第10話『労わられるポール』
すると、オリーブとトゥーラがやってきた。
「みんな、ここにいたの? はい、フライドポテト山盛り!」
「……」
無言になる一同。恨めしそうなポールの視線を受けて、オリーブが言った。
「なにか悪いこと言った? ちょっとポール、その目の下のクマどうしたの」
「お腹調子悪いんだってさ」
「あらら、悪いことしたわね。このところの大活躍で胃が疲れてるんじゃないの?」
「スイカ半分だって」
「……自業自得」
「前にも言ったが、胃の内容物をトイレにテレポートさせれば、少しはラクだぞ」
タイラーが言ったが、ポールは力なく首を振った。
「もう胃の中すっからかんだよ。腸の中にもないって感じ」
「……牛乳粥を作りましょうか。食べられる?」
トゥーラが同情すると、ポールは声を野太くして言った。
「喜んで!」
言った途端、腹を抱える。
「イデデ……!」
「急に腹に力を入れるから――トゥーラ、頼むよ」
マルクに言われ、トゥーラはポールの腕を取った。
「ついでにヒーリングもしてやってくれ。全快とは言わないから」
「了解」
トホホと言いながら去っていくポールたちと入れ違いに、ナタルとアロンがやってきた。
「どうしたんだい、ポール。青い顔して」
ナタルが聞くので、キーツが端的に言った。
「スイカ半分でピーピー」
「……受難きてるなぁ」
「あれはただ調子が悪いんじゃなくて、いきなり注目浴びたせいで胃がひっくり返ってるな」
アロンが言うと、ルイスが病名を言った。
「神経性胃炎ですか……」
「ヘタな文化人もあそこまで注目されないもんね」
オリーブもいやに納得する。
「ポールはみんなの興奮鎮めるために、咄嗟に里ごとの対応をお願いします、って言ったけどさ。気持ちさえついていけば、そのまま上昇気流に乗りたかったんじゃないのかなぁ」
ナタルが推し量ると、マルクがしみじみ言った。
「思わず我が身を省みたんだろうなぁ。それで尻込みしたと」
「さすがに今回はポールに同情するよ」
アロンも頷く。
「あいつにしてみりゃ普段の軽口の延長でも、観客がいたんじゃ目も当てられないからな」
タイラーにまで気遣われるポール。
「俳優にはなれないね」
キーツが髪を掻き上げて言った。
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