がる大村湾は、日本最大の内湾である。
西海橋を唯一の、極めて狭い海峡として、玄界灘に繋がっている。
面積は、琵琶湖の半分程度。
国道206号を南に走り、暫く東南東に走ると、バイオパークに到着する。
それに至る道も、凄い山道で、整備林がほとんど見当たらない。
万九郎とセレンを乗せた三菱パジェロは、ようやくバイオパークに到着した。
三菱パジェロを、バイオパークの駐車場に停める。
駐車場は無料だった。関東も見習って欲しい(マジで)。
入場すると、すぐ色んな施設があるが、万九郎とセレスは、そうそれとは行かない。
爬虫類の施設とか、ヘラクレスオオカブトとか言われても、興味ないから。
それに、園内は思ったより随分、広い。それぞれの施設の間は、余裕で1km以上ある。梅雨が終わって間もないので、湿気で蒸し蒸ししてる。
「マックスコーヒーが、飲みたいなあ」
大学時代に北関東で飲んだ、やたら甘ったるいコーヒーの事だ。
冷たくて固くて黄色い自販機から、暖かい円柱を買った時の、ホッとした寂しい気分を思い出した。
さて、バイオパークと言えばカピバラだが、意外と簡単に着いた。ご都合主義じゃないそ。
「カピバラの池と、オマキザルの島」
カピバラ達は噂通り、風呂に入っていた。
皆んな、お湯を浴びながら眠そうにしている中、1匹だけ妙に目が鋭い奴がいた。
ヤバイ!アレは、ヤってるヤツだ!
万九郎は、ソイツにゴルゴ、と勝手に名前を付けました。
「ヤツが居るから、ここは出よう」
「どうして?」
「いやなんでもない、すまん」
万九郎は、さすがに大人気なかったと、反省した。
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万九郎には今回、秘密任務がある。
新居田原の航空自衛隊所属の如月 真希中尉から、極秘任務を受けたのである。
新居田原基地には、多数のF-35A戦闘機が配備されており、同基地上陸の中尉と言えば、F-35Aのパイロットとして、将来が約束された地位にある。
【辞令】
万(ヨロズ)万九郎。
西彼杵半島北部の深い森林地帯にて、秘密裏に徘徊する「肉体の脅威ども」を処理セヨ。
「肉体の脅威?新しいタイプの身体強化か?」
【身体強化】
身体強化(Human Augmentation)とは、一時的か永続的かを問わず、現在の人間が持つ認識および肉体能力の限界を超えようとする試みを意味する。その手段は自然なものから人工的なものまである。人間強化(Human Enhancement)とも言われる。
ムッチムチの強化筋肉とか、万太郎は想像するだけで、ゾッとする。
ホモは、嫌いだ。
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この前に海水浴場の件で使った、分身魔法を使う。
セラスと一緒に園内を見て回れるように、自分の完全分身(Avatar)を1体用意した。
「良し」
同時に自分の身体を透明(Invisible)化して、大きく飛んで、黒い黒い森の中に消えたのだ。
視界を遮る漆黒の原生林。
よく分からない虫とか爬虫類が、シシシと鳴いている。
そこに人!
いや女。
猛烈に嫌らしい桃色の素肌を晒している。いや、サマーコート1枚をハタゲさせている。
巨大な乳房と、いい具合に凹んだ臍から、全ての男をピンク色の目にさせる股間に向けての曲線。
かなり濃い、真っ黒な陰毛を完全に晒し、肉付きの良過ぎる太腿。
凹凸の無い膝からの白過ぎる脛とふくらはぎ。
何という事だ。
万九郎の股間は逆さまにおっ勃ち、カッチカチである。
「セラスをあっちの俺に任せてて、本当に良かった」
万九郎が、冷や汗をかいて、血も凍っている。
「あら、若いボーイ?いえ、あれは私の生き違いの息子。マサヒコ!そうだわ!やった!実の息子と近親相姦!?」
ちょ!?
刹那で薄いクリームホワイトのサマーコートをブワッ!と一気に脱衣!
