第9話『早朝の集合』

 全員が集まったのは30分早い、6時半だった。

 ポールやキーツに文句をいう者は一人もいなかった。

 それに今朝の夢は全員に困惑をもたらしていた。

 成り行き上、司会はポールになり、意見を出し合うことになった。

「みんな、急な呼び出しにもかかわらず、集まってくれてありがとう。今日は、今朝みんなも見たであろう、生命樹界の夢について話し合いたいと思う。まず、有力な意見をマルクから発表してもらいたい」

 ポールから指名されて、マルクが席を立つ。

「代表が名のない力の衝突の託宣を受けてから、4か月目に入ったが、その間、ほぼ全員が見ていた夢について、少し意見を述べる。夢は集合的無意識によって司られ、その都度シンボライズされた夢は個人の置かれた状況によって、それまではまちまちだった。でも、この4か月近く、みんなが同じ夢を見ていることから、これは暗示の強い予知夢の可能性があると思う」

 ざわざわする一同。アロンが補足する。

「集合的無意識に達するほどの夢を見る者が、一定数超えたから、今朝の夢はあんなにはっきりと判別できたんだな」

「そうだと思う。ポールも今朝初めて見えたらしいから、万世の秘法の位階者は大体見えたと考えていいだろうな」

「遅ればせながら。それで、この夢が俺たちにとってどんな意味を持つのか、考えてみたいんだが――」

「それについては僕からも説明させてもらいたいんだが」

 突然、その場にテレポートしてきた人物がいる。

 黒髪をオールバックに撫でつけた、背の高い30代前半の男性——。

「ドギュスト部長!!」

 その人物は、対テロ組織『パイオニアオブエイジ』で執行部部長を務める、ドギュスト・グランク。即ち万世の策士だった。

 朝が早いからか元からなのか、焦点のぼやけた顔でニッと笑って挨拶する。

「おはよう、諸君。今朝の夢については万世の秘法の本部、つまりウェンデス様を中心に協議がなされてね。早速、主だった者に伝達されることになった。僕は君たちへの伝達係というわけだ。……しかし、君たちは勤勉だね。こんな早朝に集まってる団体のリーダーは君たちぐらいだよ」

 それにはポールが答えた。

「当たり前ですよ、夢が夢ですから。生命樹界と万世の魔女とくれば、俺たちにとっては特別ですから」

「特別、か。君たちはそうしていつもレンナを支えてくれる。彼女ともども彼女に近い者は家族も含めて、みんな君たちに感謝しているよ。ありがとう」

 ドギュスト部長は頭を下げたが、それは無用だった。

「やめてください。俺たちは仕事があるので、レンナちゃんを側で支えることは遠慮していますが、離れていても心は一つです」

 ポールの言葉に全員が頷く。涙ぐむ者もいた。

















 

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