概要
人的リソースを失うわけにいかないこの国は、死刑制度の廃止と刑務所の閉鎖に踏み切った。
前科、前歴の付いたものは電子タグ装着を義務とし、社会奉仕参加を刑罰として課している。
どのような人間でも社会の一員として取り込み、支え合う理想的な社会を目指す警察小説。
※労働人口の減少により各省庁のミニマル化が進んでいる設定のため
設定部署名等は雰囲気で捉えてください。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!公正・無私が規範とされる世界で、情を燃やす主人公の鮮やかさ。
警察小説ということで、メインキャラクターたちが身を置いているのは警察庁。公平・公正に犯罪者を捕まえ、更生に導くことがお仕事です。
しかし主人公の大場一恵は、憎たらしい犯人相手には過剰な制裁を加えてしまったり、反対に哀れな犯人には同情から罪を責めきれなかったりと、私情を挟みまくり。同僚や上長たちを日々困らせているじゃじゃ馬職員です!
そんな大場さんの姿が、作中でひときわまぶしく、胸を打ちます。
人口減少により、人生の選択肢が減らされた社会。終わりの足音が聞こえる中で、それでも目の前の誰かを思い、懸命に自身の正義を貫こうと突き進む彼女の姿に、あなたもきっと魅了されるはず。
真面目な中にもユ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!終わっていく社会を救うのは、秩序か人間か。
罪を犯した者は、更生できるのか。
これは、人類に与えられた命題のひとつである。
わが国においても、依然として高い再犯率、罪に対する量刑の軽さ、死刑廃止論などなど、さまざまな議論が取り沙汰されるが、いずれの場合も本格的な議論には至らず、喉元過ぎれば話題にも上がらなくなるのが現状である。
これは、「だれもが犯罪に巻き込まれる可能性があることへの無自覚さ」、「人が人を裁くことのむずかしさ」を象徴しているように思う。
本作テラテクトは、人口減少の末、死刑の廃止と更生教育に力を入れるようになった日本を舞台としている。
人口を維持するための「人道的」配慮のため、警察官の装備から拳銃等の殺傷性の武器は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!血の通った、近未来警察小説
リアリティを徹底した小説が読みたい。
でも、希望やあたたかさはあってほしい。
現実世界で悲惨なことが多くても、人に、絶望したくない。
そんな人はけっこう多いのではないでしょうか?
きっと、このレビューを見て読むか読むまいか決めかねている、あなたも。
血の通った、リアリティあふれる近未来警察小説、それが本作『テラテクト』です。
もちろん警察小説ですから、出てくる事件は思わず目を覆いたくなるようなものばかり。
例えば、強制性交は一生つきまとう恐怖であり、魂の殺人。
例えば、路上生活者にもそれぞれのライフストーリーがあり、踏みにじられない尊厳がある。
例えば──国家維持のためなら全体主義的…続きを読む - ★★★ Excellent!!!気が付けばのめり込んでいる、誰もが求める「格好良い」。
近未来日本を舞台とした、警察小説。
ソレはあまりにも、目を奪うほど格好良くて、惹き込まれていて──
あなたは、はた、と気づく、全ての登場人物に、すらすらと入ってくる設定に呑み込まれて、更新分まで読み終わっている、と。
◆
筆者は最初、この手の小説を読むのを躊躇した。
なにせ純文学を愛する身であるからして、小難しい設定や無数の無個性なキャラクターが押し寄せてきては読む気も削がれるというものだ。
しかしどうだ、この物語はその全てを裏切った!
一章を読みきる頃には、だいたいこの物語のバックボーンが分かることだろう。もちろん、「だいたい」で良い。全てを完璧に理解しないと進めないような不親切な…続きを読む