第13話『ハッピーエンド』
で、どうするよ?
オリーブの話から抜けきれないポールたち。
「しゃーない、こうなったらエリックが帰ってくる前提で、全員で口裏を合わせて話すようにする!」
ポールが腰に手を当てて立つ。
「そんで、ホントに帰ってきたら、オリーブのタイラーとエリックのどっちがいいか決めさせる!」
「だーかーらー、オリーブはエリックにフラれてるんだってば」
アロンが額に手をやる。
「そんでも好きならしょうがないでしょうが。タイラーは大人なんだから、気持ちに折り合いつけるくらい平然と――」
「俺は諦める気なんかないぞ」
そこへタイラーたちが帰ってきた。
(来た――っ!!)
ポールたちは一人残らずそう思った。
「お、お帰りあそばしませ」
ポールが顔を引きつらせて言うと、タイラーはちらとその顔を見ただけだった。
「心配かけたが話はついたぞ」
さらっと言うタイラーの隣でオリーブがぎこちない笑みを浮かべる。
「あっ、そう――こちとら森の木陰でどんじゃらほいだっちゅうに」
「祭りかよっ!」
ナタルが突っ込むと、ポールが捲し立てた。
「えらいこっちゃでしょうが。ギャグ担当のオリーブがシリアス路線に走ったら!」
「なにさ、だからギャグが活きるんじゃない」
ボソッとオリーブが言うと、ブハッとタイラーが吹き出した。
「お、復活の狼煙。そうこなくっちゃ」
ポールが調子を取り戻す。その腕をトゥーラが思いっきりつねった。
「イデ――ッ!!」
「オリーブ、これまで通りストレスを溜めないように、何でも話してくれていいのよ?」
「えっ、だってポールは?」
「調子に乗ると付け上がるから、たまに凹ませないと」
「そりゃないでしょ、トゥーラさん。およそ恋愛相手に言うセリフじゃないよ」
「のべつまくなしモグラ叩き」
「? なにそれ」
「あなたと付き合ってからの、私の役割」
「ヒドいっ、トゥーラ。泣いてやるっ」
「すごくいいコンビ。ね、タイラー」
「そうだな、既に夫婦漫才の域だ」
そういうタイラーたちも何だかしっくりしている。
「ありがとう、トゥーラ。もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」
「オリーブ……」
「でも、たまに相談に乗って。……料理教えてほしいんだよね」
「いいわよ! 喜んで教えてあげるわ」
「俺も仲間に……」
「ポールは抜きで」
「なんで――⁈」
その盛り上がりを横目に、リサがアロンに言った。
「どう、ご満足?」
「まぁね、オリーブはいい意味で単純だから」
ふーっと溜め息をつくアロン。
「肩の荷が下りた?」
「俺はただ賑やかしただけだよ」
「へぇ、そう? いい仕事してると思うけど」
アロンは頬をポリポリ掻いた。
「難しいわよね……仲間内で恋愛問題が浮上しちゃうと。スケジュールが合わなくなったり、気を遣ったりしてさ。苦労するわよ、恋愛の達人としては」
「……俺は人のことをどうこう言える立場じゃないんだけどな」
「そろそろ本腰入れる気になった?」
「やっぱりいいよな。仲良きことは美しきかな」
「うん、いい感じ。候補ならここにもいるわよ」
「えっ?」
パチッとウインクして、リサが席を立つ。
「お世話様——! またねー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます