第19話 目的を忘れるな

ソルトは尋常でない強さを持っているが、ほとんど戦おうとしない。


(こんなに強いのだから、もっと魔物と戦ってくれてもいいのに…)と思うネリカ。


旅に出てから長い距離を歩き魔物と戦ってばかりのネリカはだいぶ疲弊している。

「疲れてない?」とサーニはネリカに声を掛けた。

疲れはピークに達しているがサーニに心配させまいと「大丈夫です。心配かけて申し訳ありません。」と応えた。

 サーニは分かっているが、ネリカの気持ちを考えて「大丈夫ならそれでいいよ」と言った。

 お互いに気遣うことを言う。

それを見ていたソルトが「二人ともこんなんじゃこれから先の旅は苦しいぜ」と言う。

 嫌味にも呆れたようにも聞こえる言葉だが二人にはソルトの優しさが分かる。

「大丈夫だよ」

「大丈夫です」

 二人は口を揃えて言った。


ソルトは二人に「ネリカは気張りすぎだ。俺みたいに気楽にできないか?」

「ソルトさんは気楽すぎます!」とネリカは怒って言った。


続けてサーニには「サーニ、お前は普段、なにを考えているのか分からないのにネリカの事となると心配性になるよな。」と言った。

「そう?」

「ああ、そうだよ」

「お前ら、この先の旅、やっていけるのか?」

「ネリカはサーニの身体を探すのが目的だろ?」

「そうですけど」

「サーニ、お前は自分の目的を忘れてないか?」

「僕の目的はネリカと楽しく旅をする。」

「サーニさま!!」

 ネリカはサーニを怒鳴った。


「ソルト~ネリカが怖い」

「今のはお前が悪い」

「ソルトはネリカの味方なの?」と聞いたサーニに「俺はどっちの敵でもないし味方でもない」とソルトはこたえた。


 三人の旅は始まったばかりだが、こんなにのんびりしていて本当にサーニの身体を見つけることができるのか?

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