第18話 剣士の名はソルト

「ねえ、剣士だよね?」とサーニは聞いた。

「それがどうした?」

 剣士は不機嫌そうに問いかけた。

 臆することなく話を続けるサーニ。

「ねえ、僕たちと一緒に旅をしない?」

 少しをおいてから剣士は「良いぜ」と言った。

「ネリカ、一緒に行ってくれるって」

 いきなり「一緒に旅をしよう」と誘うサーニにも呆れるが、あっさり「良いぜ」と簡単にOKする剣士にも呆れるばかりでため息をつくネリカ。

「ハァ・・・」

「どうしたの?」

 ネリカの気持ちを知ってか知らずか笑顔で話しかけるサーニに「なんでもありません」と応えるネリカ。


「俺は自分の好きなように行動するし、こいつも連れて行くけど良いか?」

「僕も自由だから良いよ」

「俺の名はソルト。こいつはサールだ」

「僕の名前に似てるね。」

「お前の名前は何っていうんだ?」

「僕はサーニ、このメイドさんはネリカだよ。」

「サーニ様、メイドさんとは何ですか!?」

「メイドさんでしょ?」

「メイドじゃなくて侍女です!!」

 サーニの安直すぎる決め方に疲れが増すネリカだった。

        ・

        ・

        ・

ソルトが加わって数日が経ったが魔物と戦うのはほとんどがネリカ。

 ソルトも魔物撃退の手助けはしているが、少ししか戦わない。ネリカの不満は募るばかり。

 怒りの矛先はサーニに向く。

「サーニさま!ソルトさんに言ってください!!」

「何を?」

 サーニの呑気な返答に怒りは増す。

「ソルトさんにちゃんと戦ってと言ってください!!」

「ほとんど私が戦ってるんです!これでは今までとあまり変わりません!!」

「俺は言ったはずだ。好きなように行動すると」

「サーニはそれで良いと言った。だから、好きな時に魔物と戦ってるだけだ。」

 そう言われて何も言えなくなったネリカは無言で何か言いたそうでサーニを睨んだ。

 (サーニさまがOKするから(怒))


 サーニだけでも疲れるのにソルトが加わり疲れが倍になり心が安まないネリカだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る