最新話(第八話)まで読んでの感想です。
本作はひつひつと綴られる三人称視点の文体と、全体を包む静かなトーンが印象的な作品です。少年兵として生きる主人公・テラの閉塞的な日常が、もう一人の主人公とも言えるメテオラの登場によって一気に空気感が変わり、色彩が生まれていきます。
序盤に短い戦闘シーンがありますが、激しいアクションではなく、スナイパーならではの静かな戦いが、本作の落ち着いた空気感とよくマッチしていると感じました。
本作の魅力を語る上で欠かせないのが、メテオラの存在です。陽気かつ飄々とした自信家であり、どこか神出鬼没な印象を与える彼女は、登場時からどこか普通の人とは違う感じを醸し出しています。物静かなテラとの対比が絶妙で、ふたりの交流には思わず「萌え」を感じました。今後のボーイ・ミーツ・ガール的展開に期待が高まります。
全体を通して穏やかな空気が流れている一方で、物語は確かに動きを見せています。リラックスタイムに心を落ち着けて物語に浸りたい、でも何かしら動きのある作品を読みたい。そんなときに、ちょうどいい一作です。