第39話 追跡
結局、廃墟は気味が悪いとミミとイチハが言うから、見通しのいい砂浜まで戻ってテントを張った。
海で遊んで疲れていたせいか、すぐにすうすうとミミとイチハの寝息が聞こえてきた。
けれど、僕はなかなか寝付けなかった。巨大モンスターの足跡を見たせいだ。ドゥークも同じように起きているようだ。(いびきが無いから分かる。)
ドゥークの寝袋に入れてもらえば、安心してすぐに眠れそうだけど、いつまでも子ども扱されたくないし、我慢した。
そのせいで、翌日は少し寝不足だった。
僕らは天文学者を追いかけて、入り江の洞窟に入ることにした。
星について知る必要がある。
星を七つ集めれば願いが叶うというが、どうやって? 分からないことばかりだ。
洞窟の入口に立つ。
奥がどうなっているか全然見えない。真っ暗闇だ。意外にも兎のミミはへいきそうにしている。
「ひとりで旅していた時には、獣がいっぱいの森の中よりも、洞窟の方が安全でしたからね!」
動物だから、人間よりも闇の中で目が利くのかもしれない。
ドゥークを先頭にして洞窟に入る。
一つしかないランプはイチハが持って、ドゥークは
「キャアッ!」
バサバサッと頭上を黒い小さな群れが飛び去る。
「コウモリですよ。坊ちゃんは怖がりですねえ」
わずかばかり明かりの中で、兎の白い体はよく見えるから、離れないようにする。ミミはくすくす笑いながらも、しっかり僕の手を繋いでくれる。肉球が温かい。
しばらく進むと、先を行くドゥークが立ち止まった。
「この先は道が二手に分かれている」
松明に照らされた行く手は、いずれも闇の底に落ちていくくらい真っ暗だった。
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