「ヤバイ!シャルとは違うタイプだけど、何これ変態過ぎる!」
濃厚な、変態の世界!
The World of HENTAI!!
【変態】
変態(へんたい、英語: metamorphosis)とは、動物の生育過程において形態を変えることを表す。典型的なものは節足動物の昆虫類や甲殻類などに見られる。
いや違うだろ!"Perverted"だ!
【変態(Perverted)】
語源は「退廃・変質」などと訳されるフランス語の dégénéré である。現代の日本では変質者とは行為を非難するときの用語であって、性的指向を非難するときの用語ではない。一部メディアでは「人格障害」に言い換える例もみられるが、これもまた適切とは限らない。
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女はバッと両脚をM字におっ広げて、万九郎に飛び掛かって来た!
白過ぎるおっぱいを両手で揉みしだいて、厚い真っ赤な唇を、万太郎の同じ箇所に押し付けて、舌を万太郎の口の中に突き入れ、めっちゃレロレロして来る!
足首まで隠した濃紺のスリムジーンズで、万太郎の股間は固く防御されている。
「ヤッバ!サンクスズボンとパンツ!In Advance!」(←謎
「んモーー!焦ったいわね!」
遂に両膝を軽く曲げて180°大旋回!
女が両脚を限界まで広げて、真っ赤になった性器もギリギリまで広げ、ビラビラの小陰唇が、とんでもない量の、ローションよりなめった透明な女液を飛び散らせながら、万九郎の固く閉じた口と鼻、それと両目に激突して来た!
「駅弁69かよ!」
万九郎は、逆に固くて太い腕で、ガッシリと女の太い、脂の乗った尻を抱え込んだ。
「ああーイイ!その感じ!」
「あの時由美に教えられた、あの感じか!?」
尾骶骨から右回りの回転力が、臍の下の丹田から練り上がり、卍の曼荼羅が万太郎の額部分で、鮮やかに花開いている。
狂っているように泣き笑っていた女が、刹那に粉々の微細な粒子になった。
あの、漆黒に穢れた女が、光る無数の粒子になって、天に還って行った。
「フゥ」
万太郎はこの後も、何体もの変態女達を、成仏させてやった。
朧気な姿に戻った、うら若い女は、自分の乳飲み子と仲良く、天に還って行った。
「ハァ、今日は疲れたな」
万太郎は、ヨロヨロしながら、深い山を降りて行った。
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セレスが笑いながら、何かを指差している。
「ん?あれはアライグマか?」
「嫌だーお兄さん、あれはレッサーパンダ。大違いですよ!」
何やらスタッフの若いお姉さんが言いました。
【レッサーパンダ】
標高1500 - 4800メートルにある温帯・亜熱帯の森林や竹林に生息する[3]。インドのMeghalaya高原では標高700 - 1400メートル(200メートルでの報告例もあり)の亜熱帯・熱帯の森林にも生息する[3]。樹上棲と考えられている[6]。夜行性もしくは薄明薄暮性で昼間は休むが[5]、夏季には昼間も活動する[6]。縄張りを形成して生活すると考えられ、オスは臭腺による臭い付けや一定の場所に排便することで縄張りを主張する[7]。
イギリスの王立調査団が支那に調査に赴き、あまりの可愛さに「パンダ」と名前を付けたにも関わらず、後から笹の葉を食べる"Panda Bears"をうっかり発見してしまって、レッサーパンダに格下げされた、あまりにも無責任な経緯がある。
おや?レッサーパンダの1匹が、二本足で立ち上がっている。
「ゴロー!」
大阪風のおばちゃんが叫んだ。
「私鉄沿線」
改札口で君のこと
いつも待ったものでした
以下略。
何と1975年のヒット曲。
皆んなが、わいのわいのと大喜びだ。
とても長かったバイオパークの旅も、最初の駐車場に戻って、一段落した。
「セレス、良かったか?」
「ん!」
こうして2人は、三菱パジェロに乗って、家路についたのだった。
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今回は、東彼杵や大村空港について触れずじまいでした。
遠くない未来に、2人の、この地域での冒険談が、語られる事でしょう。
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