第15話『グロリアスポスタリティのフミナ』

「まぁまぁ、ここはいつ来ても賑やかなこと。皆さんご機嫌よう。陣中見舞いに伺いましたよ」

 そこへ、グロリアスポスタリティのフミナ・アスペクターがやってきた。

「ご機嫌よう、フミナさん。ようこそいらっしゃいました。散らかってますがこちらにお座りください」

 トゥーラの優雅な対応が、女性メンバーを憧れさせる。

「ありがとう。これ、差し入れですよ。パステルの巨峰ムース。女子だけね」

「わぁっ!」

 歓声を上げる女性メンバー。そこで休憩を入れることにする。

 思い思いにおしゃべりしながら、巨峰ムースに舌鼓を打つ。

 風味豊かな巨峰のクラッシュゼリーとふんわりしたムース。上にはちょこんと金箔が乗っている。女子の目がハートになるデザートだ。

「フミナさん、神話の里のお仕事の進み具合はいかがですか?」

 オリーブがにこやかに聞くと、フミナが頷いて話しだした。

「今朝、神話の里から荷物が届いたところですよ。あちらの位階者が夜なべして作った、綿の反物が一式。デザインも染色も任せてくれるというのでね、私たちはみんな大張り切りですよ」

「ミシンを使うんですよね、私もやってみたいです」

 クリオが溜め息混じりに言うと、フミナは顔を輝かせた。

「あら、やってみる? 飛び入り大歓迎よ。デザインは若い女性にも協力してもらいたいから、こちらは願ったり叶ったり」

「いいんですか? でも、生産修法の仕事が……」

 クリオが気にして言うと、オリーブが背中を押した。

「大丈夫じゃない? 作業はもう確立してるし、何人かは人数割いても。ねぇ、トゥーラ」

「そうね……メリハリをつけてシフト制にして、週2~3回というのはどうかしら」

「ありがとうございます!」

 そこで女性メンバーに希望を募ると、22名の申し出があった。

「まぁまぁ嬉しいわ。若い子が針仕事に熱心になるのはいいことですよ」

 フミナは手を揉みながら言った。

「では、フミナさん。ウチのメンバーがお世話になります」

 オリーブが一礼すると、フミナはにこやかに礼を返した。

「はいはい、準備をしてお待ちしていますよ」

と、そう言ってフミナは本題に入った。

「ところでね、皆さん。折り入ってご相談なんですけれども」

「はい?」

「せっかく神話の里から自由に任せてもらったのでね。私たちが作る服には何かマークをデザインして、刺繍したいと考えているんですよ。できたら皆さんにアイディアをいただけたら、と思っているのだけど」

「わぁ、素敵! 夢がありますね」

 クリオが手を打って嬉しがる。

「モチーフは何がいいかな? 見てて幸せになるのがいいよね。四つ葉のクローバーとか、ブルーバードとか」

 パティがアイディアを捻り出す。

「パラティヌスの基本色は緑だけど……幸せの色っていったらピンクなのよね」

「シンボルは花ですけど……」

「ありきたりじゃない?」

「ですよね」

 メグとミルラが思案に暮れる。

「……作った服を着ることになるカピトリヌスの難民の人たちは、結婚式すらまともにできない環境にあったでしょう? だから、新たな世界、虹球界での生活を祝福して、青い花を刺繍するというのはどうかしら」

 トゥーラが神妙に意見を述べた。
















 

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